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第1章 初めから終焉
決戦:暴食01
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アメニア王国第三師団所属クロス・マクレーリーはただ、ただ恐怖していた。
ただの行進演習。ちょっとスリルある行軍だと上官からは聞いていた。しかし、開けてみれば領土侵攻でたった1人の少年に返り討ちにあった。そして少年が何か言ったかと思えば7万5千の大軍は全員見知らぬ島へ飛ばされていた。
「なぁ、クロス軍曹…俺達は夢でも見ているのか?」
「あぁ、夢だ。夢に違いない。」
全員の無事が確認できた直後、空から滝のような矢が降ってきた。身を隠せるものの少ない島の砂浜にいた部隊はひとたまりも無く多くのけが人が出た。
「な、なぁ…この矢…もしかして…」
「…仮にそうだとして次に降るのは…いかん全員退避ー!!!」
唐突に恒星のような輝きが怪我を負った部隊に襲いかかった。その攻撃は正しく先ほど少年に向けて放った都市破壊級爆裂魔法だった。爆音と熱が肌を焼き、衝撃波が体を四散させる。人だったもの、辛うじて人であるとわかるものが入り交じり、たった2度の攻撃で第三師団が大勢戦死した。
砂浜の殆どがガラスとなり、爆発と同時に団員へ突き刺さった。目に刺さったものは目を。耳に刺さったものは耳を全身に刺さったものは体を変色させながら呻いていた。
「こんなの…こんなの地獄と同じじゃねぇか!」
「ひっひどい傷!?『ヒール』あれ?『ヒール』!魔法が…魔法が発動しない!?」
「怪我をしているものは木陰に移動させろ!部隊長!被害状況の確認急げ!」
時が経つにつれポツポツと報告が上がり、第三師団の7割程が戦死したらしい。
「ここはどこなのでしょう…。」
「…恒星の動きから大体の場所が把握できると聞いたことがあります。」
「本当かでは試してみてくれ」
「了解です」
「回復手段がないのが辛いですね。魔法が何らかの干渉により発動しません。」
「ケビン准将、無事だった部隊を率いてこの島を回ってきてくれまいか?人里があれば情報を得るために使わせてもらう。」
「御意!」
「クレア少将、兵糧はどうなっている?」
「先ほどの爆発により大半がダメになりました。かき集め、節約させても3日持てばいいほうでしょう。」
「行軍演習という表の命令が裏目に出たな。即座に食べられそうなものをかき集めろ。」
「了解です!」
ロベルト副師団長が戦死した師団長の代わりにまとめあげ、何とか暴動、略奪を事前に防ぐ。
「クロス軍曹。顔色が優れないようだが…どうした?」
「恒星が…動いていません。」
「何?」
「先程から影を観測し、恒星の動き、光の角度を計測しているのですが恒星が1ミリたりとも動いておらんのです。」
「…そんな事が起きうるのか?」
「極北や極南ではごく稀に日の沈まぬ日があると聞いたことがありますが…それでも影は動くはずであります。」
「そうか…取りあえず貴様もけが人の収容を手伝え。」
「了解しました!」
たった1人の少年が何をしたかも分からぬまま恒星の熱により体力を奪われ、次々と体調を崩すものが現れ始めた。
「なぁ、クラウド。こういう状況なんだが…どうすればいい?」
「まず俺にはこの状況が理解できないんだがどういう事だ?何故奴らは傷を癒さない?」
「あぁ。それは回復魔法には精霊が必要だからだよ。」
「は?…もしかして…精霊がいないのか?」
「そう。いないね。」
「というかこの世界はなんなんだ?」
「俺の作った箱庭。だから太陽だって動くわけないだろ?」
「太陽…?恒星の事か?」
「あぁ。」
「なるほど。異常という事だけ伝わった。でも良いのか?俺にこんな切り札みたいなもの見せて」
「別に。お前が裏切ればこれより酷いところに送り込んでやるから安心しな。」
「おぉ怖い。その目はマジだな?やめてくれ想像するだけで小便チビりそうだ。」
クラウドをからかっていると悠叶のフードからシャルロットの頭だけが出てくる
『クラウド、ほんとに怖がってる。』
「シャル、おまそんな所から出てくるなよ危ないだろ」
『悠叶がいるから大丈夫。』
「お前なぁ…。」
なんだかんだ言いつつ悠叶はシャルロットの同行を許可する。
「シャルロットにはちょいと刺激が強すぎるんじゃねえか?」
「…し…ん…」
『心配しなくていい。私はクラウドより悲惨な生を送ってきた』
「あ?何だって?」
「お前よりキモ座ってるから大丈夫だってさ。」
「いや、こういうグロテスクな代物は子供の教育とかに悪影響があるってどっかで聞いたぞ?」
「まぁ本人が大丈夫なら大丈夫だろ」
「そんなもんか…?」
『そんなもん』
「なぁ…この湖はどこまで続いているんだ?」
「さぁな。」
「さてと。そろそろ動き出すかな?」
「は?」
『?』
暴食の大罪人グラトニーはこの上なく焦っていた。
先日の地下墓戦で悠叶に邪魔され大事に育てたブッチャーを破壊されたグラトニーは静かに怒っていた。
あの時の復讐をするためアメニア王国に強欲のグリードを差し向け戦争を起こさせ、混乱に乗じあのガキの仲間を襲い目の前でタップリ嬲って殺すつもりだった。
その為に7万5千の中に紛れ込んだのだが…それが裏目に出た。
仲間達の確保はバニティーに任せてあるので安心はしているが…孤立している現状を打破しなくては野望は果たせない。
この空間は恐らくあのガキの手札。ここを乗り切れば勝機はある。
「あれ?ほとんどダメージ無さそうだな。」
「あんな攻撃でオラにダメージが入るわけないんダナ」
「ふうん。それで?どういうご要件で?」
「ブッチャーの仇をとるんダナ。」
「そうか。俺も俺でカールの仇をとらねぇとな。お前らだろ?教会の上層部まで仕込んでやってるとはね。」
「それがどうした?」
「…認めるんだ…。」
「オラはたとえこの場の主導権がお前にあっても勝てるんダナ。お前の弱点は知ってる。だから殺すのは簡単なんダナ。」
「へぇ。お優しい事で。ほんとに殺すきあんのかよ…。俺なら再起不能にして目の前で大事にしてる奴なぶり殺しにしてそれから殺さない程度で延々といたぶるけど?」
「……。お前…。やはりこっち側の人間なんダナ。」
「お前らと一緒にするなよ。俺は善良な一般市民だぜ?」
「お喋りはこの位にしてさっさと決着付けるんダナ。」
「そうだな。」
【グラトニー:詳細不明】
「無駄なんダナ」
「あぁ、そうかい。」
「『アースバレット』」
「はっオラに放出系は無駄なんダナ!」
こうして戦いは静かに始まった
ただの行進演習。ちょっとスリルある行軍だと上官からは聞いていた。しかし、開けてみれば領土侵攻でたった1人の少年に返り討ちにあった。そして少年が何か言ったかと思えば7万5千の大軍は全員見知らぬ島へ飛ばされていた。
「なぁ、クロス軍曹…俺達は夢でも見ているのか?」
「あぁ、夢だ。夢に違いない。」
全員の無事が確認できた直後、空から滝のような矢が降ってきた。身を隠せるものの少ない島の砂浜にいた部隊はひとたまりも無く多くのけが人が出た。
「な、なぁ…この矢…もしかして…」
「…仮にそうだとして次に降るのは…いかん全員退避ー!!!」
唐突に恒星のような輝きが怪我を負った部隊に襲いかかった。その攻撃は正しく先ほど少年に向けて放った都市破壊級爆裂魔法だった。爆音と熱が肌を焼き、衝撃波が体を四散させる。人だったもの、辛うじて人であるとわかるものが入り交じり、たった2度の攻撃で第三師団が大勢戦死した。
砂浜の殆どがガラスとなり、爆発と同時に団員へ突き刺さった。目に刺さったものは目を。耳に刺さったものは耳を全身に刺さったものは体を変色させながら呻いていた。
「こんなの…こんなの地獄と同じじゃねぇか!」
「ひっひどい傷!?『ヒール』あれ?『ヒール』!魔法が…魔法が発動しない!?」
「怪我をしているものは木陰に移動させろ!部隊長!被害状況の確認急げ!」
時が経つにつれポツポツと報告が上がり、第三師団の7割程が戦死したらしい。
「ここはどこなのでしょう…。」
「…恒星の動きから大体の場所が把握できると聞いたことがあります。」
「本当かでは試してみてくれ」
「了解です」
「回復手段がないのが辛いですね。魔法が何らかの干渉により発動しません。」
「ケビン准将、無事だった部隊を率いてこの島を回ってきてくれまいか?人里があれば情報を得るために使わせてもらう。」
「御意!」
「クレア少将、兵糧はどうなっている?」
「先ほどの爆発により大半がダメになりました。かき集め、節約させても3日持てばいいほうでしょう。」
「行軍演習という表の命令が裏目に出たな。即座に食べられそうなものをかき集めろ。」
「了解です!」
ロベルト副師団長が戦死した師団長の代わりにまとめあげ、何とか暴動、略奪を事前に防ぐ。
「クロス軍曹。顔色が優れないようだが…どうした?」
「恒星が…動いていません。」
「何?」
「先程から影を観測し、恒星の動き、光の角度を計測しているのですが恒星が1ミリたりとも動いておらんのです。」
「…そんな事が起きうるのか?」
「極北や極南ではごく稀に日の沈まぬ日があると聞いたことがありますが…それでも影は動くはずであります。」
「そうか…取りあえず貴様もけが人の収容を手伝え。」
「了解しました!」
たった1人の少年が何をしたかも分からぬまま恒星の熱により体力を奪われ、次々と体調を崩すものが現れ始めた。
「なぁ、クラウド。こういう状況なんだが…どうすればいい?」
「まず俺にはこの状況が理解できないんだがどういう事だ?何故奴らは傷を癒さない?」
「あぁ。それは回復魔法には精霊が必要だからだよ。」
「は?…もしかして…精霊がいないのか?」
「そう。いないね。」
「というかこの世界はなんなんだ?」
「俺の作った箱庭。だから太陽だって動くわけないだろ?」
「太陽…?恒星の事か?」
「あぁ。」
「なるほど。異常という事だけ伝わった。でも良いのか?俺にこんな切り札みたいなもの見せて」
「別に。お前が裏切ればこれより酷いところに送り込んでやるから安心しな。」
「おぉ怖い。その目はマジだな?やめてくれ想像するだけで小便チビりそうだ。」
クラウドをからかっていると悠叶のフードからシャルロットの頭だけが出てくる
『クラウド、ほんとに怖がってる。』
「シャル、おまそんな所から出てくるなよ危ないだろ」
『悠叶がいるから大丈夫。』
「お前なぁ…。」
なんだかんだ言いつつ悠叶はシャルロットの同行を許可する。
「シャルロットにはちょいと刺激が強すぎるんじゃねえか?」
「…し…ん…」
『心配しなくていい。私はクラウドより悲惨な生を送ってきた』
「あ?何だって?」
「お前よりキモ座ってるから大丈夫だってさ。」
「いや、こういうグロテスクな代物は子供の教育とかに悪影響があるってどっかで聞いたぞ?」
「まぁ本人が大丈夫なら大丈夫だろ」
「そんなもんか…?」
『そんなもん』
「なぁ…この湖はどこまで続いているんだ?」
「さぁな。」
「さてと。そろそろ動き出すかな?」
「は?」
『?』
暴食の大罪人グラトニーはこの上なく焦っていた。
先日の地下墓戦で悠叶に邪魔され大事に育てたブッチャーを破壊されたグラトニーは静かに怒っていた。
あの時の復讐をするためアメニア王国に強欲のグリードを差し向け戦争を起こさせ、混乱に乗じあのガキの仲間を襲い目の前でタップリ嬲って殺すつもりだった。
その為に7万5千の中に紛れ込んだのだが…それが裏目に出た。
仲間達の確保はバニティーに任せてあるので安心はしているが…孤立している現状を打破しなくては野望は果たせない。
この空間は恐らくあのガキの手札。ここを乗り切れば勝機はある。
「あれ?ほとんどダメージ無さそうだな。」
「あんな攻撃でオラにダメージが入るわけないんダナ」
「ふうん。それで?どういうご要件で?」
「ブッチャーの仇をとるんダナ。」
「そうか。俺も俺でカールの仇をとらねぇとな。お前らだろ?教会の上層部まで仕込んでやってるとはね。」
「それがどうした?」
「…認めるんだ…。」
「オラはたとえこの場の主導権がお前にあっても勝てるんダナ。お前の弱点は知ってる。だから殺すのは簡単なんダナ。」
「へぇ。お優しい事で。ほんとに殺すきあんのかよ…。俺なら再起不能にして目の前で大事にしてる奴なぶり殺しにしてそれから殺さない程度で延々といたぶるけど?」
「……。お前…。やはりこっち側の人間なんダナ。」
「お前らと一緒にするなよ。俺は善良な一般市民だぜ?」
「お喋りはこの位にしてさっさと決着付けるんダナ。」
「そうだな。」
【グラトニー:詳細不明】
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