女怪盗アクア 電子の監獄

司条西

文字の大きさ
7 / 34

7:天海弥生の日常④

しおりを挟む
「ふん、あんな石ころに涙まで流して、いったい何がいいのやら」

美術館内にある、オーナー専用の特別室。
そこで葉月は監視カメラのモニターを見て毒づいた。
画面には涙ぐんでいる、黒い髪を後ろでまとめた眼鏡の女が映っている。

「顔は整っているが如何せん地味だな、ああいうのは私の好みじゃない」

そう呟くと葉月は別のモニターへと視線を移す。
盛況の館内には彼の好みな派手めの美人もたくさんいたが、興味を引く者は一人もいない。

「やはり今日も来ていないのかな。彼女が狙いそうな美術品をこれだけ集めたのだから、そろそろ予告状が来てもいい頃なのだが」

葉月はじれったそうにトントンと床を蹴ると、机の上に置いた写真館を手にする。
映っているのは彼にとって最愛の女性だ。

「ああ怪盗アクア、この美術館は君のために造ったんだよ。いつになったら来てくれるんだい?」

ねっとりとした口調でアクアの写真に語り始める葉月だが、それは戯言ではない。
この葉月国際美術館は、アクアを捕えるためだけに何百億とかけて造ったものなのだ。
のんびりと美術品を鑑賞しながら下見をする弥生に、そんな事は想像さえ不可能だった。



そして2週間後。
葉月国際美術館に一通の角封筒が届いた。
宛先はオーナーの葉月で、差出人は書かれておらず、代わりにアクアマリンのマークが押されている。

社員からそれを告げられた瞬間、葉月はひったくるように角封筒を奪い封を切った。
中にはカードが一枚入っていて、メッセージが書かれている。

「葉月火虎様、来週の土曜日、葉月国際美術館から『ベテルギウスの輝き』をいただきます。怪盗アクアより」

それを見た瞬間、葉月は飛び上がって狂喜した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

処理中です...