そうして俺は故意に堕ちる

マカロン

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バレンタインデー

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「...なぁ..お前、、大丈夫か?」

「なにが?」

「なにがって..」

この地球上の美しさを全てかき集めました!ってほどの完璧な容姿を持つ男が
本日バレンタインチョコを過去イチ貰ったにもかかわらず
世界中の不幸をかき集めました!って顔して『好きな相手の落とし方』というタイトルの本を読んでいたら色々大丈夫か?って言いたくなるわ!

「学校イチのモテ男が、なんでそんな本読んでんだよ。嫌味か!」

「.....」

愚痴る俺を横目に拓海は本のページをめくる。
なんだろう..若干拓海の目の淵が赤い気がする。
そんなに思い詰めた感じなのか?

「拓海、お前、好きな奴がいんの?」

拓海は文字から目を逸らすことなく静かに頷いた。
好きな奴が居て、落とし方の本を読んでるってことはつまりそれは

「片想いってこと?」

コクリと頷いた。

いやいやいやいや

「え、マジで?!」

この地球上の美しさを全てかき集めました!ってほどの完璧な容姿を持つ男なんだよ!
バレンタインチョコ過去イチ貰ってる男なんだよ!
好きな奴がいるならさっさと

「コクればいいじゃん!」

目を見開き食い気味に拓海に言う。
拓海に言い寄られて堕ちない奴なんてこの世にいねぇだろ。

俺のその言葉に拓海が本から視線をスライドさせこっちを見たかと思うと途端に妙な表情になってまるで俺が何か失言でもしたかのような意味ありげな目付でじろりと見る

「え、なに、なんか俺お前の地雷踏んだ?」

「.......告るとか、例えダメだったとしても乗り越えられるヤツにしか出来ないことだから俺はダメだ。フラれたその先は死ぬしかない。」

「は?」

お前の中には0か100しかねーのかよ。
大げさ過ぎだろ

「てかさーなんでフラれる前提なの?校内一のイケメンがなんでフラれる前提で考えちゃってんの?」

めっちゃ弱きじゃね?自分の顔鏡で見たことあるよね?
まさか家に鏡ないとか?それとも家の鏡すべてにちょび髭の落書きがしてあるとか?

「...だって、俺に、たぶん脈ない」

「え、死んでんじゃん」

「.....」

さらりと冗談をかましたつもりが、冗談が全く通じない男目黒拓海。四角四面を絵にかいたような男それが目黒拓海。
無反応のままパタリと手元の本を拓海が閉じる。
いつになくマジで凹んでやがる。

「あ、わかった!その子からチョコ貰えなかったんだろー」

確かにバレンタインチョコを過去イチで貰ったとしても本命の子から貰えなかったら脈なしだって思うわなー

「..貰った」

「はぁ?え、え、お前、本命の子からチョコ貰ってんの?」

「うん」

「バリバリ脈ありじゃん!!死んでねーじゃん生き生きじゃん!!」

「...俺にとっては本命でも相手にとっては本命じゃないかもしれないし」

「んな訳ねーって、その子は同じ学校の子?」

「うん、同級生」

「へー」

全然知らんかった。

「その子可愛い系?それとも美人系?」

「可愛くて美人、可愛さが県外、美しさが宇宙、顔面天使」

え、なにクレオパトラ?楊貴妃?小野小町?
..めっちゃ笑顔で天使とか言ってガチで惚れてんだな

「その..天使、ちゃんに話しかけたりとかはしてんの」

 「してる」

「LINE交換は?」

「してる」

「その天使ちゃんは付き合ってる相手とかいんの?」

「たぶんフリー」

だったらもう

「決まり!!お前ホワイトデーの日にその天使ちゃんにコクれ!」

「...でも、フラれたら俺...」

「拓海がフラれるとか絶対ないって」

「分からないよ。もしフラれたら...佐倉が俺のこと貰ってくれる?」

「俺が?拓海を貰う?いや、なんでそーなるんだよ」

「そーじゃないと怖くて告白なんて出来ない」

「...よし!分かった!もし万が一拓海がフラれた時は俺がお前の屍拾ってやるよ!でも拓海に本気で告白されて堕ちない奴なんて絶対いるはずないから自信持って行け!」

「...分かった。佐倉がそこまで言ってくれるなら自信持ってホワイトデーの日に告白する」

「そうと決まれば、ホワイトデーに渡すお返しのプレゼントを何にするかだな!」

俺は早速スマホを取り出し目ぼしいものをググる。

「えーっと、定番はクッキーとかマシュマロとかかな.....あーでもクッキーはサクサクした食感が軽さやドライなイメージがあるため、友達にあげるお返しの定番って書いてあるなぁー」


「佐倉ってそーゆーのこだわるの?」

「いや、別にそんな普段はこだわらないけど、拓海にとって大事な告白絡んでるから、そこはやっぱ少しでもさ、、あーマシュマロもダメだな...あ、でもキャンディーは良さそうだぞ!」

俺はスマホの画面を拓海に見せる。

【キャンディーは『あなたのことが好きです』という意味が含まれています。硬くて割れにくく口の中でいつまでも残ることから『ふたりの関係は割れない・長続きする』という気持ちが込められているので本命の人へのプレゼントとして適しているお菓子です】

「これ、よくない?」


「..佐倉はキャンディー好き?」

「ん?俺? 俺はあんま食べないかなー、飴って食べてるうちに飽きちゃうんだよね」

「..じゃぁーやめとく」

「え、いや、俺は飴食べねーけど、天使ちゃんは好きかもしんねーし」

「..たぶんあんまり食べないと思う」

「ふーんそっか、まあ俺より拓海の方が天使ちゃんのことよく知ってるしな、じゃぁー飴以外にしよう」

「うん」

「えっと、それじゃぁーハンカチとか、、あーダメだな別れの意味が含まれてる、、、あ、香水なんかいいかも!」

「香水?」

「うん、ほら」

再び拓海にスマホの画面を見せる。
【香水には「あなたと親密な関係になりたい」という意味合いがあります】

「佐倉は香水とか着けてるの?」

「俺は香水はつけないかな」

「でも佐倉いつもいい匂いしてる」

「んーそれは家で使ってる柔軟剤とかの匂いじゃね」

「ふーん。柔軟剤だったんだ」

「いや、俺の話はいいから、今は天使ちゃんへのお返しの話だろ」

「香水も着けないと思う」

「そっか、んじゃ違うのがいいな、出来れば相手に少しでも喜んで貰えるものプレゼントしたいよなー」

「..佐倉が貰って嬉しいものって何?」

「ん?俺?俺は..んーそうだな、、俺はぶっちゃけ何でも嬉しいかな...その子が俺の為に一生懸命あれこれ考えてくれた時間が有難いって思うし、、だから拓海が天使ちゃんの為に一生懸命考えて贈るものなら何でもいいかもしんねーな。拓海が死ぬほど好きになった相手だからきっとお前の気持ちを汲み取ってくれる素敵な子だと思うし」

「..うん、そうだね。俺もそう思う、自分なりにプレゼント考えてみるよ」

「お、やっと拓海もポジティブに考えるようになったな!その調子でお前がガチ告白すれば天使ちゃん絶っっっ対落ちるから!拓海の告白で天使ちゃんを堕天使にしてやれ!!」

「..佐倉のいってる意味がわからない」

「俺もわからん」

「ふっ、はははは」

その日やっと拓海が笑顔を見せてくれて俺はほっとした。やっぱり拓海は笑顔の方が良い。


□□□
下校後に
家の近くにある神社に一人ふらりと立ち寄った。
そこの神社は恋愛成就で有名だから。
俺が陰ながら拓海にしてやれることはこれくらいしかないから。

一礼し鳥居をくぐり、砂利道を歩く。

歩きながら拓海が言っていた言葉を思い出す。

【一目惚れだった。
入学式の日に見つけたその子は桜の天使に見えた。美しくて可愛くて性別とか関係なくホントに天使に見えた。
でもその時話しかける勇気がなくて
ただ遠くから見てるだけしか出来なかったんだけど、登校中偶然見掛けたそこ子が困ってる時があって、その時俺が助けなきゃって思って。
それがきっかけで距離が縮まって。
一緒にいるうちにその子の内面から滲み出る美しさが外見を天使に見せてるんだってわかって、益々好きになって】

長い石段をのぼり、境内の前
頭上に吊るされた大きな鈴からつながる綱を携え左右に振ると、ガラガラと派手な音を立てながら鈴が鳴る。
賽銭を入れ、柏手を打ち手を合わせた。

(神様!どうか 拓海の思いが通じて、天使ちゃんが堕天使になりますように...)

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