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「コノタビハ ムラノキキヲスクッテイタダキ ホウトウニアリガトウゴザイマシタ。」

「俺達は、人として人の道から外れるような事をしたくなかっただけです。気にしないでください。」

 コブラが村長にそう言うと、皆が頷く。

「しかし、相変わらずアルフォードはやばいな。不屈の騎士団長って言われていたパジェロ様をボコボコして、最後、脅して言う事聞かせるなんて。もはや、悪人の所業だな。」

 キャップはニヤニヤしながら話をする。

「いや、俺じゃないし。ナダレだし。」

「ワタシハ ソンナコトデキナイゾ」

「姿はな。ここまで来るとある意味、清々しいな。」

「でも、アルファードは、リザードマン達を守ったニャ。アルファードが居なかったらリザードマン達は皆殺しにされたか、生き残っても奴隷の道しかないニャ。流石、私の将来の旦那様ニャ」

 ヴァイロンが怖い事を言う。ティファとティナがちょっとむくれ、ヴァイロンに言い返す。

「ヴァ、ヴァイロン、何言っているの!そ、そりゃ、今回もアルファードはかっこよかったけど・・・ってなに言わせるのよ!!」

「アルファードは、いつもかっこいい」

 ま、まぁ、女性陣は置いといて、俺は、今後について話を始めた。

「ところで長老、ここの山頂にファニックスがいるって聞いたんだけど本当なの?」

 長老は、地図を眺めファニックスについて教えてくれた。

「タシカニ ココノサンチョウニハ フシチョウサマガ イラッシャル。シカシ イカナイホウガイイトオモウガ」

「なぜ?」

「ホンライ フシチョウサマハ イッカショニトドマッテイタリシナイ。シカシ エンシャントドラゴンノ イグニールサマトノタタカイニヤブレ ケッカイノナカニ トジコメラレテシマッタト キク。ソレイコウ フシチョウサマハ ホウモンスルスベテノ モノヲ ソコカラデラレナイヨウニ シテシマウトイウハナシヲ キイタコトガアル」

「なるほど。だから、目撃者が少ないんだ。つまり、ファニックスに会いに行った人?は、そこに閉じ込められて出られなくなってしまうという訳だね。皆はどおする?それでも会いに行く?」

「妾はご主人と共に行くぞ。一心同体じゃからな。」

「ティナもアルファードと行く」

 コブラやキャップ、ヴァイロン、ティファは悩んでいるようだ。

「少し時間をくれないか?」

「それは別にいいけど。確かに即答できる内容じゃないよね。」

 コブラ達は、部屋を出て話し合いを始めた。

「イグニールってドラゴンは、そんなに強いの?」

「イグニールサマハ コノヨデイチバンノ キョウシャダトイワレテイル。ドラゴンゾクヲマトメ ジブンハ ジユウホンポウニ イキテイルトキク。」

「どこにいるかわかる?」

「イグニールサマハ ジユウホンポウノユエ ヒトットコロニ トドマラナイ。タダ キニイッタ”チ”ガアレバ スコシノアイダハ ソコニトドマルカノウセイガアル」

「最近、どこかに留まっていると言う話は聞かない?」

「ワレワレハ イグニールサマニ ”コノチ”ヲ タクサレタ。ソレイコウノ イグニールサマノ ドウコウハ ワカラナイ」

「分かった。ありがとう。自分で探してみるよ。」

「ソウイウコトデアレバ コレヲモッテイクトイイ。」

 長老は、何かのかけらを俺に渡してくれた。

「これは?」

「コレハ イグニールサマノ ウロコノカケラ。イグニールサマガ イルホウコウヲ サシシメルテクレル。タダシ ドレクライサキニイルカハ ワカラナイ」

 鱗を見てみると、一部赤く光っている部分がある。多分、光っている方向にイグニールがいるのだろう。まぁ、今すぐって訳じゃないけど機会があったら探してみるのも面白いかもな。

「長老、ありがとう。凄く助かるよ。」

「キミタチニハ コノムラヲスクッテモラッタ オンガアル。コレクライ タヤスイコト」

 そうこう長老と話をしているとコブラ達が戻ってきた。

「待たせたな。まぁ、話し合いことも無かったんだが・・・、俺達もファニックスに会いに行きたいと思う。」

「まぁ、最初から簡単な相手じゃないって分かっていたしね。」

 キャップが首を振りながら”やれやれのポーズ”をする。

「今回、フェニックスの話を持ってきたのは私だしね。やっぱ、最後までやり遂げないとでしょ!」

「私は、アルファードと一緒ならどこでも大丈夫ニャ!」

『わ、私だって、アルファードと一緒なら・・・』

 ティファはモジモジしながら何か言っているが声が小さくて何を言っているのか分からない。

「ご主人、モテモテじゃのお(笑)」

「とにかくだ、俺達も一緒に行くって訳だ。よろしく頼むぜ!」

「うん、こちらこそ!じゃあ、皆でいこう!」

 俺達は、長老に挨拶をしてリザードマンの村を出発した。近くまで、ナダレ達が護衛をしてくれたおかげで結構楽に森を出る事が出来た。

「デハ、ワレワレハココマデダ。ドウチュウノ アンゼンヲイノッテイル」

「うん。十分分助かったよ。ナダレ、ありがとう。元気でな。」

「アア マタ ジカンガデキタラ ムラニアソビニキテクレ。カンゲイスル。」

 俺達はナダレと別れ、植物があまり生えて無い、ゴツゴツとした岩肌が出てい道?を行く。山を登る事少しして、マップに反応がある。岩山にいる魔物だろう。反応は一つでは無いので群れを成していると考えられる。俺達は、気付かれない様に注意して進んでいたが、気付かれたのか、すごい勢いでこちらにやってくる。

「ギャ、ギャーーーーーー!!!」

 俺達の前にアロスドラゴが5体立ちはだかる。全長5~6m。体重1トン程。分かりやすい特徴である目の上の部分の突起は、特に何の役目もない装飾的な部位である。典型的な獣脚類の肉食亜竜だが、頭がほっそりしていて、体長に対して体重が軽い。走るのが速く、瞬間最高速度は時速250キロを超えると言われている。群れで生活するという習性を持ち、自分たちより大き獲物にも集団で襲い掛かり、鋭い歯で噛み付くと頭を激しく振って肉を食いちぎる。また、亜竜の中では珍しく風属性魔法を使う為、他の魔物に比べて厄介な存在であることは間違いない。

 俺は、レールガンを抜き、眉間に向け打つ。

「プギャーー!!!」

 アロスドラゴは悲鳴を上げ絶命する。

「あ、亜竜だと!!こんな所に生息しているのか!兎に角、陣形を取ってやるしかないな!アルファード、そっちは任せた!!」

「ん?」

 俺は既に3体のアロスドラゴを打ちのめしていた。1体は、ティナとナディアが相手をしている。

「あー、そうだった。ちみは規格外だった・・・。よし!俺達は、俺達でやるぞ!」

 コブラ達はコブラ達でアロスドラゴを相手する。俺は、仕留めたアロスドラゴを収納し、皆の戦いを見守ることにした。風属性の魔法と俊足を誇るアロスドラゴは風のシールドで身を守り、スピードでコブラ達を翻弄させている。

《プロテクション》

《ストーンスプラッシュ》

 コブラが身体強化を使い、キャップがクリティカル上昇をすると当時にヴァイロンが補助魔法をかけ、ティファが地魔法でアロスドラゴの纏う風のシールドを破り応戦する。出だしは、まずまずと言ったところだろう。ティファの魔法攻撃で怯んだ所にコブラが渾身の一撃を放つが、アロスドラゴの風のシールドがそれを阻み、致命傷には至らない。それどころか、コブラにアロスドラゴの鋭い爪の攻撃が当たる。

「ぐぅ・・・」

 コブラは一旦後方に下がり、ヴァイロンの回復を受けている。その間、キャップが持ち前のスピードを生かし、アロスドラゴと対峙している。

《アイスストーム》

 ティファが氷属性の魔法で攻撃を仕掛ける。吹雪がアロスドラゴを攻撃すると同時にアロスドラゴの周りの温度が下がっていく。すると、アロスドラゴの動きが少し鈍くなった。キャップはそれを見逃さない。

《クリティカル》

 キャップの一撃が見事にアロスドラゴに決まる。後方に下がっていたコブラが一気に前に駆け出し、アロスドラゴに渾身の一撃を食らわした。

《マジックミサイル》

 コブラの攻撃で怯んだアロスドラゴにヴァイロンの無属性攻撃が襲い掛かるが、風のシールドに阻まれ致命傷は与えられない。しかし、キャップの一撃必殺がアロスドラゴの胸を貫いた。

「プギャーーーー!」

 アロスドラゴは雄たけびを上げ、地面に倒れこみ、動かなくなる。それを見てコブラ達は勝利を確信した。

「よし!亜竜を倒した!!皆、お疲れ様!」

 コブラが背中を向けたその時、倒れていたはずのアロスドラゴがコブラに食いついてきた。

「ギャーーーー!」

 コブラの腕に食いついているアロスドラゴの脳天にキャップのナイフが突き刺さる。

「グギャ!!」

 その一撃でアロスドラゴは絶命する。そして、キャップはコブラの下に駆け寄る。

「大丈夫か!!コブラ!」

「クッ、油断した・・・」

 ヴァイロンもコブラの下に駆けつける。コブラの腕からはボタボタと血が噴き出している。それをヴァイロンが紐で縛り止血した。

「これは酷いニャ!!街に戻って治療しないとコブラの腕が使い物にならなくなってしまうニャ!!」

 丁度、ティナもナディアのサポートを受け、アロスドラゴに勝利した。俺も、コブラの下に行く。

《アネスシージャ》

《クリップ》

 俺は、止血し麻酔の魔法をコブラの腕にかける。

「兎に角、あそこの平坦な所に簡易拠点を設営しよう。」

 俺は、山の平坦になっている所まで移動し、空間収納より簡易拠点を取り出す。そして、中に入り椅子にコブラを座らせる。

「アルファード、コブラはどうなるの?」

 ティファが目を潤ませて心配している。

「まだ痛いか?」

「いや、痛みは無い。これもアルファードの魔法か?」

「うん。腕の感覚を麻痺させた。兎に角、腕を診せて。」

 俺は、喰いちぎられたコブラの腕を診察する。

「こりゃ、この腕はもうダメだ。筋も神経もずたずたに嚙み切られている。すぐに治療が必要だ。」

 俺は皆にコブラの状況を告げた。そして、

「すぐにオペに入る。」

 俺は、空間収納より白衣を取り出し“バサッ”と着る。

《メディカルルーム》

3*3m四方を空間魔法で仕切り、コブラの装備を外し、着ているものを脱がせ、上半身を裸にしてその中に寝かせる。

《ベール》

そんな彼の”腕以外の所を光の衣で包む。そして、腕をつねってみる。

「何か感じるか?」

「いや、何も感じない。」

「麻酔は効いているようだね。では始めようか。」

 オペの準備は整った。俺は、オペを開始する。

「それではオペを始める!よろしくお願いします。」

《クリーン》

《アンチウィルス》

《アンチバクテリア》

《アナライズ》

 彼の腕が消毒されているのを確認し、腕を切り取る。

《ウォータメス》

 水圧を利用した鋭利なメスで腕の断面の少し上を切り取る。そして、

《クリップ》

 止血しながら傷口を広げていく。そして、切り離された腕を整形し、血管、神経を繋ぐ。

《シール》

《リジェネレイト》

 切り取られ、欠損している部分を再生させる。

「う、腕の一部が再生してるニャ!!」

「おお!!腕が治っていく!!」

《キュア》

 腕に感覚が戻ってくる。

「どうだ?腕はちゃんと動くか?」

「あぁ、問題ない。」

「さ、腕を切り取ってくっつけたニャ。初めて見たニャ。凄い・・・凄いニャ!!!!!!」

 ヴァイロンは、一人で大騒ぎしている。

「コブラ・・・よ、良かった!!!!」

「アルファード!!やっぱ、お前はすげーよ!!」

 ティファとキャップもコブラの下に駆け寄る。

「コブラ、腕はくっ付けたけど、元通りとまではなっていない。暫く、リハビリが必要だ。」

「リハビリ?なんだそれは?」

「そうだな。元通りになるように左腕を鍛錬する事だ。」

 俺は、今後の事をコブラに告げ、治療を終えた。

「今日は、このまま休むとしよう。もう、結構、フェニックスに近づいていると思うし。明日はフェニックスの探索をしよう。そのために、英気を養ってほしい。」

「そうだね。コブラも大変だったし、今日はこれ位にしないとね。じゃあ、私とヴァイロンで食事の準備をするね。」

 ティファとヴァイロンは、キッチンに向かい材料を物色し始めた。何が出来るかは彼女たちに任せよう。暫くして、ティファが皆を呼びに来る。

「食事が出来たので食べましょう。」

「はいよー。じゃあ、行きますか。」

 俺達は、リビングの方へ向かった。すると結構、豪華な料理が並んでいる。

「うひょー、随分、豪勢じゃないか!」

 キャップは、お肉をつまんで”ポイ”っと自分の口の中に放り込む

「こらー、キャップ、つまみ食いするな!ま、まぁ、私とヴァイロンにかかればこれくらい何て事無いわ。」

「ほとんど、私が作ったニャ。でも、ティファは、ちゃんと具材を切ったり、煮るのを見いてくれたりしたニャ!」

「ちょ、ちょっと、ヴァイロン!」

 うん、どうやらこの食事はほぼヴァイロンが作ったらしい。まぁ、孤児院でも食事を造ったりしていたみたいなのでなんとなく頷ける。メニューは、前菜にサラダと野菜のスープ、サイドメニューにビックボアの肉のソテーとビックホローの串焼き、メインにグレートバッファローのステーキが沢山。付け合わせに温野菜が添えられている。主食には、ちょっと固めなパンが用意されている。

「さあ、折角なので冷めないうちに頂きましょう。」

「いただきまーす!」

 結構な、ボリュームだが亜竜と戦った後なのでスタミナも消耗しているらしく皆”モリモリ”

と食べていく。

「ほう。これは旨いのう。」

 ナディアは肉を頬張り、満足げな表情をしている。俺も、ビックホローの串焼きを食べてみる。程よい脂と調味料が格別だ。火がちゃんと通してあるにとてもジューシーで旨い。

「これ、すごく美味しい。」

 ティナもビックボアの肉を食べ、舌鼓している。皆がそれぞれ食事を楽しんでいる。皆が楽しく食事の時間を過ごした。食事の時間も終盤に差し掛かった頃、コブラが皆に提案をしてきた。

「明日、ファニックスの探索を行うわけだが、遭遇した時の打合せをした方がいいと思うのだが。」

「確かに、ちょっと思っていたよりも状況が違う気がする。みんなの意見も聞きたいな。」

 食事が終わり、少し落ち着いたところでミーティングをする事となった。女性陣も含め、片付けはみんなでやる。片付けも終わり、お茶を片手に皆がテーブルに着いた。

「あ、そうそう。まず最初に皆に渡す物があるんだ。」

 俺は、リザードマンの族長より受け取った賢者の石を取り出した。

「こ、これは、賢者の石じゃないか。しかもこんなに沢山。」

「均等に分けてあるので受け取って。」

「私達、大したこともしてないのにこんなに貰えないよ。」

「でも、皆はパーティーなんだからさ。これもパーティー報酬だよ。」

「だが、こんなには・・・流石に気が引けるぞ(;’∀’)」

「うん。だから、私は、これだけ貰うニャ」

 ヴァイロンは、出されている賢者の石を1/3ほど受け取った。

「これだけでも十分な報酬ニャ!アルファード、ありがとうニャ!」

「じゃあ、俺もこれだけ頂こうかな。」

 キャップもヴァイロンと同じくらいの量を受け取った。」

「・・・、では、私もこれだけ貰う。」

「分かった。では、遠慮せずにこれだけ頂こう。」

 皆が賢者の石を1/3程度ずつ受け取ってくれた。別に全部持って行けばいいのに・・・。そんな感じで、今回の報酬の山分けが済んだ所で本題に入る。

「さて、本題だが、今回の相手はエンシェントドラゴンと戦った相手だ。それなりの強さを持っていると考えていいかもしれない。」

「エンシェントドラゴンか・・・、伝説級の魔物だ。俺も話でしか聞いたことないが、魔王に匹敵する力を持ち、奴がその気になれば大陸を吹き飛ばすほどの力があると言う。」

「そんな相手と対峙したんだね。少し怖いニャ。」

「まぁ、アルファードがいるから大丈夫だと思うけど・・・」

「流石に、アルファードだってエンシェントドラゴンを相手にしようなんて思わないと思うけど?」

「ん?えへへへ・・・(笑)」

「思うんかい!!ドラゴン族って言ったら、みんなビビッて逃げる相手で、その頂点に君臨するのがエンシェントドラゴンなんだぜ。」

 キャップが呆れたように話す。このままだと話が進まないので、話をフェニックスに戻す。

「まぁ、ドラゴンに負けたと言っても伝説の鳥と言われるほどの力の持ち主だから注意した方がいい。特に、相手が好戦的なら結構な脅威になると思う。だから、事前にゲートをこの拠点に繋いでおくので、もしファニックスと対峙する事になり”これ以上の戦闘は難しい”と思ったら、躊躇なくゲートをくくってほしい。そして、ナディアは全員のサポートにまわって貰えると助かる。」

「了解じゃ。妾に任せておくのじゃ」

「兎に角、あまり無理はしないようにお願いします。」

「分かった。フェニックスとの交渉はアルファードに任せよう。」

「うん、安全が確保出来次第、再度戻ればいいからね。」

「次に、火山の火口に明日は向かう訳だけど、火口には、有毒ガスが噴き出している可能性がある。そのガスを吸うと次第に意識が薄れ、死に至るとても危険なガスだ。幸いにも、ガスには匂いがある。卵が腐ったような匂いが強くなったらガスが多量にあると言う事。普通にそのまま進めば死ぬから。」

「おいおい、じゃあ、ファニックスの所にはたどり着けないんじゃないのか?」

「いや、その対策は考えている。明日までに用意するのでもし、ガスが発生しているようなら対策しよう。」

「分かった。よろしく頼む。」

「最後に、山頂付近は寒いと思われるが、火口を下るにつれ、溶岩の影響で温度が上がってくる。暑さ対策をしといたほうがいいと思う。特に、キャップとコブラの装備は熱くなりそうだから装備に皮を巻くとかして金属部分がなるべく露出しない様にした方がいいかもね。」

「了解した。我々は我々で対策をしよう。では、明日はこの通り動こう。」

 ミーティング終了後、皆は各々明日の為の準備をする。俺は、いつもの鍛錬をするため外に出てから、異空間へ行く。折角覚えた剣技を自分のものにするために、毎日の鍛錬に組み込んだ。俺は、素振りをし、シャドウをする。そして、魔法を色々試してみる。今は、属性を織り交ぜた複合魔法を試している。その結果、相対する属性ではなく、同じくらいの階位の魔法であれば、合体させることが可能であることが分かった。魔法の創造にした感覚かな。そして、最後に禁呪を炸裂させまくって魔力を使い果たす。今では、けだるい程度で治まるようになった。鍛錬を終え、元の空間に戻り、拠点を目指す。すると拠点から少し離れた所でティファがいた。

「どうしたの!!フラフラじゃないの!何かあったの!?」

「いや、ちょっと日課の鍛錬をしていたから魔力が欠乏してふらふらしているだけだよ。なんか、心配かけちゃったね。」

「そ、そう。それならよかった。何かあったのかって思っちゃったわよ。」

「それよりも、ティファはここで何をしているの?」

「んー。外を見ていたんだ。ほら、見てみて。ここは、山の頂上付近で高いし、木々もほとんど無いからすごく見晴らしがいいの。」

 俺はあまり景色とか気にしていなかったが、確かに凄くいい眺めだ。月明かりに照らされた森がずっと遠くまで見える。そして、そんな森から小さな光の粒が空に向かって浮遊する。とても幻想的な光景だった。ティファは、近くにある大きめの岩に腰を掛け景色を見ている。

「良かったら、ここに座らない?」

 俺は、ティファの横に腰かけた。

「奇麗・・・、この辺の森は、魔力が豊かだから魔力の粒が視覚になって見えているんだ。こんな光景なかなか見られないよ。」

 ティファはうっとりとその光景に見惚れている。俺もつい、そんなティファに見惚れてしまった。

”何だろう・・・この”ドキっ”とする感情は”

母親に対する物とも違う、遠く昔に、そう前世の遥か昔に素敵な異性に対する憧れを抱いた時の様な感じだ。

”俺もそんな年になって来たのか(笑)”

 なんだか、自分で自分が可笑しく思えた。

「どうしたの?”ジーっ”と私を見て。何か付いている?」

「いや、なんか、今日のティファは凄く可愛いなぁって思って見惚れてしまったよ。」

「え、えっ!な、何言っているよのもう。」

 ティファは、顔を赤らめて俯いてしまった。でも、満更では無いらしい。そんな照れたティファも可愛い。二人の間に少しの静寂があった。ティファが恥ずかしそうに俺を見つめる。俺はその潤んだ瞳から目が離せない。二人の顔が徐々に近づいていく。目を閉じようとした瞬間。

「アルファード《旦那様》!!浮気はだめなの《ニャ》!!」

 横にヴァイロンの顔とティナの顔がある。

「おいおい!!いいところなんだから邪魔するなよ(・∀・)ニヤニヤ」

「おほん!ん。つまり、なんだな・・・もうちょっとだったな・・・」

「皆はうぶじゃのお。キスぐらいさせてやればいいものを┐(´∀`)┌ヤレヤレ」

 キャップ、コブラ、ナディアが拠点の陰から姿を現す。

「み、みんな!何時からそこに居るのよ!(゜∀゜)!!」

 ティファがおろおろしながら皆に問いかける。

「”良かったらここに座らない?”らへんからかな。」

「ほとんど、最初のころからじゃないのよ!まったっく・・・」

 俺は、そっとみんなの下を離れて拠点に戻ろうとした。

「あー、アルファードが逃げた!」

「アルフォードは、私とチューする!」

「違うニャー!私の旦那様ニャ!」

 ティナとヴァイロンが追いかけてくる。

「勘弁してくれーーー!!」

 夜を彩る星々と幻想的な雰囲気が俺達を解放的にさせてくれた。仲間に囲まれ、このような些細な日常が明日への活力になると俺は思った。さて、言い訳を考えて明日に備えて今日の所は休むとするか。

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