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第一章

episode8「古参の能力者」

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この世界に入り込んで、もうすぐ10日が過ぎようとしてた
ここの世界の生活もだいぶ慣れてきて
俺の「ウェポン」も体に馴染んでいるのがわかった
しかし、リーダー職はまだまだ慣れてない
薫に色々指導されながらも少しづつこなしてはいるのだが・・・・

「とりあえず・・・・腹減ったなぁ・・・・」
そう思い軽食を買いに自分の部屋に出ると、何人かの戦闘班がこちらを見ていた
相手にしてると面倒なので無視したが、それに腹たったのか1人が
「おぅお前、最近入ってきてリーダーなんて、調子がいいんじゃねぇか?」
「・・・なんですか?」
「ハッ生意気じゃねぇか?あぁん?・・・ちょっとついて来いや」
やれやれ、軽食買いに行く予定がパーになった

連れてかれると戦闘班の訓練場みたいな場所についた
何人かいるみたいだった
「俺らは『チームB』だけどよぉ・・・・
最近お前の『チームA』ってさ、図に乗りすぎじゃあねぇか?」
「は、ハァ・・・・それならすみません」
「俺らさぁ、いまスッゲーイライラしてるんだよねぇ
お前のチームに回復できるやついたよなぁ
そいついるなら、ボコボコにしてもいいよなぁ!」
ハナっからそれが目的か・・・・
「でも、有り金おいてくか、ここで戦闘班辞めるなら
痛い目に遭わなくて済むぜぇ?・・・おら!早く答えんかい!」
イライラしてきたのはこっちのほうだ
自分勝手な理由過ぎるだろ・・・・
今すぐ切りかかりたい状況だった

???「お前ら・・・こんな場所で何してんだ?」
「!?あ・・・・あなたは・・・・『山吹さん!』」
山吹「・・・・お前ら、新人いじめか?」
「い、いえ!違います!こいつ、先輩の俺らに大して生意気なんです!」
山吹「ほぉ・・・・ところでお前ら、1つ覚えておくことがある」
「は、はい?なんでしょう?」
山吹「お前らの『チームB』って、こんなしょうもない事しかできないのか?
・・・・勘違いしてるかもしれんがな
強いってのは『歴が長い』んじゃなくて『実力がある』から強いんだ
大した実力もねぇくせに、偉そうな口叩くんじゃねぇよ
・・・わかったらこんな事してねぇで、さっさと訓練しろや!」
「・・・す、すみませんでした・・・・」
山吹「お前ら馬鹿か?俺に謝っても意味ねぇだろ
謝んならこいつだろうが」
「し、新人・・・・すまんかったな・・・・」
そう言うとそさくさと出て行った

山吹「はぁ・・・・全く・・・・
最近の戦闘班はこんなやつばっかだなぁ・・・・
金がもらえるからって、なにもせずに入る奴が増えたなぁ・・・・」
「あ、あの・・・・ありがとうございます」
山吹「ん?あぁ・・・別にかまわん
こういうの見てると腹立ってしょうがねぇんだ
あぁ、俺は『山吹徹(やまぶきとおる)』だ
お前と同じウェポンマスターであり
戦闘班『チームC』のリーダーと務めている」
「俺は戦闘班『チームA』リーダーの剣山将吾です
あの・・・・結構長いんですか?」
そう言うと山吹は「飯食いに行かねぇか?ここでは話す気にならん」
と言ったので、ついていくことにした

山吹「ここは俺が行きつけの飯屋だ」
そこはレストランで「デリーシャス」という名前だった
かなり高級レストランな感じだった
中に入って、近くの席に着いて注文をする
山吹さんはカレーライスを頼み、俺はオムライスにした
数分経つと料理が出てきた

黙々と食う俺達
いや、別に不味いわけじゃなくむしろ美味い
熱々のチキンライスに、ふんわりとしたオムレツが絶妙にマッチしており
舌がとろける様な味わいが口の中に広がっていく美味さだ
こんな芸当は常人では中々できない
山吹「どうだ?美味いだろ?
俺は見た目から想像つかんが、結構グルメでなぁ
こういう美味い店を探し回ってるんだ」
「この世界の色んなお店を知ってるんですね」
山吹「あぁ、二日前に行った店は、海のリバーサイドホテルなんだが
そこのシーフードカレーが、2杯目もいくぐらい美味いんだ」
「おぉ・・・・・行ってみたい・・・・」
山吹「その1週間前は・・・・・・」
という感じに、飯のことにかなり詳しかった

「あ、あの・・・・それよりも、さっきの話なんですが」
山吹「ん?あぁすまない、話し込んでしまった・・・で、なんだ?」
「山吹さんは戦闘班に入って長いんですか?
結構ほかの人が頭下げてたりしてましたが」
山吹「長いも何も、俺は戦闘班ができた頃から居るぞ
いわゆる『古参兵』ってやつだな
20年前にできたから・・・・今年で40か」
「そ、そうなんですか・・・・・
体つきとかかなりいいから、結構鍛えてるんですか?」
山吹「いやそこまでじゃない
毎日腹筋100回と腕立て50回とランニング10周だけだな」
「回数少なめでも、そこまで鍛えられるんですか?」
山吹「回数は少なくとも、鍛え方は様々なんだ
無理にきついことをするよりも、自分にあった方法で鍛えればいい
重要なのは『毎日欠かさず鍛える』事だと思ってる」
「毎日欠かさず鍛える・・・・?」
山吹「例えば、体力ないやつが、いきなりグラウンド10周なんてきついよな?
しかし、3~5周ならそいつでも無理ではないだろ?
まぁ最初はキツイが、続けていれば5周はあっという間に終わる
すると、10周も余裕になっていくわけだ」
「なるほど・・・・・続けるってことが重要か・・・・勉強になります」
山吹「俺はそう言う『努力を怠らない』奴が好きだ
お前は形は違えど『努力してる』から、俺はそこに惚れて、さっき助けたんだ
リーダーはかなり大変だろう?
俺でよければ少しぐらい教えてやるし、体の鍛え方も教えやるぞ?」
「ほんとうですか!ありがとうございます!」

そんな会話をしていると、山吹さんのライセンスが鳴った
山吹「・・・はい山吹」
木村「管理班の木村です
調査隊から、悪さをしているウェポンマスターの情報を得ました」
山吹「場所はどこだ?」
木村「場所は表示しますので、そちらに向かってください」
山吹「・・・ったく、めんどくせぇな・・・今すぐ向かう
・・・お前も来るか?」
「はい、一応『戦闘班』なので」
山吹「お前も立派な『戦闘班』なら『一応』は必要ない
・・・・じゃあ行くぞ」
そういい店を後にし、現場へと向かっていった
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