そうして俺は故意に堕ちる

マカロン

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借り物競争

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位置についてよーい

パーン!!!

借り物競争が始まり俺は目の前の机に置かれた四つ折りの紙を一枚手に取る。

手の中のメモには

「...好きな人」

べたべたじゃねーか!!!この競技のこれ、めちゃくちゃべたのべたじゃねーかよ!

どーすんだよこれー!!!

メモを持ったまま固まる俺の前にいつの間にか三角のパーティ帽子を被った、丸メガネに付け鼻ちょび髭のやけに浮かれた風貌のマイクを持った男が立っていた。体育祭実行委員の腕輪を付けている隣のクラスの田中だ!!
...こいつ、浮かれすぎじゃね?

「ふははは」

思わず笑っちゃって油断した俺の手から田中がメモを取り上げた。

「おおーっとセリヌンティウスこと佐倉陸のお題は、な、なんと『好きな人』!さぁー皆さんこれは大注目ですよー!」

ふざけんな!

「誰がセリヌンティウスじゃ!」

「目黒がメロスで佐倉がセリヌンティウス、これは学校内の伝説になってますよー、さぁーそんなセリヌンティウス佐倉陸が選ぶ好きな人とは一体誰だぁー...」

キャーキャー

浮かれパーティ帽子男がキンキンに響く大音量で群衆を煽るような物言いをしてまたしても女子からの黄色い声が響く。

「田中ーお前ぇー」

俺が怒りの鉄槌をくだそうと思った時には素早い田中はダッシュで逃げて次なるターゲットの所

「我が校いちのイケメン王子様、目黒拓海のお題はーなんと『可愛いモノ』応援席の皆さーん、可愛いモノを手元に準備しておいて下さいよー!!」

拓海は可愛いモノかぁーそれなら簡単そうだな。
問題は俺だな。えーっと好きな人、、好きな人、、。

_辺りを見渡す。

あ!!!居たーー!!!
俺の大好きな人!!!!!
あの人だ!!! と思って走り出した瞬間

__「ぅげぉ、」

 俺の腹に手が回ってきて背後に衝撃が襲う。
その腕の力が強くて動けなくなる。
なんならみぞおちに入っててちょっと苦しいんだけど!!

「えぇっ!?なになになんですか誰?」

振り返ると可愛いモノを探しに行ってるはずの拓海が俺を捕まえてる

顔ちっか!

キャーキャー
尊いーー!!!!!!

なんかよくわかんねーけど女子の皆がまた絶叫してる

「拓海、離せって!」

「離さない!!!!」

「はぁ?!」

なんでこいつちょっとキレてんの?!

「佐倉の好きな人って誰?緑?」

また呼び捨てかよ

「いや、緑先生も好きだけど、もっと好きな人いるから」


ぎゅうううう

「いっ、た、拓海、痛い痛いって、」

ゴリラ並みの握力で思いっきり俺を抱きしめてきて

「く、くるぢぃー」

「、、ごめん、つい...」

ついなんだよ!
つい俺を絞め殺すつもりだったのか?
メロスがセリヌンティウス殺すとか闇が深すぎんだろ!!

「...俺が好きなのは、保健室のおばあちゃん先生。この学校できっと俺が一番世話になってると思うけど、その度に優しく手当てしてくれるから、俺この学校の先生の中で一番好きだから」

って拓海に説明してる間に

パーン!!!

一位がゴールしたことを知らせるピストルがなった。
田中がアナウンスする。
「一位がゴールしました!!」
前方を見ると
サッカー部エースの木村が後輩をおぶって一位でゴール。
続いて女装した奴、着ぐるみ着た奴、机やフライパンなどの小道具持ってる奴、色んな奴が次々ゴールしていくのが見える

「さぁー残りは目黒、佐倉、飛び入り参加の翠川先生の三名です!頑張ってくださーい!」

やっべ、

「俺 、おばあちゃん先生とこ行くから拓海は    」

「俺も一緒に行く」

「はぁ?え、なんで?お前のお題は可愛いモノだろ、それをさっさと探し行けよ」

「可愛いモノなら目の前にいる」

「ん?目の前?、、、まさかお前...」

「佐倉。やっと分かってくれた?」

「お前もおばあちゃん先生狙いだったのかー」

「・・・」

確かにジブリに登場しそうな可愛いおばあちゃんにそっくりだもんなぁ~

「よしじゃぁー、一緒に行こう拓海!」






□□□

「うふふ、両手に華で腕組んじゃって、うふふ、二人のファンの皆にあたし怒られないかしら?ごめんなさいね、走れなくって」

保健室のおばあちゃん先生がにこにこと笑う。

そんな俺たちの横を緑先生が三輪車に乗りながら追い越して行くのが見えた。

「いいのいいの、ゆっくり歩いて行こうねーおばあちゃん先生」

おばあちゃん先生。
優しいし、ちっちゃいし、丸いし、可愛いし。めっちゃ大好き。
白テントの下にちょこんと座っていたおばあちゃん先生に無理をお願いして、仲良く三人でゴールに向かってゆっくり歩いている

結局ぶっちぎりの最下位になっちゃったけど、皆に「がんばれー」って応援され拍手喝采の中で無事ゴール出来たのがなんだかほんわかして良かった。

そんな感じで今年の体育祭は過去イチ気分よく終われた。


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