一生のお願い

ゐづも

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2年後

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涼しい風が僕の頬を撫でる。もうすぐ秋だ。
僕の手には、もうこの世にはいない彼からの手紙が握られていた。

自然の香り。月の光がぼんやりと辺りを照らす。少し歩き、自然を満喫した後目的地へと辿り着いた。
先程の森の香りとは違い、今度は海の匂い。波が岩にあたる音。


今日の月は随分と綺麗だ。


靴を脱ぎ、用意していた手紙を地面に置き、飛ばされないよう石を重しにする。

「そろそろ良いだろう?君の願い、叶えたんだ。いや、ね。また君に会いたくなってしまって。この手紙を持っていけば、君は僕に会ってくれるのかね?分からないけど…。」

はは、と乾いた笑い声。その声は波の音に負けてしまうくらい、情けなく弱々しい声。


綺麗な月は沈み、朝日が昇る。
そこに人の姿は無かった。
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