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◆君のための歌◆
◇素直になりたい◇
しおりを挟む「茉莉~さっき梶原くんと何話したの~?」
帰ってきてから今の食事の時間まで、瑠奈はこの質問しかしてこない。
なんでそんなに気になるの…
「なにも話してないよ…?」
「絶対嘘じゃん!先生に言うよ?!」
なんでそこで先生を出すの…
「絶対話した方が先生に言うでしょ…」
「瑠奈はね、茉莉に正直になってほしいの。瑠奈には嘘付かないでよ!!!!!!!!!!!!!!!!」
瑠奈は立ち上がり、大きい声で言った。
「もう!分かったから座って!後で話すから…!」
毎度の事だけどみんな見てるから…
「おーい、食事の時くらい仲良くしろー?」
遠くの席に座っていた先生が言った。
別にケンカしてる訳じゃ…
「お前ら仲いいのか悪いのかわかんねーよな!」
梶原くんまで…
「何言ってんの?!瑠奈と茉莉は小さい頃から仲良しなの!」
「まあまあ…落ち着いて…」
それから食事を終え、しばらくしてわたし達は温泉へと向かった。
「疲れが吹っ飛ぶねぇー」
「瑠奈…おじさんみたいよ…?」
「うー…別にいいじゃんー」
「それで…茉莉は梶原くんと付き合うの?」
「まだ迷ってる…でもね、今日分かったの。梶原くんはわたしの事すごく想ってくれてるんだって…」
「……先生は?」
瑠奈はおずおずと呟いた。
「先生には西条さんがいるし…今更…好きなんて言えないよ…」
「でも、好きなんだよね?」
「…正直まだ忘れられないよ…あんなに好きにさせといていきなりこんなの…諦めろっていう方が無理だよ…」
でも…先生の幸せは壊したくない…
好きな人には幸せになって欲しい…。
「この事言うなって言われてたんだけどね、お兄ちゃんが茉莉の事で一度相談してきたの。」
先生が瑠奈に相談…?
「西条にね、交換条件を出されたって。」
「交換条件…?」
「お兄ちゃんは、西条が茉莉に嫌がらせしてたの知ってたみたいで、その事を西条に問い詰めたら、『嫌がらせは二度としない、私と付き合わなくてもいい。だからせめて一番近くにいて』って交換条件を出されたんだって。」
そんなのおかしい…
西条さん…そんなのおかしいよ…
「ここから先は、お兄ちゃんに直接聞いて?瑠奈が言うのも変だけど、お兄ちゃんはずっと茉莉だけを見てるんだよ?」
「瑠奈…わたし…どうすれば…」
「自分の気持ちに素直になって…?瑠奈は茉莉の味方だからね?」
「ありがとう…!」
泣きながらそう告げると、わたしは急いで温泉を出た。
急いで髪の毛を乾かし、ルームウェアを着ると、更衣室を飛び出す。
すると、そこには丁度梶原くんがいた。
男子用温泉は隣で、梶原くんも今温泉を上がったんだろう。
「わ!星野…どしたんだ?」
「あのね…」
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