どうやら私は異世界トリップに巻き込まれてしまったようです。

玲藍

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本編

15 side 団長

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「はぁ、だりぃ。」

 俺はナダルシア国騎士団、団長のアイザック・エリュウィルド。騎士団の統括・責任者として働く毎日。だる過ぎる。
 机の横に山積みにされた書類を片付けるなんて無理に決まってる。
まだ訓練をずっとしていた頃の下っ端騎士の頃に戻りたいと何回思ったことか……。剣振りたい。振り回したい。

コンコンコン。扉が叩かれた音がした気がする。気のせいか?
コンコンコン。……気のせいじゃなかったらしい。こんな時に何の用だ。あーもう面倒ごとは辞めてくれよ。

「入れ。」

「失礼します。」

 外から声がして1人の男が入ってくる。俺の直属の部下のユリウスだ。

「なんだ、ユリウスか、まだ俺の仕事が増えるのか?ここの所書類ばっかりじゃねぇか、もう勘弁してくれ。」

 ぐったりしながらユリウスに愚痴るとユリウスは苦笑している。

「書類とは違いますが、仕事は増えましたよ。 」

なんだ書類じゃねぇのか、安心安心。だがしかし

「仕事は増えるのか。何があった?」

「城内へ侵入した鼠を国庫の中で発見。捕獲したあと、あの10番隊の騎士がその鼠の取り調べ、何か吐いたのか捕らえた鼠を連れて城下へ行きました。と言う報告です。」

「…仕事増やしたのは10番隊の誰だ?」

「騎士のダリウスです。」

あのクソボンボンか。10番隊自体ボンボンの寄せ集め。ある程度己がどう言う立場で存在なのかを理解しているボンボンと、騎士と言うだけで国民を卑下する己の存在意義を理解しない馬鹿ボンボン。の2パターンいる。そしてダリウスは後者だ。後先考えず行動しやがって。

「今すぐ城下に行く。」

さっさと馬鹿騎士を連れて帰ればいいとその時はそう思っていた。







 街へ行くともう騒動が起きていて野次馬も集まっていた。騒動の中心には、10番隊のダリウスと3、4班の兵達、そして1人の人間。あの背格好からしてまだ子供か…?
ダリウス達は捕らえろと叫び攻撃し始める。が、攻撃はひとつも当たらず兵達が跳ね返されていく。結界か。こんなちっこい奴が魔法使いとは物騒な時代になったもんだな。とりあえず止めるか。

「おい、誰の命令で犯人をつれて街へ出ていけと言った?」

それで犯人を逃がしたらお前の責任もあるし俺の方にも面倒事が降ってくるんだよなぁ。それだけは辞めてくれ。マジで。

「だ、団長。どうしてこちらに?」

 何を言ってんだこいつ。犯人連れて城下に出ること自体余っ程のことが無い限り有り得ねぇから。

「まず俺の質問に答えろ。なぜ国庫に侵入した大罪人を連れ回してんだって聞いてんだ。答えらんねぇのか?」

さっさと答えろ。そして俺の仕事を増やすな。

「この者が手引きし、城に入ったとこいつが証言したのです。ですから一刻も早く捕らえようとこいつを連れ、街へ来たのです。」

「お前は馬鹿か?そこの罪人が靴底の中に刃物入れてんのも気付かねぇ奴が罪人をほいほい連れ回してんじゃねぇよ。」

慌てて兵達が犯人の靴を脱がす。ダリウスだかなんだかが睨んできているがそんなの痛くも痒くもねぇ。そんなのも気付かねぇなら騎士やめろ。

「さっさとお前らは罪人連れて城に戻れ。この失態についてはおって沙汰を下す。」

「で、ですがっその者が共犯者とこいつが証言したのです!今捕えなくてどうするのですっ!」

まだ言うかこの馬鹿は。仕方ない、質問相手を変えよう。

「って言っているが、お前、事実か?」

「してないですよ。私は、この街に来てから商店街のおばさんに酒場の場所を聞いて行きました。
そして酒場行き、マスターと少し会話した後、店を出ようとしたら当たり屋紛いな事され、難癖つけられたので、ぶっ飛ばしたら遥か彼方に飛んでっただけで、手引きなんて全然して無いですよ。出鱈目な犯人の証言を鵜呑みにするとか馬鹿なんですか?」

ローブを羽織っている子供は、騎士を堂々と馬鹿呼ばわり。まあこいつは馬鹿で合ってんだけどさ。
ダリウスは自分の事を馬鹿と言われて頭にきたのか大声で言い返している。

「なっ!なんだとっ!この国の騎士に無礼であるぞっ!毎日毎日身を粉にして働いてやってると言うのにっ!!」

それは騎士として当たり前じゃねぇか。働いてやってると言うより俺らは国の金を貰ってるんだ。国民を守らなくてどうする。

「毎日毎日身を粉にして働くのって当たり前の事ですよね。騎士以外にもいろんな職業の人が苦労して働いていると思いますし、それを仕方なくみたいな言い方するんですね。国を守る役目の騎士がその態度って色々宜しくないと思いますよ。
 それに、今ここがどこだか分かっててそんな事言ってるなら凄いって拍手を送ってあげます。」

もちろんその通りだ。ってか今更だがローブを羽織っているのは女……いや、少女か?騎士を前にしても堂々としている少女は珍しいもんだ。

「なっ!馬鹿にしやがってっ!」

「どこが?最初に騎士が偉いみたいに言って下の人達馬鹿にしたのは貴方でしょう?騎士は民を守るものじゃないの?
 貴方達は城にいる王とか貴族とかだけを守るの?何それ、マジでそう言う差別ムカつきますね。
 そんなに馬鹿にされて悔しいならかかって来なよ。まあ1発も当たらないと思うけどね。」

「っ…!クソォォォォッッ!!!!」

 いや、お前がクソォって悔しがるのはおかしいからな?ほとんど少女の方が正論を言ってるからな?
ダリウスは剣を抜き、少女に襲い掛かる。

「【結界弱化】」

……聞き間違いか?弱化って聞こえた気がするぞ?

ガキィンッ!ガンッ!ガンッ!ガキィン!ピキッ…

結界にヒビが入り始め、ダリウスがフッと笑ったがそれを見た少女はしたり顔で呟いた。

「【風よ切り裂け】」

 そう言うとダリウスの持っていた剣はバラバラに砕け散り、来ている服がパンツ以外粉々になる。あれはプライドも何もあったもんじゃねぇな。
しばらくあいつは城下を歩けないだろう。一応国の騎士だって言うのにこのざまか。……アイツにはお似合いか。

「ははははははははははっ、あははっ、はははははっ!!!」

笑ってる場合じゃないが、面白すぎる。久々に笑ったな。にしてもこのローブ少女。気になる。どんな奴なんだろうか。興味がわく。


「はぁはー、はぁ、面白いもん見させて貰ったよ。おい、何時までそんな格好晒してんだ?さっさと帰れ。こいつからは俺が話を聞く。」

サッと少女の腕を掴み逃げられないようにする。逃げるなよ。まだ俺は嬢ちゃんと話をしたいんだからな。



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