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◆君のための歌◆
◇すれ違い◇
しおりを挟むそれから数週間が経過し、とうとう修学旅行の日がやって来た。
梶原くんとはあれから毎日一緒に登下校していて、瑠奈からは『ラブラブだね~』なんて言われてる。
ただ普通に会話したりしてるだけなんだけどな…
先生は相変わらず西条さんといつも一緒にいる。
登下校はもちろん、最近は一緒にお弁当食べたりしているみたい。
きっと今日から始まる修学旅行でもイチャイチャラブラブするんだろうな…
わたしも早く新しい恋を探さなきゃ…
でも…梶原くんはわたしの事好きだって言ってくれてるし…どうすればいいんだろう。
「茉莉…やばいよ…酔った…」
ふと瑠奈がしんどそうな顔で話しかけてきた。
「大丈夫…?!とりあえず遠くの景色を見てたら落ち着くと思うよ…?」
飛行機に乗った後すぐのバスで気分が悪くなったんだろう。
瑠奈はそんなアドバイスを無視して「あと何分で着くのー!!!!!!!!!!!!!!!!」と子供のように叫んでる。
「あと20分くらいで着くから大人しくてろ…」
後ろから聞こえてきた先生の声。
顔は見えないけどきっと呆れた顔で苦笑いしてるに違いない。
「瑠奈、今日はテンション低いの~」
とか言いながらバス降りたらはしゃぎ回るんだろうなー…
「ねぇ!!茉莉見て見て!!!!!!!!!!!!!!!!海がキレイ!!!!!!!!!!!!!!!!」
…前言撤回。
バス降りたらじゃなかった。
バスがトンネルを抜け、海沿いの道にかかると、瑠奈はテンションを上げ子供のように窓の外の海に食いついていた。
今わたし達がいるのは沖縄。
確かに初めて見る綺麗な海にわたしも内心テンションが上がっている。
「確かに海綺麗だな!」
前の席に座っている梶原くんが振り返って言った。
「…でも、海より星野の方が綺麗だよ。っていう洸の心の声を読んであげた…」
梶原くんの隣に座っていた金田くんも振り返って言った。
「瑞希!お前ふざけんな!」
「冗談なのにー…」
…テンション高いなぁ…
なんて思いながら窓の外を眺める。
「茉莉、綺麗だね♪」
瑠奈まで茶化してくる。
「そんな訳ないじゃん…」
呆れ顔で返す。
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