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本編
37 武器を買いましょう。
しおりを挟む夜が開けて、マスターと一緒に買い物です。ちなみに朝食はマスターお手製のワンプレートでした。とても美味しかったです。
「お嬢さん、昨日は何を買ったんですか?」
「えーと、服と、保存が効く食料と薬です。」
「大体のものは買ったんですね。では武器を買いに行きましょうか。」
「ほぇ?武器ですか?」
「ええ、一応護身用にですよ。旅では魔法だけでは安心出来ませんからね。」
ニコッと微笑むマスター。武器か……元の世界だとそんなもの持って出歩かなかったから、なんか変な気分だな。
「お嬢さんは小柄ですしダガーでしょうか…。と、悩む前にお店に行きましょうか。」
「はい。」
「こんにちは。」
お店に着き、マスターが中に入って行きま鍛冶師のおじさんに声をかけた。
「あれ、酒場のマスターじゃねぇか!久しぶりだな。今日はどうした?っと、女連れとはやるな…。」
「そんなんじゃありませんよ。今日はこのお嬢さんにぴったりな護身用の武器を探しに来たんですよ。」
「なんだ、そうだったのかい。てっきりデートで自慢かと思ったよ。」
デートとかじゃないですよ。鍛冶師さん。そんな関係じゃないし、そりゃマスターはダンディでカッコイイと思いますけど!そんなんじゃないです。
「さて、お嬢ちゃん。君は魔法が使えるのかい?」
いきなり魔法の話で少しびっくりです。なんででしょう…。
「はい。一応使えます。」
「じゃあ少し手合わせ願おうか。」
「て、手合わせ?!?!」
「そりゃそうだ。自分の作った武器を渡すんだ。それ相応に見合った物を選ばねぇと、この先危ないからな。とりあえず庭に行こうか。ついてきな。」
いきなり手合わせとは色々ぶっ飛んでますが、マスターもニコニコして、大丈夫ですよ。しか言わないから手合わせしないと言う選択肢はないと察した。
「よし、俺は愛刀のコイツで行く。お嬢ちゃんは魔法でもなんでも全力で使ってくれて構わないからな。本気で行くから殺される覚悟で挑めよ。」
「っ…。分かりました。」
気さくないい鍛冶師さんだと思えば愛刀を握った瞬間に殺気がすごいです。本気で行かないと殺されるわ、これ。
「では、お嬢さん、準備は大丈夫ですか?」
「…はい。」
一呼吸おいてマスターの、質問に頷く。
「では……はじめっ!」
始まりの合図と同時に鍛冶師さんが真っ直ぐに飛んできます。
(はやっっ!)
急いで結界を展開して鍛冶師さんの足場を土魔法で崩し後退して、すぐに風魔法で、風の剣を展開して鍛冶師さんに雨のごとく降り注ぎます。
(鎌鼬みたい。)
「なかなかやるなぁ、嬢ちゃん。」
鍛冶師さん攻撃もろに食らってるはずなのに傷一つない。この人何者ですか。
「褒めていただいてありがとうございます。」
「じゃあこれはどうだ?!」
鍛冶師さんの姿が一瞬にして見えなくなりました。これまたすごい技ですね。
「霧よ……。」
水魔法で庭全体をきりで包み込み鍛冶師さんも、私もどこにいるかは分からないはず…。
「見つけたよ。」
「っ!」
急いで瞬間移動して、攻撃をかわします。………あぶねぇぇぇ!!!
「この霧邪魔だねぇ。探すのに手間取ったじゃないか。」
鍛冶師は剣を一振りして霧を一掃します。
「マジですか…。」
剣1本でこれほどまで強いとか化け物ですか?でも…
「こっちも負けてられないです。」
水魔法を展開していくつもの大きな水の球を、作ります。
「行け。」
一言で水が鋭くなり鍛冶師さんにまた降りかかります。
「つっ、!」
鍛冶師さんが少しよろめき少しの隙ができました。今だ!
「次は火ですよ!」
火の龍が、鍛冶師さんめがけて飛んでいきます。
「そこまでっ!」
マスターが火の龍を受け止め薙ぎ払って壁に大穴ができ、手合わせはそこで終了しました。
…………疲れた。
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