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【専属魔導士の初出勤】
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本日から、ヤマト辺境伯のお嬢様の専属魔術師として暫く働く事になった。一体、俺は何をするんだろう。俺は、転移で侯爵のお屋敷に行く。
「おはようございます。タカミです。」
すると、執事のパーキンが出迎えてくれら。
「タカミ様、お待ちしておりました。旦那様は書斎に居られます。こちらにどうぞ。」
パーキンが侯爵の書斎まで案内してくれた。自分は、扉をノックする。
“コンコン”
「タカミです。本日よりお嬢様の専属魔術師としての務めをしにまいりました。」
すると、中から声が聞こえた。
「開いている。中に入りたまえ。」
「はい。失礼します。」
俺は中に入り一礼をする。
「本日より、シルビアお嬢様の専属魔術師としてお世話になりますタカミ・エドワードです。よろしくお願い致します。」
「おお。タカミ、よく来てくれた。そんな堅苦しい挨拶など不要だ。シルビアの事頼むぞ!」
んー。物腰が柔らかい。秘密を共有している中だからかな?(笑)
「はい。よろしくお願いします。えっと、それで僕は何をすればよろしいのでしょうか?」
俺は、専属魔導士の仕事の内容を伯爵に尋ねる。
「うん。特に決まってないな。シルビアの世話を頼む。」
うわぁー、結構ざっくりだな。
「分かりました。でも、その前に奥様の様態を確認しに行きたいのですが」
前回訪問した時に切迫早産の治療をした後の様態が気になったので、様態の確認を申し出る。
「言われた通り、妻は寝室で安静にしている。パーキン、タカミをエヴァの所に案内してやってくれ。」
「旦那様、畏まりました。タカミ様、どうぞこちらへ。」
執事のパーキンがエヴァの所に案内してくれる。
“コンコン”
「タカミ・エドワードです。ご様子を伺いに前りました。」
「そうぞ。お入りください。」
中からエヴァの声が聞こえた…と当時に
“バン”とドアが勢いよく開き、シルビアが飛び出してくる。
「タカミ!よく来てくれました!お母さまはベッドに居りますわ!」
わぁー、朝からテンション高!俺は、シルビアに引っ張られてエヴァの元に行く。ベッドにはエヴァがいる。その横にメイドが1人付いている。治療をしいてる時は、あまり気にしていなかったが、エヴァはショートの黒髪とブラウンの目をした色白の10代後半から20代前半の美しい女性だ。シルビアは、エヴァ似だろう。
「身体の調子は如何ですか?」
「ええ。おかげでとても調子がいいわ。お腹の子も元気で良く動きますのよ。」
ほぉー、それはいい傾向だ。俺は、お腹の子の様子を見させてくれるようにエヴァに頼む。
「奥様、少し診察をしたいのですが、よろしいでしょうか?
「勿論。むしろ、よろしくお願いいたしますわ。」
「それでは、皆さんすみませんが全員外で待っていて頂けませんか?」
俺は、室内にいる全員に外で待っていてくれるようにお願いし、エヴァの元に行く。そして、空間収納より白衣を取り出し、“バサッ”と着る。
「それでは、診察を始めます。」
俺は、エヴァのパジャマをお腹までまくり上げ、お腹に手を当て、診察する。
《スキャン》
目の前に中の状態が映し出される。
「うん。特に問題は、無いようですね。そのまま続けて子供の様子を見ます。」
俺は、お腹をさする様にに子供の様子を見る。ん?男の子か。
「うん。お腹の中の子も元気に育っていますね。今の所まったく問題は無いですね。それでは、中を触診します。すみません。脱いでもらっていいですか?」
俺は、空間収納からゴム製の手袋とローション、シリンジ、生食、トレイを取り出し、準備をする。エヴァがもじもじしながら下着を脱ぐ。俺は手袋し、ローションを指に塗る。
「すみません。お恥ずかしいでしょうが股を開いてもらってよろしいでしょうか?」
俺は、エヴァの足を持ち、M字開脚をしてもらう。そして、
「失礼します。」
“ぐりぐり”“ぐりぐり”“ぐりぐり”………
と子宮口とその周りを触診する。エヴァは、何かに耐えている様な感じだ。
「うん、子宮口の炎症も取れて、ほぼ閉まってきていますね。もう大丈夫だと思いますが、シールは暫くそのままにしておきます。最後に膣洗浄して終わります。」
お尻の下にトレイを置き、シリンジに生食を入れ、膣内を軽く洗浄する。
「お疲れさまでした。以上となります。特に問題は無さそうです。普通の生活に戻っても大丈夫ですが、無理な運動、ストレスには注意して下さい。」
俺は、トレイに使用済みの手袋を入れ、テーブルに置く。外にいる全員に声をかけた。
「ご協力ありがおうございます。もう部屋に入っても大丈夫ですよ。」
外にいたシルビアは真っ先にエヴァの元に行った。メイドさんにトレイの洗浄をお願いし、シルビアの元に行く。
「お母さま、大丈夫?なんか、顔が赤いけど。お熱があるの?」
うーん、この世界ではこういう診察はしないのかな?
「だ、大丈夫よ、シルビア。ちょっと、診察にびっくりしちゃっただけだから。お腹の中の子は、大丈夫ってタカミ君が言っていたわ。」
シルビアの顔が明るくなった。シルビアはとても嬉しそうだ。
「そうんなだ!お母さま、良かったですね!早く無事に生まれてこないかな。弟かな?妹かな?」
シルビアは、お腹に軽く手を乗せ擦っている。ん?この時期になっても性別を知らない?聞いてない?知るすべがない?やなり、この世界の医療の水準はかなり低い。確かに、俺が持っている《スキャン》も術式を構築する際のイメージは、エコーやMRI、CTと言った“現代医療”の最先端機器がイメージの元となっている。
“つまり、病気や怪我をした人達の治療は、魔法や調合薬以外にはほとんど無いと言う事か。
「あのぉー。性別知りたいですか?」
エヴァとシルビアがこっちを見た。
「え。タカミは分かるの?」
「はい。診察した時に子供の状態も確認しましたから。もし、教えて欲しいなら教えますが、それを判断するのは奥様ですので、望むのであれば僕は奥様に教えます。お嬢様は奥様よりお聞きください。」
エヴァは、性別を聞くか聞かぬかで迷っている。
「教えてもらいましょうよ。お母さま!」
シルビアは知りたいようだ。まぁ、先に知っていれば色々準備出来るし効率はいいんだけどね。
「ちなみに、先に性別を知っておけば、出産前の準備がしやすいと思いますよ。」
「確かに、そうよね。でも、性別を知るのは生まれてきてからの楽しみでもあるのだけれども。」
「最終的には奥様が決めてください。僕は、基本的に奥様にしかお話しませんので。」
「えー、タカミの意地悪!教えてくれたっていいじゃない!私、お母様に内緒にするから。」
おいおい、この子は本人の目の前で何言っているんだ(笑)
「だめですよ。これは、子供を持つお母さんの特権なんですからね。」
まぁ、守秘義務って事だね。でも、この世界では結構曖昧かもしれないけど。
「それでは奥様。治療は終わりました。もし、調子が悪くなったら必ず、我慢せずにすぐに僕に知らせてください。」
「タカミ君。ありがとう。主人と相談して性別を話してもらうか決めるわ。」
「了解しました。それでは無理しない様にしてくださいね。」
俺は、エヴァに挨拶をし、シルビアのそばに行く。
「シルビアお嬢様、本日よりお嬢様の専属魔術師として務めさせていただきます。よろしくお願いします。」
「うん、こちらこそよろしくね。じゃあ、早速私の部屋に行って魔法を教えて頂戴!」
俺は、お嬢様とお嬢様の部屋に向かう。やっぱり、広いお屋敷だなー
「すごく立派なお屋敷ですね。僕は普通の生まれですから驚きばかりです。」
「へー、タカミはどんな家に住んでいるの?」
「僕の住んでいる所は、ここのお屋敷のエントランスより狭いです(笑)。でも、仲の良い両親と幸せに住んでいます。」
「そうなんだ。私の家は大きいのかもしれないけど、お父様も仕事ばかりで、私の事に関心なんて無いから…」
シルビアは寂しそうに答える。そんな話をしているとシルビアの部屋に到着した。
「タカミ、どうぞ。お入りになって。」
「失礼します。」
俺は、シルビアの部屋に入った。想像通り大きな部屋だ。部屋の奥にはお姫様が使っているようなお姫様ベッドがあり、洋服を収納するためのウォークインクローゼットがある。
部屋の中央にはファーセットがあり、ここで優雅にお茶をしているのだろう。逆サイドには机や本棚がある。全体的にシンプルな感じだが、所々に女の子の部屋という感じの飾りや大きな窓の所にはいくつかの観賞植物がある。そう言えば、この世界に来て女の子の部屋に入るのは初めてかもしれない。
「こちらに、どうぞ。今、お茶を用意するわね。」
俺は、言われるがままにソファーに腰かけた。シルビアは、近くにいたメイドにお茶を持ってくるように言った。
「お嬢様、まず、魔法を教える前にお嬢様のステータスを確認します。」
「もう、タカミ、お嬢様はやめて。シルビアでいいわよ。」
「え、い、いや、そう言う訳には…」
「私がいいって言っているんだからいいの!兎に角、私の事は“シルビア”と呼んで頂戴。」
「わ、分かりました。では、これからシルビアの特性を知るためにステータスを確認します。特に何する訳でも無いので、リラックスしてください。」
《鑑定》
人族 LV9
HP288/288
MP72/72
筋力99
魔力72
防御力99
魔防72
俊敏81
器用81
知力72
幸運72
【ユニークスキル】
剣術 精霊魔術
【スキル】
剣(低)
ん?このステータス、剣士向きなんじゃないのか?でも、精霊魔術のユニークスキルを持っている。精霊と上手く契約できれば精霊魔術師になれるかもな。しかし、魔術師になりたいって言っているけど、なんて説明しよう…
「えっと、正直言いまして、お嬢様には魔術師と言うよりは剣士の適性の方がお有りの様です。」
俺がシルビアの適性の話をしていると、声を荒げる。
「タカミも周りの魔法使いの人達と同じ事を言うの!わたし、私は、魔法使いになりたいのに…やっぱり私は魔法使いになれないの!?」
うーん、適性の事を言われたのは初めてじゃないみたいだ。多分、師匠も同じ事を言ったのかもしれない。それで、俺に投げたのか。
「そんなに魔術師になりたいのですか?剣士も素晴らしいと思いますよ。シルビアは貴族なのだから十分騎士にもなれると思うのですが…」
「私は、騎士なんかになりたくない!私は、わたしは…」
なんか、事情があるのかな?すごく魔導士に拘っているみたいだ。
「どうして、そんなに魔導士になりたいのですか?」
「私も、ウォーレン様みたいになりたい。美しくて、聡明で、皆に慕われて…。私も女性です。女性が剣を振るって男性に見たいに強さを誇示する様なのは嫌!」
なるほど、つまり騎士は野蛮で魔術師はスマートと言う事なのかな?まぁ、でも、ちょっと分かるような気がする。俺は男だから、かっこいい方がいいもんね。それに、確かに師匠は素敵な女性だ。憧れるのも分かる。うん。
「そう言う事なら、魔法だけに拘らなくてもいいんじゃないですか?」
「え。どういう事?」
「シルビアには、確かに剣の才能があります。それに、実はもう一つ努力すれば開花しそうな才能もあるんですよ。」
「それは何?」
「うん。“精霊魔術”と言う魔術です。シルビアには精霊魔術の才能があるかもしれません。でも、今は、まだ全く開花していないんです。」
「精霊魔術?」
「うん。魔術には3種類の魔術があります。術式魔術、これはシルビアが知っている一般的な魔法ですね。次に召喚魔術。これは、魔物や聖獣などを従属にして使役する魔術の事。そして、最後に精霊魔術、これは、精霊と契約をし、精霊との信頼関係を築いて精霊の力を行使する魔術なんですよ。」
「タカミも精霊魔術使えるの?」
「今は、使えないです。まだ、精霊と契約して無いので。でも、召喚魔術は使えますよ。従属がいるので。」
「タカミは、全部の魔術が使えるの?」
「使えるって言うのは語弊があります。今は、精霊魔術は使えないから。精霊と契約すれば使えるだろうけど、今はしてないですからね。」
「ウォーレン様もすべて使えるの?」
「うーん。それは聞いた事無いですね。でも、術式魔術しか使ってるの見た事無いかな。」
そう言えば、師匠のステータス知らないな。今度見てみよう。
「そうなんだ。じゃあ、私も精霊魔術を極めればウォーレン様みたいになれるのかしら?」
「師匠に憧れるのはいいと思うけど、シルビアにはシルビアの魅力があるんだからそれを伸ばせばいいと思いますよ。剣を使い、精霊を使役するなんですごく素敵じゃないですか。それに、シルビアはとても魅力的な女性です。僕はすごく好きですよ。だから、シルビアの魅力を最大限に伸ばしてみるといいかもしれませんね。」
「私の魅力…、そんな事考えた事無かった。うん。そうだね。そうする!タカミありがとう。そんな風に言ってくれたのタカミが初めて!すごく嬉しいよ」
少しは、自分方向を見つけれ貰えたかな。
「それに、私が立派になればお父様も少しは私を見てくれるかも…」
つぶやく様にシルビアが言う。そこにも問題があるらしい。
「ん?どういう事?」
「ううん。何でもない。何から始めればいいのかな?」
うまく胡麻化されたかな。まぁ、でも、その内うち開けたくなったら打ち明けるだろう。それまで待ちましょうか。
「それじゃ、魔力の調整の仕方からやりましょうか。」
俺は、お嬢様に何をしてあげられるんだろうか。俺はそんな事を考えながらシルビアと時間を過ごす。
「おはようございます。タカミです。」
すると、執事のパーキンが出迎えてくれら。
「タカミ様、お待ちしておりました。旦那様は書斎に居られます。こちらにどうぞ。」
パーキンが侯爵の書斎まで案内してくれた。自分は、扉をノックする。
“コンコン”
「タカミです。本日よりお嬢様の専属魔術師としての務めをしにまいりました。」
すると、中から声が聞こえた。
「開いている。中に入りたまえ。」
「はい。失礼します。」
俺は中に入り一礼をする。
「本日より、シルビアお嬢様の専属魔術師としてお世話になりますタカミ・エドワードです。よろしくお願い致します。」
「おお。タカミ、よく来てくれた。そんな堅苦しい挨拶など不要だ。シルビアの事頼むぞ!」
んー。物腰が柔らかい。秘密を共有している中だからかな?(笑)
「はい。よろしくお願いします。えっと、それで僕は何をすればよろしいのでしょうか?」
俺は、専属魔導士の仕事の内容を伯爵に尋ねる。
「うん。特に決まってないな。シルビアの世話を頼む。」
うわぁー、結構ざっくりだな。
「分かりました。でも、その前に奥様の様態を確認しに行きたいのですが」
前回訪問した時に切迫早産の治療をした後の様態が気になったので、様態の確認を申し出る。
「言われた通り、妻は寝室で安静にしている。パーキン、タカミをエヴァの所に案内してやってくれ。」
「旦那様、畏まりました。タカミ様、どうぞこちらへ。」
執事のパーキンがエヴァの所に案内してくれる。
“コンコン”
「タカミ・エドワードです。ご様子を伺いに前りました。」
「そうぞ。お入りください。」
中からエヴァの声が聞こえた…と当時に
“バン”とドアが勢いよく開き、シルビアが飛び出してくる。
「タカミ!よく来てくれました!お母さまはベッドに居りますわ!」
わぁー、朝からテンション高!俺は、シルビアに引っ張られてエヴァの元に行く。ベッドにはエヴァがいる。その横にメイドが1人付いている。治療をしいてる時は、あまり気にしていなかったが、エヴァはショートの黒髪とブラウンの目をした色白の10代後半から20代前半の美しい女性だ。シルビアは、エヴァ似だろう。
「身体の調子は如何ですか?」
「ええ。おかげでとても調子がいいわ。お腹の子も元気で良く動きますのよ。」
ほぉー、それはいい傾向だ。俺は、お腹の子の様子を見させてくれるようにエヴァに頼む。
「奥様、少し診察をしたいのですが、よろしいでしょうか?
「勿論。むしろ、よろしくお願いいたしますわ。」
「それでは、皆さんすみませんが全員外で待っていて頂けませんか?」
俺は、室内にいる全員に外で待っていてくれるようにお願いし、エヴァの元に行く。そして、空間収納より白衣を取り出し、“バサッ”と着る。
「それでは、診察を始めます。」
俺は、エヴァのパジャマをお腹までまくり上げ、お腹に手を当て、診察する。
《スキャン》
目の前に中の状態が映し出される。
「うん。特に問題は、無いようですね。そのまま続けて子供の様子を見ます。」
俺は、お腹をさする様にに子供の様子を見る。ん?男の子か。
「うん。お腹の中の子も元気に育っていますね。今の所まったく問題は無いですね。それでは、中を触診します。すみません。脱いでもらっていいですか?」
俺は、空間収納からゴム製の手袋とローション、シリンジ、生食、トレイを取り出し、準備をする。エヴァがもじもじしながら下着を脱ぐ。俺は手袋し、ローションを指に塗る。
「すみません。お恥ずかしいでしょうが股を開いてもらってよろしいでしょうか?」
俺は、エヴァの足を持ち、M字開脚をしてもらう。そして、
「失礼します。」
“ぐりぐり”“ぐりぐり”“ぐりぐり”………
と子宮口とその周りを触診する。エヴァは、何かに耐えている様な感じだ。
「うん、子宮口の炎症も取れて、ほぼ閉まってきていますね。もう大丈夫だと思いますが、シールは暫くそのままにしておきます。最後に膣洗浄して終わります。」
お尻の下にトレイを置き、シリンジに生食を入れ、膣内を軽く洗浄する。
「お疲れさまでした。以上となります。特に問題は無さそうです。普通の生活に戻っても大丈夫ですが、無理な運動、ストレスには注意して下さい。」
俺は、トレイに使用済みの手袋を入れ、テーブルに置く。外にいる全員に声をかけた。
「ご協力ありがおうございます。もう部屋に入っても大丈夫ですよ。」
外にいたシルビアは真っ先にエヴァの元に行った。メイドさんにトレイの洗浄をお願いし、シルビアの元に行く。
「お母さま、大丈夫?なんか、顔が赤いけど。お熱があるの?」
うーん、この世界ではこういう診察はしないのかな?
「だ、大丈夫よ、シルビア。ちょっと、診察にびっくりしちゃっただけだから。お腹の中の子は、大丈夫ってタカミ君が言っていたわ。」
シルビアの顔が明るくなった。シルビアはとても嬉しそうだ。
「そうんなだ!お母さま、良かったですね!早く無事に生まれてこないかな。弟かな?妹かな?」
シルビアは、お腹に軽く手を乗せ擦っている。ん?この時期になっても性別を知らない?聞いてない?知るすべがない?やなり、この世界の医療の水準はかなり低い。確かに、俺が持っている《スキャン》も術式を構築する際のイメージは、エコーやMRI、CTと言った“現代医療”の最先端機器がイメージの元となっている。
“つまり、病気や怪我をした人達の治療は、魔法や調合薬以外にはほとんど無いと言う事か。
「あのぉー。性別知りたいですか?」
エヴァとシルビアがこっちを見た。
「え。タカミは分かるの?」
「はい。診察した時に子供の状態も確認しましたから。もし、教えて欲しいなら教えますが、それを判断するのは奥様ですので、望むのであれば僕は奥様に教えます。お嬢様は奥様よりお聞きください。」
エヴァは、性別を聞くか聞かぬかで迷っている。
「教えてもらいましょうよ。お母さま!」
シルビアは知りたいようだ。まぁ、先に知っていれば色々準備出来るし効率はいいんだけどね。
「ちなみに、先に性別を知っておけば、出産前の準備がしやすいと思いますよ。」
「確かに、そうよね。でも、性別を知るのは生まれてきてからの楽しみでもあるのだけれども。」
「最終的には奥様が決めてください。僕は、基本的に奥様にしかお話しませんので。」
「えー、タカミの意地悪!教えてくれたっていいじゃない!私、お母様に内緒にするから。」
おいおい、この子は本人の目の前で何言っているんだ(笑)
「だめですよ。これは、子供を持つお母さんの特権なんですからね。」
まぁ、守秘義務って事だね。でも、この世界では結構曖昧かもしれないけど。
「それでは奥様。治療は終わりました。もし、調子が悪くなったら必ず、我慢せずにすぐに僕に知らせてください。」
「タカミ君。ありがとう。主人と相談して性別を話してもらうか決めるわ。」
「了解しました。それでは無理しない様にしてくださいね。」
俺は、エヴァに挨拶をし、シルビアのそばに行く。
「シルビアお嬢様、本日よりお嬢様の専属魔術師として務めさせていただきます。よろしくお願いします。」
「うん、こちらこそよろしくね。じゃあ、早速私の部屋に行って魔法を教えて頂戴!」
俺は、お嬢様とお嬢様の部屋に向かう。やっぱり、広いお屋敷だなー
「すごく立派なお屋敷ですね。僕は普通の生まれですから驚きばかりです。」
「へー、タカミはどんな家に住んでいるの?」
「僕の住んでいる所は、ここのお屋敷のエントランスより狭いです(笑)。でも、仲の良い両親と幸せに住んでいます。」
「そうなんだ。私の家は大きいのかもしれないけど、お父様も仕事ばかりで、私の事に関心なんて無いから…」
シルビアは寂しそうに答える。そんな話をしているとシルビアの部屋に到着した。
「タカミ、どうぞ。お入りになって。」
「失礼します。」
俺は、シルビアの部屋に入った。想像通り大きな部屋だ。部屋の奥にはお姫様が使っているようなお姫様ベッドがあり、洋服を収納するためのウォークインクローゼットがある。
部屋の中央にはファーセットがあり、ここで優雅にお茶をしているのだろう。逆サイドには机や本棚がある。全体的にシンプルな感じだが、所々に女の子の部屋という感じの飾りや大きな窓の所にはいくつかの観賞植物がある。そう言えば、この世界に来て女の子の部屋に入るのは初めてかもしれない。
「こちらに、どうぞ。今、お茶を用意するわね。」
俺は、言われるがままにソファーに腰かけた。シルビアは、近くにいたメイドにお茶を持ってくるように言った。
「お嬢様、まず、魔法を教える前にお嬢様のステータスを確認します。」
「もう、タカミ、お嬢様はやめて。シルビアでいいわよ。」
「え、い、いや、そう言う訳には…」
「私がいいって言っているんだからいいの!兎に角、私の事は“シルビア”と呼んで頂戴。」
「わ、分かりました。では、これからシルビアの特性を知るためにステータスを確認します。特に何する訳でも無いので、リラックスしてください。」
《鑑定》
人族 LV9
HP288/288
MP72/72
筋力99
魔力72
防御力99
魔防72
俊敏81
器用81
知力72
幸運72
【ユニークスキル】
剣術 精霊魔術
【スキル】
剣(低)
ん?このステータス、剣士向きなんじゃないのか?でも、精霊魔術のユニークスキルを持っている。精霊と上手く契約できれば精霊魔術師になれるかもな。しかし、魔術師になりたいって言っているけど、なんて説明しよう…
「えっと、正直言いまして、お嬢様には魔術師と言うよりは剣士の適性の方がお有りの様です。」
俺がシルビアの適性の話をしていると、声を荒げる。
「タカミも周りの魔法使いの人達と同じ事を言うの!わたし、私は、魔法使いになりたいのに…やっぱり私は魔法使いになれないの!?」
うーん、適性の事を言われたのは初めてじゃないみたいだ。多分、師匠も同じ事を言ったのかもしれない。それで、俺に投げたのか。
「そんなに魔術師になりたいのですか?剣士も素晴らしいと思いますよ。シルビアは貴族なのだから十分騎士にもなれると思うのですが…」
「私は、騎士なんかになりたくない!私は、わたしは…」
なんか、事情があるのかな?すごく魔導士に拘っているみたいだ。
「どうして、そんなに魔導士になりたいのですか?」
「私も、ウォーレン様みたいになりたい。美しくて、聡明で、皆に慕われて…。私も女性です。女性が剣を振るって男性に見たいに強さを誇示する様なのは嫌!」
なるほど、つまり騎士は野蛮で魔術師はスマートと言う事なのかな?まぁ、でも、ちょっと分かるような気がする。俺は男だから、かっこいい方がいいもんね。それに、確かに師匠は素敵な女性だ。憧れるのも分かる。うん。
「そう言う事なら、魔法だけに拘らなくてもいいんじゃないですか?」
「え。どういう事?」
「シルビアには、確かに剣の才能があります。それに、実はもう一つ努力すれば開花しそうな才能もあるんですよ。」
「それは何?」
「うん。“精霊魔術”と言う魔術です。シルビアには精霊魔術の才能があるかもしれません。でも、今は、まだ全く開花していないんです。」
「精霊魔術?」
「うん。魔術には3種類の魔術があります。術式魔術、これはシルビアが知っている一般的な魔法ですね。次に召喚魔術。これは、魔物や聖獣などを従属にして使役する魔術の事。そして、最後に精霊魔術、これは、精霊と契約をし、精霊との信頼関係を築いて精霊の力を行使する魔術なんですよ。」
「タカミも精霊魔術使えるの?」
「今は、使えないです。まだ、精霊と契約して無いので。でも、召喚魔術は使えますよ。従属がいるので。」
「タカミは、全部の魔術が使えるの?」
「使えるって言うのは語弊があります。今は、精霊魔術は使えないから。精霊と契約すれば使えるだろうけど、今はしてないですからね。」
「ウォーレン様もすべて使えるの?」
「うーん。それは聞いた事無いですね。でも、術式魔術しか使ってるの見た事無いかな。」
そう言えば、師匠のステータス知らないな。今度見てみよう。
「そうなんだ。じゃあ、私も精霊魔術を極めればウォーレン様みたいになれるのかしら?」
「師匠に憧れるのはいいと思うけど、シルビアにはシルビアの魅力があるんだからそれを伸ばせばいいと思いますよ。剣を使い、精霊を使役するなんですごく素敵じゃないですか。それに、シルビアはとても魅力的な女性です。僕はすごく好きですよ。だから、シルビアの魅力を最大限に伸ばしてみるといいかもしれませんね。」
「私の魅力…、そんな事考えた事無かった。うん。そうだね。そうする!タカミありがとう。そんな風に言ってくれたのタカミが初めて!すごく嬉しいよ」
少しは、自分方向を見つけれ貰えたかな。
「それに、私が立派になればお父様も少しは私を見てくれるかも…」
つぶやく様にシルビアが言う。そこにも問題があるらしい。
「ん?どういう事?」
「ううん。何でもない。何から始めればいいのかな?」
うまく胡麻化されたかな。まぁ、でも、その内うち開けたくなったら打ち明けるだろう。それまで待ちましょうか。
「それじゃ、魔力の調整の仕方からやりましょうか。」
俺は、お嬢様に何をしてあげられるんだろうか。俺はそんな事を考えながらシルビアと時間を過ごす。
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そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
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