メロディーライン

めりぃさん

文字の大きさ
上 下
55 / 68
◆君のための歌◆

◇温度差2◇

しおりを挟む



「俺はさ、星野が心配なんだ。」


西条さんと付き合うならなんであんな告白したの…?
わたしは馬鹿だから信じて、嬉しくて、舞い上がって…
こんな事になるなんて思ってもなかった。

「…お願いだから…近付かないで…」

これ以上辛い思いするのは嫌だよ…
優しくされるたびに好きになる。
そんな事も知らないで…優しくなんてしないで…。

「星野…」
「もう嫌なの…!だからお願い…!」

わたしは震える声で叫んだ。
先生は一瞬驚いた表情を見せて、呟く。

「…分かった…ごめんな?…辛い思いさせて」

違う…そうじゃない…
確かに辛いけど…嫌なのは、ダメだと分かっててもどんどん先生のことを好きになる自分。忘れようとしても忘れられない自分が嫌なの…。

先生と一緒にいて辛いことはあった。
けど、幸せだって思えたことの方が多かったから…。

静かに保健室を立ち去る先生。
「待って」って言えたら、この気持ちを伝えたらどうなるんだろう。
そんなできもしない事ばかり考えてる。


やっぱりわたしは自分の事を好きになれない。





しおりを挟む

処理中です...