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第一章 占領
レジスタンス
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錆と油のにおい…。ここはどこだろうか…先程のあの男。何故だろう。あの男の輪郭がぼやけていく…。
耳を澄ませると機械音の他に何やら怒鳴り声のようなものが聞こえた。
「一体全体どーなってんだよ!全く…。」
「へい、どうやらザックの野郎がこの女を放り出していったらしいっす」
「馬鹿野郎!何者かも分かんないやつをここまで連れてくるんじゃないよ!?政府の改造人間だったらどうするんだよ!」
声の高さからして、おそらく女性。どうやら今すぐ死ぬような状況ではないようで、私はゆっくりと目を開けた。
「姐さん。目ぇ醒ましたみたいですぜ?」
近くにいた女性がドアへと駆け寄り、隣の部屋にいる者達を呼んでくる。
すると間髪入れずにドアが開かれ、色々な人間がなだれ込んできた。
「やっとお目覚めかい!全く。ねぼすけめ」
「姐さん。いきなり大声で威嚇しては怯えてしまうよ。」
最初に声を上げたのはとても逞しい肉体を持つ女性だった。続いて声を出したのはひ弱そうな男性。
「あなた達は…誰?」
「俺達?俺たちは…そう!君がこの近くで倒れていたから介抱していただけの一般人さ。」
一般人か…外郭都市では銃火器をフル装備して、いつでも戦える格好をしている奴らが一般人なのか…。まぁ、中には外との連絡役だろうか防寒具を身につけている者もいるが…。
「カトリ…それは無理があるよ…。」
レジスタンスの中には老若男女様々な年代の人間がいた。
「お前さん、ザックとかいうこそ泥を知ってるね?」
「……えぇ。」
「では私達の立場も知っているんじゃないかい?」
「まぁ…レジスタンスの方々ですよね…?」
「そういうこった。あんた、名前は?」
「……。レティシア」
「歳は?」
「多分…14」
「14か…。この都市の状況はわかるかね?」
「…。どこの国が攻めてきてるの?」
「帝国だよ。ローエン帝国。」
ローエン帝国…。ここ、ニブンゲルに幾度となく戦争を仕掛けて来る隣の大国である。史実として帝国は何度も敗北しており、今回は王国防衛の要所である外郭都市を狙ったという事か…。
「……それで、私をどうするつもり?」
私はひ弱そうな男の前に立ち、私の処遇を訪ねる。
「…どうして俺に聞くのかな?」
そう、あの逞しい姐さんに聞かず、先程カトリと呼ばれた男に問うた。
「だって、貴方がここのリーダーでしょ?」
「…………。」
長い沈黙が工場の騒音のあいだに広がった。
「な…何故…そう思ったんだい?」
「表向きのリーダーは『姐さん』って人。そちらに監視やスパイの目を向けさせて、作戦の立案や、行動日時は別の人間がやる。そういうモノでしょ?」
この中に裏切理想な人間がいるかもしれないから小声でそっと耳打ちをする。
「はっはは。違う違う。俺はそんなリーダーなんて器じゃないさ。そっちの姐さんがここのリーダーさ。」
「そう、ごめんなさい。」
「そうだよあたしがこのグループをまとめてるルチルだ。」
「それで、改めて聞くけど私をどうするつもり?」
「……。どうして欲しい?あんたはあたしらの事を知ってしまった。だから帰りたいって言ってもはいそうですかって帰す訳にはいかない。」
「でも私は……。」
「呪われている。知ってるよ。」
「ッならどうして!?」
呪いが周囲にバレすぎる気がするが、演技を続ける。
「あたし等『黎明の翼』にはあんたの呪いが効かないから。」
「……。そう。では私はどうすればいいの?」
「一緒に戦ってくれないか?帝国からこの国を守る為に…。」
「……え?」
あぁ、ダメだ、完全に予想外な言葉が飛び出した。大体何でこんなひ弱そうでこのグループに来たばかりの人間を勧誘するのだろう?何を私に求めているというのだろうか……。
「……あぁ言葉を間違えた。あんたは今日から仲間だ。」
「…………。」
大丈夫なのだろうか?この組織…。何故か訳知り顔でこちらを見ているカトリがすごく腹立つ…。
「……。分かった。他に選択肢が無いのならそれに従う。」
「よし、じゃあ今日から入った新顔にこの場所の説明をしなきゃね。ほら、あんた達?持ち場に戻った戻った。」
ワイワイキャーキャー騒ぎながら各々自分の持ち場へ戻っていく。何となく暖かいようで明るい雰囲気を感じ取った。
でも、不安が残る。
この都市を攻略した存在とあのザックとかいう男…。
全ての歯車が出揃い、時計が時を刻むように全てが始まったような気がした。
耳を澄ませると機械音の他に何やら怒鳴り声のようなものが聞こえた。
「一体全体どーなってんだよ!全く…。」
「へい、どうやらザックの野郎がこの女を放り出していったらしいっす」
「馬鹿野郎!何者かも分かんないやつをここまで連れてくるんじゃないよ!?政府の改造人間だったらどうするんだよ!」
声の高さからして、おそらく女性。どうやら今すぐ死ぬような状況ではないようで、私はゆっくりと目を開けた。
「姐さん。目ぇ醒ましたみたいですぜ?」
近くにいた女性がドアへと駆け寄り、隣の部屋にいる者達を呼んでくる。
すると間髪入れずにドアが開かれ、色々な人間がなだれ込んできた。
「やっとお目覚めかい!全く。ねぼすけめ」
「姐さん。いきなり大声で威嚇しては怯えてしまうよ。」
最初に声を上げたのはとても逞しい肉体を持つ女性だった。続いて声を出したのはひ弱そうな男性。
「あなた達は…誰?」
「俺達?俺たちは…そう!君がこの近くで倒れていたから介抱していただけの一般人さ。」
一般人か…外郭都市では銃火器をフル装備して、いつでも戦える格好をしている奴らが一般人なのか…。まぁ、中には外との連絡役だろうか防寒具を身につけている者もいるが…。
「カトリ…それは無理があるよ…。」
レジスタンスの中には老若男女様々な年代の人間がいた。
「お前さん、ザックとかいうこそ泥を知ってるね?」
「……えぇ。」
「では私達の立場も知っているんじゃないかい?」
「まぁ…レジスタンスの方々ですよね…?」
「そういうこった。あんた、名前は?」
「……。レティシア」
「歳は?」
「多分…14」
「14か…。この都市の状況はわかるかね?」
「…。どこの国が攻めてきてるの?」
「帝国だよ。ローエン帝国。」
ローエン帝国…。ここ、ニブンゲルに幾度となく戦争を仕掛けて来る隣の大国である。史実として帝国は何度も敗北しており、今回は王国防衛の要所である外郭都市を狙ったという事か…。
「……それで、私をどうするつもり?」
私はひ弱そうな男の前に立ち、私の処遇を訪ねる。
「…どうして俺に聞くのかな?」
そう、あの逞しい姐さんに聞かず、先程カトリと呼ばれた男に問うた。
「だって、貴方がここのリーダーでしょ?」
「…………。」
長い沈黙が工場の騒音のあいだに広がった。
「な…何故…そう思ったんだい?」
「表向きのリーダーは『姐さん』って人。そちらに監視やスパイの目を向けさせて、作戦の立案や、行動日時は別の人間がやる。そういうモノでしょ?」
この中に裏切理想な人間がいるかもしれないから小声でそっと耳打ちをする。
「はっはは。違う違う。俺はそんなリーダーなんて器じゃないさ。そっちの姐さんがここのリーダーさ。」
「そう、ごめんなさい。」
「そうだよあたしがこのグループをまとめてるルチルだ。」
「それで、改めて聞くけど私をどうするつもり?」
「……。どうして欲しい?あんたはあたしらの事を知ってしまった。だから帰りたいって言ってもはいそうですかって帰す訳にはいかない。」
「でも私は……。」
「呪われている。知ってるよ。」
「ッならどうして!?」
呪いが周囲にバレすぎる気がするが、演技を続ける。
「あたし等『黎明の翼』にはあんたの呪いが効かないから。」
「……。そう。では私はどうすればいいの?」
「一緒に戦ってくれないか?帝国からこの国を守る為に…。」
「……え?」
あぁ、ダメだ、完全に予想外な言葉が飛び出した。大体何でこんなひ弱そうでこのグループに来たばかりの人間を勧誘するのだろう?何を私に求めているというのだろうか……。
「……あぁ言葉を間違えた。あんたは今日から仲間だ。」
「…………。」
大丈夫なのだろうか?この組織…。何故か訳知り顔でこちらを見ているカトリがすごく腹立つ…。
「……。分かった。他に選択肢が無いのならそれに従う。」
「よし、じゃあ今日から入った新顔にこの場所の説明をしなきゃね。ほら、あんた達?持ち場に戻った戻った。」
ワイワイキャーキャー騒ぎながら各々自分の持ち場へ戻っていく。何となく暖かいようで明るい雰囲気を感じ取った。
でも、不安が残る。
この都市を攻略した存在とあのザックとかいう男…。
全ての歯車が出揃い、時計が時を刻むように全てが始まったような気がした。
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