どうやら私は異世界トリップに巻き込まれてしまったようです。

玲藍

文字の大きさ
7 / 77
本編

4 巻き込まれたのに追い出されました。

しおりを挟む

ガタン、ゴトゴト、ガタッガタガタ…………。

ひどい揺れで起こされました。うぅ、身体の節々が痛い。どうやらここは馬車っぽいものの中ですかね。目隠しされてるのでここがどういう風景なのか分かりません。念には念をって事でしょうか。何も言われなくても王城に戻って来るなと、言われているみたいです。

ゴトゴトガタッ、ギィィ。

あ、馬車が止まったみたいですねぇ。人の身体を雑に扱ったら承知しませんよ。

「ふぅ、今日で丸2日だぞ。国境近くまで行ってこの人間を捨ててこい。とか酷すぎだろ。」

「国境まであと少しだ。与えられた任務はちゃんとすべきだぞ。例え人間を捨ててこいと言われたとしてもな。」

どうやら外には2人の男性がいるようです。1人は情が深い人もう1人は真面目っぽい人ですかね。
 にしても国境付近まで行ってわざわざ捨ててこいとは。どこまで黒を嫌ってるんだか。ってか2日も魔法で眠らされてたんだ。
 黒魔法とか言ってたの覚えてますけど、あれ?もう魔法は掛けたのでしょうか?まだ記憶ありますけど…………?
 …………あ。そういやスキルに黒魔法無効化って書いてあった気が……。あはははは。ショタ神は何でも準備がいいですねぇ。この結果が分かっていたみたいです。あはははは。

「にしてもこの嬢ちゃん、王城で何をしたんだろうな。」

何もしてませんよ。

「さあな、この国では黒を持つものが不吉だと言われているからな。」

「そんな事で追い出されたのか?この嬢ちゃんはっ!」

 情の深い男性さんは驚いてますねぇ。そうなんです。黒だからってだけで追い出されたんですよ。酷いですよね。

「そういやお前はこの国で生まれたわけじゃないんだったな。」

「ああ、嫁さんがここの国の人でな、15年前にこの国に来たんだ。」

「15年前か、ちょうどこの国が鎖国状態になる前の時だな。」

「ああ、この国は鎖国してからから苦しいよな。お偉いさん達は、そうは思ってないんだろうがよ。」

「これは噂だが、伝説の神子様がいらしたとか神官の奴らが言ってたのを聞いた。」

「神子様ってあれか?危機の時に特別な力を使って救済してくれるって言う奴か?」

「ああ。本当なのか嘘なのかは分からないがな。」

 鎖国状態?どういうことでしょうか?初耳です。それも話を盗み聞きする限り財政難って所でしょうか。伝説の神子様、救済、特別な力、ねぇ。異世界から人間召喚しただけじゃん。
 こんな状況に置かれながら、この国から出られそうで良かったと思い始めました。この国以外はどんな国なんでしょうかね。何なら旅でもしましょうかね、その前に情報収集ですけど。まずどこに捨てられるか、国境付近と言うことは近くに街は無いですよねぇ。うーんどうしましょう。

「…ん?おい。もうすぐ水が無くなるぞ。」

「んあ?本当だ、俺が汲んでこよう。まだ起きないだろうが、くれぐれも目を離すなよ。」

「ああ、分かってるよ。」

段々と足音が遠ざかって行きました。水を汲みに行ったのは真面目さんの方ですかね。どうやら近くに水場があるのでしょう。水浴びでもいいからしたいよぉ…。

ガチャ…。

ん?誰かが馬車の扉を開けたみたいですね。

「まだ寝てるみたいだな…。こんなめんこい嬢ちゃんを国境付近で捨てろと言われてもこっちだって辛いな。
 俺の娘とそう変わらん年だろうし、家族もいただろうに、髪が黒いだけでお偉いさんはなんてこと考えるんだ…。」

 ……そう考えてくれる人は、お偉いさんに居なかったですよ。情の深い男性さん。お心遣いありがとうございます。初めて家族の話をされる方に出会いました。涙が出そうでしたが我慢しないと。起きてるのがバレてしまいそうです。

「せめて、この国から出ていい人達に巡り会ってほしいものだ。」

 そう言って情の深い男性さんは頭をぽんと静かに撫でて出ていきました。







しばらくして、真面目さんが戻ってきたらしく、また馬車(?)が動き出しました。やっぱり身体の節々が痛い。道が荒れてるのでしょうか。鎖国って言ってましたし、道まで整備するお金も無いんでしょう。
はぁ。暇だ。

ガタガタ……ガタガタ……ギィィ。

おや?馬車(?)が止まりました。

「この辺りでいいだろう。これ以上いくとあっちの国の奴らに見つかってしまうかもしれない。」

 扉が空き、軽々と持ち上げられちゃったよ。ひょあぁ。落っことさないでよー。

「ここら辺でいいだろう。」

 丁寧に外に置かれました。意外と紳士的。放置する時点で紳士でもなんでも無いんですけどね。

「任務も終わったことだし帰るぞ。」

真面目さんに情の深さん呼ばれてます。

「おう。……こんな些細なもんしかないけど、役立ててくれ、じゃあな嬢ちゃん…、元気でな。」

 何かを私の手に握らせ、馬車の方へと戻っていく足音が聞こえます。その後ガタガタと馬車(?)は元の来た道を戻って行ったんだと思います。

そっと目を開けて見てみると少しの硬貨と干し肉などの非常食が気持ちばかりに入っていました。本当に情の深さんは最後までいい人でしたね。…ありがとうございます。


しおりを挟む
感想 247

あなたにおすすめの小説

家を乗っ取られて辺境に嫁がされることになったら、三食研究付きの溺愛生活が待っていました

ミズメ
恋愛
ライラ・ハルフォードは伯爵令嬢でありながら、毎日魔法薬の研究に精を出していた。 一つ結びの三つ編み、大きな丸レンズの眼鏡、白衣。""変わり者令嬢""と揶揄されながら、信頼出来る仲間と共に毎日楽しく研究に励む。 「大変です……!」 ライラはある日、とんでもない事実に気が付いた。作成した魔法薬に、なんと"薄毛"の副作用があったのだ。その解消の為に尽力していると、出席させられた夜会で、伯爵家を乗っ取った叔父からふたまわりも歳上の辺境伯の後妻となる婚約が整ったことを告げられる。 手詰まりかと思えたそれは、ライラにとって幸せへと続く道だった。 ◎さくっと終わる短編です(10話程度) ◎薄毛の話題が出てきます。苦手な方(?)はお気をつけて…!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。

水垣するめ
恋愛
主人公のミア・スコットは幼い頃から家の仕事をさせられていた。 兄と妹が優秀すぎたため、ミアは「無能」とレッテルが貼られていた。 しかし幼い頃から仕事を行ってきたミアは仕事の腕が鍛えられ、とても優秀になっていた。 それは公爵家の仕事を一人で回せるくらいに。 だが最初からミアを見下している両親や兄と妹はそれには気づかない。 そしてある日、とうとうミアを家から追い出してしまう。 自由になったミアは人生を謳歌し始める。 それと対象的に、ミアを追放したスコット家は仕事が回らなくなり没落していく……。

愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

婚約破棄をされ、谷に落ちた女は聖獣の血を引く

基本二度寝
恋愛
「不憫に思って平民のお前を召し上げてやったのにな!」 王太子は女を突き飛ばした。 「その恩も忘れて、お前は何をした!」 突き飛ばされた女を、王太子の護衛の男が走り寄り支える。 その姿に王太子は更に苛立った。 「貴様との婚約は破棄する!私に魅了の力を使って城に召し上げさせたこと、私と婚約させたこと、貴様の好き勝手になどさせるか!」 「ソル…?」 「平民がっ馴れ馴れしく私の愛称を呼ぶなっ!」 王太子の怒声にはらはらと女は涙をこぼした。

処理中です...