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【中央帝都の騎士団】

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 暫く進むと広大な沼が広がりその畔にリザードマン達の住む村があった。そこには、多くのリザードマンとそのリザードマンが進化したであろう種族が共に暮らしている。家は、木造の倉庫みたいな作りで家と言うには少しお粗末である。多くのリザードマンは狩猟や採取で生計を立てているようだ。表情はあまり良く分からないが、俺達が通ると怪訝そうな顔をしているに違いない。そんな雰囲気が醸し出されている。俺達は、そのまま村長の家へを案内された。

「チョウロウ タダイマモドリマシタ。」

「ナダレ!ナゼニンゲンヲ コノムラニツレテキタ!」

 どうやら、この隊長らしきリザードマンは”ナダレ”と言う名前らしい。どうやら俺達は歓迎されていないようだ。

「コノモノタチハ イママデノニンゲントハチガウ。」

「ホウ ドウチガウノジャ」

「コノモノタチハ ワレワレガイキナリオソッタニモカカワラズ コロサズ ハナシスラキイテクレマシタ。イママデノニンゲンデアレバ マケタワレワレハ ゴウモンヲウケ コノムラノバショヲ トワレルハズ。ワレワレガ タバニナッテモ カナワナカッタ ソレホドノジツリョクヲモッタ カレラガ ワレワレニナニモセズ サラニハ ワレワレノケガヲナオシ タチサロウトシタ。ソシテ ワレニイキロットイッタ。シカモ ワレワレガブレイヲハタライタニモカカワラズ チカラヲカストモ イッテクレタ。ソンナカレラヲ ジャケンニアツカウナド ワレニハデキヌ。ソンナコトヲシタラ マツダイマデノハジ!」

 ナダレは長老に食って掛かる。暫くナダレと長老の話し合いが続いた。

「ヨクワカッタ。キャクジン ワレワレノブレイヲ オユルシクダサイ。ソシテ モシ チカラヲオカシイタダケルナラ オネガイイシマス。」

 さっきまでの長老の態度が一変し、歓迎ムードになった。

「俺の名前は、アルファード。順にコブラ、キャップ、ティファ、ヴァイロン、ティナ、ナディアだ。」

「ワタシハ チョウロウノ ”ビーノ”トトモウシマス。コチラハ ムラノセンシデ ”ナダレ”。ヨロシクオネガイシマス。」

「兎に角、事情を説明してもらっていいですか?」

「ワレワレガ エタジョウダト チカヂカニンゲンタチガ コノムラヲ シュウゲキスルト キイタ。ワレワレハ ワナヲシカケ シュウゲキニソナエ ジュンビシテイル。」

「なぜ、襲撃されるんですか?何かしたのですか?」

「ワレワレハ ナニモシテイナイ。ワレワレハ タノシュゾクト イッセンヲオキ セイカツシテイル。モチロン、ムラヲマモルタメニ タタカウコトハアルガ ワレワレカラ セメルコトハシテイナイ。」

「すると、人はこの村の資源を欲しているか、リザードマンを捕らえて奴隷として売るかそんなところなのかな?」

「ニンゲンノ モクテキハワカラナイ。」

「じゃあ、その事については、襲撃者に問いただそう。で、ナダレは、普通のリザードマンとは形態が違うと思うんだけど、リザードマンじゃないの?」

「ナダレタチハ リザードマンガシンカシ アリュウニナッタモノ。ムラノ センシトシテ コモムラヲマモッテクレテイル。」

「進化ってそんなに簡単に出来るの?」

「コノヌマノソコニアル ケンジャノイシニネムルチカラヲ ジブンニトリコムコトデ シンカデキル。タダシ、イチドシンカニシッパイシタモノハ ニドトシンカガデキナクナル。」

「あー、なるほど。人の狙いは、それなんじゃない?」

「ケンジャノイシカ?」

「そうそう。」

「デモ、アレハ ワレワレアリュウゾクニシカ コウカハナイ。ナゼ、ニンゲンガヒツヨウトスル?」

「うーん。詳しくは分からないけど、何かに使おうとしているんじゃないのかな?賢者の石って沢山とれるの?」

「ムカシ、ココニスンデイタ エンシェントドラゴンサマノ チカラガ ナガイネンゲツヲ カケテチクセキサレタケッショウト キイテイル。ナノデ、ソンナニ タイリョウニハナイ。リザードマンノ ホウジュノヒトツトシテ タイセツニサレテイルモノダ。」

「チョウロウ!タイヘンダ!ニンゲンドモガ セメテキタ!」

「ナニ?ナダレ、ミナヲマモッテクレ!」

「ワカリマシタ。」

 ナダレは立ち上がり、長老の家を後にする。俺達もナダレの後に続き、ナダレの一団と一緒に行動する。村の出入り口を挟むように配置された小隊の反応が俺のマップに表示されている。1小隊は50人前後。結構な人数である。

「ナダレ、挟まれているぞ。向こうに約50人ほどの反応がある。そして、こっちにも同じような感じで反応がある。だから、こちらも二手に分かれた方がいいと思うけど。」

「ワカッタ。ヨクオシエテクレタ。ヨシ、ワレワレハ アチラノデイリグチノ マモリヲカタメル。コチラヲ オネガイシテモイイカ?」

「了解。じゃあ、俺達はこっちを守るとしよう。」

「3ハン、4ハン、オマエラハ アルファードサマタチヲ エンゴシロ。」

「ワカリマシタ。アルファードサマ、ヨロシクオネガイシマス。」

「うん。よろしく!」

 俺達は、任された方の出入り口に行き、相手の出方を観察する。すると、既に敵部隊が集結し、今にも攻め込んできそうな勢いだ。その敵をよく見てみると、中央帝都の紋章の入った正規軍であることが分かる。しかも、その中には・・・

「おい。あれ、中央の正規軍じゃねぇか!しかも、指揮官は、あのパジェロ騎士団長だぜ。こりゃ、分が悪いな・・・」

 キャップがその一団を見て俺達に伝える。騎士団と言えば、一人一人がゴールドランク以上の冒険者に匹敵する力を持つと言われている。

「正規軍か。ってことは、中央帝都が国家として侵略を行うって事か。」

「中央帝都は、こうやって他種族を蹂躙して来たニャ。酷いニャ。」

「確かに、中央国家だからと言って侵略はちょっとどうかと思うわね。なんとか止められればいいけど。」

「まぁ、ここまで来るとお互い力ずくになると思うけどな。そうなると、俺達はお尋ね者って訳だ。」

「それは、ちょっと困るね。あ、じゃあ、姿を変えようか。」

 俺は、自分自身が偽装するのと同じように、ナダレを参考にイメージを作り出す。

《カモフラージュ》

「ミナサンガ タイチョウニナラレタ。」

「えっと、偽装の魔法をかけたんだ。俺もそうだけど、人間じゃあまり見分けがつかないと思うのでナダレを参考にしてみた。皆は、装備や話し方で見分けてくれ。この魔法は約1時間で効果が無くなる。」  

 とりあえず、これで正体がばれることはないだろう。俺達は、集まっている出入口へと移動する。

「奪略者に警告する。これ以上侵略行為を行うのであればこちらも容赦は出来ない。速やかに撤退せよ。」

 俺は、帝都軍に忠告する。すると、中央軍から笑い声が聞こえてくる。

「わっはっはっは!コイツら俺ら正規軍に抵抗できると思ってやがるぜ!やっぱり、蜥蜴風情は、考える知能を持ってないらしい。とっとと片付けるか(笑)」

「馬鹿者!敵を侮るなとあれ程言っているだろう!油断が自分の首を絞めるとこを覚えておけ!」

 隊長らしき人物が隊員に叱咤する。彼が中央帝都騎士団隊長のパジェロだろう。流石隊長と言うべきか、彼は冷静にこちらの出方を伺っている。

「私は、中央帝都第3騎士師団隊長 パジェロ=ロン=エクシード。中央帝都第三皇子 ソアラ=リマズール=カトゥー様の命によりこの地を貴様ら蜥蜴族より奪還する。無駄な抵抗はやめて降伏せよ。」

 なんか、この場所は”元々、帝都の物だ!”って言い始めたぞ。どうなっているんだ?俺は、リザードマンに確かめる。

「なぁ、あいつら”この地を奪還する”って言っているけど、元々、帝都の”土地”だったの?」

「ナニヲイッテイル。コノチハ エンシェントドラゴン イグニールサマヨリ ウケツイダチ。センゾダイダイ イグニールサマニツカエ コノチデイキテキタ。」

 なるほど。まぁ、帝都的には、この地を含め一帯を帝都の管轄だと言いたいのかもしれない。奪還って良いように言っているが、結局の所、この地の資源が欲しいから侵略するって事か。

「我々は、先祖代々この地で生まれ、生きてきた。決して、“帝都の地”ではない。貴様らこそ、早々に立ち去れ!」

「ふむ。どうやら降伏する気はなさそうだな。全軍、攻撃に移る。かかれ!」

「おーー!!」

 騎士団が一斉になだれ込んでくる。俺達は中に入れない様に抗戦する。

「ナディア、敵味方含め、けが人が出たら一つの所に集めてくれ。ティナはその補助をお願い。コブラ達は、このまま敵を迎撃するのを手伝ってくれ。でも、出来るだけ死者は出さない様にしてもらえると助かる。」

「分かったのじゃ。では、敵を粛正しつつ、けが人を誘導しようかの。」

「分かった。ナディアと一緒に怪我人を集める。」

 ナディアとティナは後方に周り、敵を粛正しつつ怪我人の誘導をすることになった。

「相手は、騎士団だぞ!手なんか抜けるかよ。まぁ、出来るだけやってみるけどよ。」

「了解した。しかし、相手が騎士団だけに俺達も気を引き締めてかかるぞ!」

 コブラ達が気合を入れ先頭に臨む。中央の騎士団たちが一口になだれ込んでくるがそれを俺達が阻止する。しかし、流石は騎士団。なかなか撃退することが出来ない。コブラやキャップ達前衛をヴァイロンの回復と補助魔法で支援する。騎士団には、魔術師が同行していないため、ここで差が生まれる。俺も、魔法と剣を併用し、後方の仲間に補助魔法と回復魔法をかけながら戦う。おかけで、こちらの戦力は削がれてはいない。

「くそ!蜥蜴野郎達は支援魔法を使ってきやがる。こんな情報なかったぞ!」

 騎士団の連中がぼやき始めた。段々と騎士団との戦力の拮抗が崩れていき、俺達が優勢になり始めた。その時。一直線に鋭い衝撃波が俺達に向かって飛んでくる。俺は、その衝撃波を剣で打ち消す。

「ほう、我が魔人剣を防げるほどの奴がいるのか。」

 後方で指揮を執っていたパジェロが姿を現す。俺は、パジェロと対峙する。

「お前がこの集落のリーダーか?我が名は中央帝都第3聖騎士団 団長パジェロ。」

「俺は、この集落の戦士 ナダレ。」

《瞬歩》

 お互いが一気に間合いを詰め、戦闘が始まる。

《牙突》

 パジェロが攻撃を仕掛けてきた。

”ん?この技”

 俺は、パジェロが放つ”牙突”を交し、反撃する。

《燕返し》

 パジェロも俺の太刀筋を読んだかのように剣で”燕返しを”受ける。

「お前、どこでその技を習った?」

 パジェロが一瞬、驚きを見せた。

「そんなのお前には関係ない。」

「まぁ、いい。どうせ、あの売国奴が教えたのだろう。しかし、我が剣は奴の剣技を凌ぐ。我と剣を交えた事を後悔するんだな。」

 パジェロの剣筋が鋭くなる。俺は、それをすべて受ながす。

《ファイヤー》

 俺は、剣技と魔法を組み合わせて反撃をする。

「ほう。魔法も使うのか。だが、その程度の力では我にかすり傷一つ与え得られぬぞ!」

 お互いの剣が交差する。剣技ではパジェロの方が優れている。それを、スピードと力でねじ伏せる。

「力技で我と戦おうと言うのか。面白い。」

 パジェロが力を貯め始めた。丁度いいからパジェロからも色々学ぼう。

《模倣》

 俺は、パジェロの技術を模倣する。

《重撃斬》

 とてつもなく重い斬撃が襲い掛かってくる。多分、普通の常人であれば真っ二つにされてしまうだろう。これがきっとパジェロの持ち味なのだろう。しかし、魔法を付加させた剣と俺の能力の方が断然上手だ。俺は、難なくパジェロの斬撃を正面から受け止める。

「な、なに!!」

 余程、自信があったのだろう。まさか、その攻撃を受け止められるなんて考えていなかったようだった。様々な角度から繰り出される重い斬撃を俺はすべて受けきる。この技は、消耗が激しいのか、パジェロは肩で息をし始めた。

《スキル 重撃斬を獲得しました。》

 必死ぶりのスキル獲得だ。

《重撃斬》

 俺もパジェロと同じように”重撃斬”を繰り出し、滅多打ちにする。勿論、死なない様に手加減しているが・・・最後に、魔法を打ち込む。

《ブラストウィンド》

 威力を最小減に落とし、パジェロに打ち込んだ。パジェロは、満身創痍でこちらを睨む。そんなパジェロに俺は、切っ先を突き付けた。

「お前の負けだ。」

「くっ。殺せ!生き恥を晒すくらいなら騎士として戦いで果てるまで!」

 おいおい、ここでもクッコロさんかよ。

「そうか。わかった。では、皆殺しにするとしよう。」

 俺は、副隊長と思われる人物の近くまで行く。

「だ、団長・・・」

 副隊長が団長に手をさせ述べようとした瞬間、副隊長の首が飛ぶ。血飛沫がパジェロを襲い、首は、パジェロの前に転がった。

「な、なんてこと・・・を・・・」

《重撃斬》

 次は、その隣にいた騎士団の団員を装備ごと真っ二つに切り裂く。まるで、牧割で真っ二つにされた牧の様に血しぶきをあげて倒れこむ。

「う、うぁーー!!」

 騎士達は我先にと逃げだす。

「や、やめてくれーー!!」

《瞬歩》

 俺は、容赦なく騎士達を惨殺して周る。そして、凶器の目をパジェロに向ける。パジェロは、動けず青ざめて”ワナワナ”している。騎士達全員を惨殺し終わると、俺はゆっくりパジェロの下に行く。

「彼らは、一足先に”あの世”に行ってお前のことを待っているぞ。」

 俺は、更に冷めた凶器の目をパジェロに向けた。パジェロはまるで”ヘビににらまれたカエル”状態だ。

「くッ!」

 パジェロは満身創痍の身体を無理やり動かし、俺へと襲い掛かる。

 が、そんな抵抗も空しく俺の一撃でパジェロは、真っ二つになった。

「はっ!!!」

 と同時にパジェロは、俺がかけたイリュージョンから抜け出す。

「はぁはぁはぁ・・・」

 パジェロは目を大きく見開き、身体中から汗が噴き出している。

「殺せって言うのは、今の様な事になるって事だ。そう、正に、お前たちが我々にやろうとしていた事だ。如何に狂気の沙汰なのかこれでお前達も分かったであろう。侵略とはこういうものだ。そして、侵略が失敗した時もな。」

 騎士達も皆、その場で冷や汗をかき、立ちすくんでいる。俺は、イリュージョンを騎士団全体にかけていたので、騎士団全員が同じような体験をした。

「ぐはぁ!」

 俺は、パジェロを蹴り飛ばし、騎士達の所へ追いやる。

「さて、お前たちをこのまま生かして帝都に返すわけにはいかない。このまま返せば、再度、部隊を編成してここに乗り込んでくる可能性があるからな。」

 俺は、パジェロの前に身を乗り出した。

「ま、待て!待ってくれ!!」

 パジェロが俺の前に立ちはだかる。あんな体験をしても俺の前に出るなんてすごい精神力だな。

「あ、あなた様がとてつもなく強いのは分かった。それに、今後、”この地”を「侵略」しない事を誓う。なので、我が命と引き換えにこいつらを見逃してもらえないだろうか?」

「なぜ、”この地”を「侵略」しないと言える?帝都の王がこの侵略を命令したのだろ?」

「正確には、王自身が今回の遠征を指示したのではない。」

「どういうことだ?」

「現国王は、民の生活環境を重視する政策を行っている。そのため、一部の貴族への利権や癒着を黙認しているところもある。そして、後目の争い。現国王は、より国民を豊かに出来る人物を後目にしようとしている。第三皇子のソアラ様は、貴族との癒着を解消し、国民主体の政をする事そこが世の民の為と考えておられる。そのためには、潤沢な資源が必要なのだ。そこで、開拓が行われていない”この地”を”まず最初”に開拓されるとおっしゃられた。しかし、こうなってはとても開拓なんかできまい。それに、ソアラ様が動かせる兵は精々、親衛隊である我が第三騎士団くらいしかない。その事をソアラ様に進言するつもりだ。」

「なぜ、”この地”を開拓しようとしたのだ?」

「それは・・・、分かっていると思うが、賢者の石の採掘だ。」

「しかし、賢者の石は我々しか、利用価値がないはず。」

「最近の研究の結果、賢者の石には大きな魔力が蓄えられている事が分かったのだ。それは、魔石を上回る。これが、市場に出回れば、革新的なことが出来るからな。」

「なるほど。だが、”この地”を渡すことは出来ない。諦める事だな。若しくは、長老と交渉し、交易をしてもらうかだ。兎に角、お前達は戦いに負けた。捕虜となりここで暫くの間、労役についてもらう。後に長老から今後についてのお達しがあるので、それまでこの者達を牢に入れろ。」

 俺は、リザードマン達に指示をし、けが人の様子を見に行く。けが人は、ナディア達が保護してくれている。俺は、リザードマン、騎士団問わず傷を治し、騎士団の連中は先ほどの奴ら同様、牢に入れる。後に、長老とナダレの下に行く。

「・・・という訳です。とりあえず、彼らには、ここを侵略できない様な呪いをかけておきますが、今後の事を考えて、もし可能であれば中央との交易を持つことお勧めします。そこから友好条約を締結すれば帝都から襲われることが無くなりと思いますが。」

「ソンナコトハ カノウナノカ?」

 村長が俺に聞いてくる。

「それは、今後の関係次第でしょうね?取敢えず、彼らは捕虜として3カ月ほどここの労役に従事してもらおうと思っています。その間に関係を築くことが大事なのではないでしょうか?」

「ロウエキッテ ナニヲサセレバイイ?」

「村の人の手伝いをさせればいいと思いますよ。そして、先ずは彼らと交流を持てるように成れば状況は変わってくると思います。」

「シカシ カレラガサカラッタリ シナイダロウカ?」

 ナダレが心配そうにしている。

「それは、大丈夫。第一にナダレには騎士団達が束になってもかなわないと思っているし、リザードマン達に手出しできない呪いをかけておくから。その代り、ここのリザードマン達と同等の扱いをしてやってくれ。捕虜でもあり、客人でもあるかのように扱ってもらえればいいと思う。」

「ワカッタ。ムラヲスクッテクレタオンジンノ イウコトヲキコウ。ソレト・・・」

 村長は、大きな賢者の石をいくつもくれた。重さにすると100kg近いのではと思われる。

「コレガ ワレワレノデキル セイイッパイノカンシャノキモチダ。ウケトッテクレ。」

「こんなに!?いいのか?」

「モンダイナイ。マタホレバイイコトダ。」

「分かった。有難くいただくよ。さて、村長。村の住人と騎士団を村の中央に集めてくれ。」

「ワカッタ。ナダレ ミナニシジシテ ムラノチュウオウニクルヨウニ モウシツタエテクレ」

「ワカリマシタ。」

 ナダレは、すぐに対応する。そして、皆が村の中央に集まる。

「ナダレは、身を潜めて聞いていてくれ。」

「ワカッタ。」

 俺は、皆が集まっている所に行く。

「オォ。ナダレ モウミンナアツマッテイルゾ。ナンノヨウナンダ?」

 俺は、帝都の騎士団とリザードマン達の間に割り込む。

「この者たちは、”この地”を侵略しようとした者達だ。それを捕らえた。」

「オオオォォォォォ!!!!」

「そして、この者達を捕虜にし、この村で働かせる。異存はないな?」

「コノモノタチヲ コノムラニオイテ ダイジョウブナノカ?」

 リザードマン達が不安そうに俺を見る。

「それについては大丈夫だ!今からこの者達に強制の呪いをかける。それは、我々蜥蜴族も同じ。今からいくつかの約束事を言う。お互いにこれを遵守する事だ。まずは、捕虜たち。

1,蜥蜴族、それと関わる者に対し一切の暴力行為は行わない。

2,我々より提示された労働に関し、”No”は無い。

3,逃亡、雲隠れ等をしてはならない。

4,当該村での生活において、規則を遵守する。

5,この村における強制労働期間は3カ月とする。

6,よって、この強制の呪いの期限も3カ月とする。ただし、1に関しては期限なく有効とする。

7,この村で知りえた事を他言若しくはそれに準ずる行為をしてはならない。



次に蜥蜴族達。

1,どのような事を申し付けても良いが、公序良俗に触れる内容は不可とする。

2,拘束、拷問、不当な労働を課してはならない。

3,この者達をこの村の住民と同じに扱い、不当な差別やそれに準ずる行為はしてはならない。

4,この者達に暴力を振るってはならない。

5,捕虜たちの衣食住に関しては、村の警備隊の管轄とする。

6,3ヶ月間の強制労働後、解放する。



 上記の条件に従い捕らえた捕虜達の扱いとする。尚、下記条件を破った者は、呪いにより両手足が痺れ、次第に激痛に変わっていく。尚、激痛の解除方法は、当事者同士和解する事で激痛が緩和される。呪いの期限として、捕虜に関しては、1及び7については生涯、蜥蜴族に関しては3カ月である。双方、気をつける様に。」

 俺は、騎士団達と村の住人に強制の魔法をかけた。反発もあるが不当な扱いをしなければ特に何も起こらないので反発に関しては無視した(笑)その後、俺達は、村長の家に戻る。
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