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◆届けたい歌◆
◇心の中のキモチ◇
しおりを挟む次の日、わたしはいつもより早い時間に電車に乗った。
どれだけ早く行っても会えるのは8時50分、HRの時だって分かってるけど…会いたくて。
さすが通勤ラッシュと同じ時間帯。
窮屈だし、中年のおじさんの凄い匂いが…。
気分悪い…
人酔い…?それとも匂いで酔ったのかな…
いずれにせよ頭がクラクラする…
「………大丈夫か………?」
後ろから聞き慣れた声がした。
あ、先生…
「…先生…?大丈夫……きゃっ!!」
電車が大きく揺れ、先生に壁ドンされたような状況になり、少し戸惑う。
「あ、悪い…ただでさえ具合悪そうなのに追い討ちかけるみたいな事したな…」
ううん、逆に嬉しいんだよ…
先生、いい匂いがする。
それだけで具合が良くなりそう。
「このままでいて…?」
「は…?!」
「先生…」
「お前…もしかして… 」
はっ…!!
つい本音をぼろぼろ零してたけど…
変態とか思われてないかな?!
「壁ドンに憧れてたんだろー??」
先生は意地悪そうに笑って言った。
「へ?!違うし!!」
わたしは必死に否定する。
違うから…先生だから嬉しかったの!
そんな事言えるはずなくて、ただただ赤面するだけだった。
けれど運が悪く、すぐに駅に着いてしまった。
まあ…一緒に学校行けるから嬉しいかも。
「先生、そういえばもうすぐ文化祭だよ?」
「文化祭かー…何か出すのか…?」
「クラスで店出すみたい。」
「ほー…楽しそうだな…」
先生、すごく興味無さそう…。
わたしは先生と周りたいんだけどな…。
「先生は文化祭とか嫌い?」
「そんなことないけど…特に楽しみもないしな…」
これ…誘ったら断られる感じかな…
『俺、職員室で寝ときたいし…』とか言われそうだし…。
まあ…誘わずに後悔するよりは、誘って後悔する方がいいよね…。
「だったらさ…わたしと周らない?」
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