どうやら私は異世界トリップに巻き込まれてしまったようです。

玲藍

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本編

1 巻き込まれてしまいました。

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 私は桜坂神無おうさかかんな15歳。この春から高校生になります!
……となる筈だったのに。どうやら私は異世界トリップに巻き込まれてしまったようです。
 
 どうすんだよ!!私の高校生活返してよっ!必死に勉強をして憧れていた進学校への道を手にした時はとっても嬉しくて泣きながら喜びました。
 
 なのに何故でしょうか、その努力という名の積み上げてきたものが一瞬にして崩れ落ちました。さようなら、私の幸せなスクールライフ。
 
 そして、この異世界トリップの原因の女の子。同じ制服を着ています。それも新しい制服。
そうです同じ新入生です。まあ、そんなことはもうどうでもいいんです。今の状況の方が大変なんですよ。なんか呪文のようなものが書いてある陣の真ん中にいる少女が2人。おかしいですよね。主人公が2人だなんてうまく出来た小説とかゲームじゃないんですから。
 まあ、私は巻き込まれただけですよ。完全に部外者です。とりあえずトリップ前のお話をちょこっとしましょうか。

 むかーしむかし…じゃなくて、約5分前の事です。私はとても楽しみにしていた学校スクールライフにルンルンとした表情で向かっていました。そしてこの物語の主役であろう少女とぶつかってしまったのです。前方不注意はいけないことですね。
これからはちゃんとよく前を見ることにしますっ!まあ、お決まりのようにその少女の荷物をばらまいてしまいました。

「ごっ、ごめんなさい。よく前を見てなくて怪我ないですか?」

 慌てて謝りました。完全にこちらに非があるんですからそりゃ謝ります。ばらまいてしまった教科書やノートを拾って少女に駆け寄りました。

「大丈夫よ。それよりあなたに怪我はない?」

 いやぁ、よくできたヒロインです。自分の事より私の心配をしてくれました。

「いやいや、元々こっちがぶつかったのが悪いんですからご心配なさらず。私、丈夫に出来てますからっ!」

「ふふっ、あなた面白い人ね。教科書拾ってくれてありがとう。一緒のクラスになったら宜しくね。」

 こっちが悪かったのにお礼を言われてしまいました。見事なヒロイン気質で顔立ちも良くさらにブロンドの髪が腰まであります。こういう人のことをお姫様というのでしょうか。

「はい。宜しくお願いします。」

「とりあえず立って、学校に初日早々遅刻したら目をつけられてしまうわ。」

 ああ、そう言えば私しゃがんでいたんでした。美形少女が手を差し伸べてくれました。本当に優しいですね。

「ありがとうございます。」

 そう言って手を取り立ち上がろうとしたらそのまま落ちるような感覚があり、目を開けたらそこはもう異世界でした。

 さてさて、まあ、2人で異世界トリップしてしまった訳ですが、何故私が巻き込まれたと分かったのか皆様は分かりますでしょうか?
 
 答えはとても簡単です。もう1人の少女がこの人が主人公ですよーとペカペカと光り輝いてるんです。という私は、なんの取り柄もなくなったただの小娘です。絶望です。絶望してる場合じゃないのは分かってますよ。

「やっと!やっと神子様がいらして下さった!私たちの祈りが女神様に届いたのですね!なんという神々しさでしょうかっ!」

 あー異世界人達は私が目に入っていないようです。まあ、そりゃそうか。私居たって無意味だもん。

「え、あ、あのここはどこなのですか?」

「国の女神を祀る神殿でございます。神子様。」

「神子…?神子って何です?ルヴィエーラ国?何を言っているのです?」

「突然の事で混乱しておいででしょうが貴方様は女神様に選ばれた神子様でございます。その美貌と美しい髪が何よりの証拠。」

 ……私抜きで話が進んでいきますね。完全に蚊帳の外。私退場していいですかね、暇すぎるわこの茶番。どうせ国の危機なのです!お救い下さい神子様ー!とでも言うんだろうなぁ。無償労働ボランティア。わぁー私だったら絶対やりたくない。

「女神様に祈っていたのは他でもない神子様にこの国の危機を救っていただく為なのです。どうか、どうか神子様のお力をお貸しください。」

 ほらきたぁぁぁーーーーーーーー!!!やっぱりだ、小説王道展開ほらきたーーーー!!!

「私はごくごく普通の人です。国の危機を救うなんて私には……。」

「いいえ、間違いなく神子様でございます。貴方様には神のお力が秘められているのです。」

「で、でも、私は……。」

 迷いなく言い切りやがった。すげぇわ。
もうテンプレですね。はあ、小説の読みすぎで話が見え見えすぎです。次は誰が登場するのでしょうかね。

「大神官殿、神子殿が困っているではないか。少し落ち着かれたらどうだい。」

「これはこれは王太子殿下。こちらには何用でいらっしゃったのでしょうか?」

 王子様きたーーーー!!!すごくテンプレ通り。わあー間近で王子様見れるなんてなんて私は幸せなのだろうっ!……なーんて言うわけ無いじゃないですか。

「神子殿がいらして下さったと聞いてな。急いでこちらに来たのだが、何か問題あったかな。」

「いえ、滅相もございません。」

「神子殿、私はルヴィエーラ国王太子のランスロット・ルヴィエーラだ。お名前を伺っても…?」

 王太子は大神官と言われた人の言葉を聞いて無言の返事をした後、神子になった娘の目の前に行き丁寧に挨拶しました。

神賀院璃奈こうがいんりなです。」

「コウガイン、リィナ、か?」

「呼びにくいのであれば璃奈と呼んでいただいても結構です。」

「リィナ、いい名だ。私の事はランスロットで構わない。疲れたであろう。すぐ部屋を準備するから休んでくれ。」

「は、はい……。」

 あのー…2人の世界に入るのはいいんですけど、私の存在絶対忘れてますよね。そして王太子という人は名前発音訛ってるなぁ。私には関係ないがな。

「あ、あのーお二人の世界に邪魔したくはないんですけど、皆さん私の存在忘却しないで頂けますか?」

 うわ、あからさまに気付きませんでした。みたいな顔されたよ。このままだと絶対忘れてそのままどこかに行くと思ったので仕方なくですよ。
お話に割り込んじゃいけないのは分かってるんですけど、とりあえず私を解放してから2人の世界に入って下さい。

「お前は何者だっ、神子様と同じ格好をするとは無礼であるっ!」

 一人の若い神官が怒鳴りつけてきました。おーこわー。(棒)
まず巻き込んだのはそちらでしょう?いきなり無礼とか言われても学校の制服なんだから仕方ないじゃない。

「お前は何者って言われましても、まず私完全に被害者ですよね。貴方達の神子様って言う人を探すための召喚に巻き込まれたんですから。神子様と同じ格好が無礼?私のいた世界ではこの格好している人が何人もいますよ?簡単に言うと貴方達、神官で例えれば、そのお揃いの格好と似たようなもんなんですよ。」

「なっ!我々と似たようなものだとっ!一緒にするでないっ!この無礼者!」

「さっきっから無礼無礼っていい加減にしてくれますかね?じゃあ何ですか?あなたは神官になるために少しも努力しないでその格好をしているんですか?私は自分で努力してこの服を着る権利を得たんです。なのに神子様と同じ服装をするな?ふざけんじゃないですよ。神子様だかなんだか知らないですけど、貴方達に指図される覚えは私は一切ないんですがっ!!!」

 少しスッキリしましたー。この国の神官とやらは面倒くさい奴らっぽいですね。まあ、怒鳴ってきた神官は思う所があったらしく黙りました。はっ、ざまぁみろ。…って、ん?神子に選ばれた璃奈さんが怒鳴っていた神官の方へ歩いていきました。

「先程から聞いていましたら私の友人を無礼呼ばわりですか?私から見ればあなたの方が無礼だと思うわ。謝ってください。」

 友人という言葉を聞き周りの神官たちが驚いてます。と言うかいつから私璃奈さんの友人になったのでしょうか。まあ、正直助かりそうなんで良いですけど。

「申し訳、ございません。」

神官さん璃奈さんに向かって謝ってます。

(謝る相手違うでしょ!)
「謝る相手が違いますっ!」

 私の心の中と息ぴったりに璃奈さんが怒りました。璃奈さんいいところありますね。さては純粋派ヒロインですねっ!
若い神官は、神子様に頭を下げるのは許せるんでしょうね。私に謝れ。と言われた時に一瞬だけど俺のプライドが許さない。みたいな顔をしましたよ。

「申し訳、ごさいません、でした。」

すっげぇ嫌そうな声と顔で言ってきました。言葉の意味と表情が違いすぎるわ。そして謝ったあと即座に自分の立ち位置に戻っていきました。

「ごめんなさい、あなたを巻き込んでしまったみたいで、私からも謝るわ。」

「いえ、璃奈さんのせいじゃありませんよ。」

 なんというか、璃奈さんという人、お人好し、ですかね。なんか自分が神子だと言われてさっきまで戸惑っていたのに今はしっかりと立っているような気がします。

「私で良ければ神子としてこの国の危機を救いましょう。」

璃奈さんが王太子と、大神官を見つめながら言いました。周りの神官野次馬は、神子様!神子様ー!と騒ぎ立てます。
言っちゃったよー無償労働ボランティア宣言しちゃったよー。

「それではリィナ、部屋を用意したので案内しよう。それと、リィナのご友人殿のお部屋も用意しよう。そこの侍従、ご友人殿を部屋へ案内しろ。」

王太子、リィナと軽々しくふっつーに呼んでいます。璃奈さんも満更でもなく、王太子を見て頬をほんのりと赤く染めています。さては一目惚れしましたか。さて、私はどうなる事やら。
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