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本編
16 side 団長
しおりを挟む「よし、邪魔なあいつらも居なくなった事だしこれでゆっくり話を聞けるな。」
「話を聞くもなにもさっき全部事実を言ったけど?まだ信じて貰えないんですか?」
そうだな。だって俺が個人的に話をしたいだけだからな。酒場で思いっきり暴れたって言う嬢ちゃんはどこからきたのか、とかな。
「いや?そんな事はないが?俺直属の優秀な部下が、酒場の店主に聞きに行って壁ぶっ壊したって所は聞いたからな。
魔法でぶっ壊したっつーからどんな奴だと思ってたらこんなちっこい嬢ちゃんだとは予想外だ。」
壊した壁を一瞬で直したってのも驚いたけどな。
「なあ、嬢ちゃん、ずっとローブ羽織ったまんまで深くまでフードかぶってるってことは人に顔見せたくないのか?」
「貴方に見せる必要あります?」
「ある。」
どんな顔してるのかとか知りたいだろうが。魔力も多くて強いが顔を見せないなんてケチだろ?
「俺が見たい。いや、見せろ。それか、見せらんない理由があるのか?」
「と、とりあえず腕を離してもらえませんか?ここ人が沢山いるんですから……。」
なぜ腕を離さなきゃならんのだと思ったが、野次馬がまだいたのか。そんなこと気にするとかさっきまで盛大に魔法ぶっぱなしてただろうに。
「……お前、人の目を気にするんだな。さっきまで騒動の中心にいたのに。ははっ!」
「笑わないで貰えますかね。それとこれは違いますから。それに好き好んで騒動の中心にいたんじゃ無いですし。」
それもそうか。しかし嬢ちゃん怒ってる声も良いな。
「ひとまず場所を変えるか。ちゃんと掴まってろよ?」
「へ……?」
ひょいと横抱きしてぴょんとジャンプして家の屋根に飛び乗る。待って、待って、と腕の中で暴れながらあたふたしているが別に気にしない。つか、軽いなぁ。嬢ちゃんちゃんと食ってんのか?それとも背中に羽根でも生えてんのか?ジタバタ、ジタバタ。ジタバタジタバタ……おい、幾ら何でも暴れすぎだろ。
「だーっ!暴れるな、落とすぞ!もうすぐ着くから大人しくしてろ。」
屋根を飛び降り、嬢ちゃんを下ろす。行きつけのカフェだ。中はウッディ調でこの娘も落ち着く雰囲気だ。
「今、嬢ちゃん意外だとか思ったろ?」
「ぜ、全然思って無いですっ。」
いや、思ってるだろ。
ぐぅ……。……ん?俺のじゃねぇな。……もしかして嬢ちゃんか。こんなにハッキリとしたお腹の音は久々に聞いたぜ。
「なんだ嬢ちゃん腹減ってんのか、それは丁度良かった。ほら、行くぞ腹減り嬢ちゃん。」
俺は少し笑ったが嬢ちゃんは何も言わず、少し下を向いていた。何故だ?とりあえず店に入るか。
「いらっしゃいませ。って団長さんじゃないか、今日はお連れ様が居るんだね。」
まあな。そういや1人でしか来たこと無いからな。
「まあな、ちっこいのにこいつ馬鹿みたいに強いんだよ、不味いもの出したら店破壊されるかもな。」
少し冗談で言ったんだが隣からくる視線が痛いぞ。
「あら、じゃあ腕にいっそうよりをかけないとねっ!とりあえず好きなところに座ってちょうだい。注文が決まったら呼んでね。」
そう言われいつもの一番端の席に座る。ここが俺のお気に入りの場所だ。嬢ちゃんも後から付いてきて椅子に座る。
「何食いたいか、決まったら言え。」
嬢ちゃんはメニューをじーっとみていて、美味しそうと笑顔になったり急にしかめっ面になったり困った顔したり、みていて飽きないな。本当に面白い。
結局嬢ちゃんは野菜とベーコンたっぷりのグラタンを選びおれはロールケーキ、プリン、タルトなどの菓子を5、6個頼んだ。
しばらくしてグラタンと菓子がテーブルの上に並べられ嬢ちゃんはいただきますっ!と言ってからグラタンを頬張る。火傷するなよ。
「美味いか?」
「おいひぃれすっ!はふはふっ。」
凄く幸せそうな声で元気よく答えてきた。喜んでんなら何よりだ。グラタンは止まらずに嬢ちゃんの口の中に吸い込まれて行く。
「ほら、これも食え。」
リルの実のタルトを差し出すと意外な答えが返ってきた。
「うにゃ?なんれふか?これ?」
「リルの実のタルトだ。」
「リルの実…?って何ですか?」
へ?と言いそうになったが後一歩のところで踏みとどまる。とぼけてるようでもないなら本当に初めて聞いたのか?嘘はついていなさそうだが、リルの実だぞ?どこの地域でもとれる果物だ知らないものはいないはずだ。だがこの嬢ちゃんは知らないと言ったんだ。ほんとにどっから来たんだ?お前は。
「リルの実を知らないのか?家庭でもよく食べられている果物だ。甘酸っぱくて美味いから食べてみろ。」
差し出したが嬢ちゃんは固まっている。どうした?なんかおかしかったか?
「ん?どうした?食べないのか?」
「いや、もちろん食べますけど…、団長さんはいいんですか?私が食べちゃって……。」
「なんだ、そんな事か。良いんだよ俺はいつでも来れるからな。ここのリルの実のタルトは格別なんだ。この街の中でも一番美味い。だから嬢ちゃんも、食べてみろ。」
そんな心配か。面白い奴だな本当に。
「じゃあ、お言葉に甘えていただきます。」
嬢ちゃんはグラタンを食べ終わり、タルトにかじりついた。
「美味しいっ!」
口に会ったようだな。良かった。
「はい、あーん。」
一口サイズに切られたタルトを目の間に差し出された。……どういう事だ?
「は?」
「ほらっ、はやく口開けてっ!落ちちゃうから、あーん。」
どうやら俺に一口サイズくれると言うことらしい。なんだそれ可愛すぎだろ。
「あー、んっ」
俺はわちゃわちゃとと嬢ちゃんの頭をフードの上から思いっきり撫でた。
「ありがとな。」
そうお礼をいった。本当に変わってんな。この嬢ちゃん。お前はどこから来たんだ?名前も知りたい、後で聞こうと、そう思った。
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