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1.始まりの地
じゅうさん、迷子です
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困ったわ。完全に迷子だわ。途方に暮れるとはこのことね。
当たり前に拠点に戻れると思ったので、あまり荷物もないし。困ったわね。
いいえ、るみ、いいことに目を向けるのよ!まず、ウロウロしていたら食べられそうな実をいくつか見つけたこと。あとは、あとは…、ないわね。切り株と実を見つけたことくらいしかないわ。がっくしよ。探査能力ないのよね。
綿毛ちゃんたちは多分今の時間寝てるのよね、睡眠を必要とするのかしら。分からないけれど、朝から見なかったし昨日も見かけたのがお昼頃だったものね。
本当に困っちゃったわね。どこに行っても水音は聞こえるし、川からこの切り株くらいの場所しか移動できてないような気がするわ。
「…おかしいのよね、それが。私はちゃんと目印になるものをみつけつつ来てるはずだし、迷いようがないのよ。なのになんでここをぐるぐると、何かの罠にかかってるのかしら。このまま衰弱するのを待ってパクリ、とか」
自分で言っていて怖くなってきてしまった。
「どうしましょう、本当に…」
また切り株に戻ってきてしまったので腰掛ける。1時間は歩いたかしら、歩き回って疲れたわ。少し休みましょう。
「ほんの少し、ほんの少しだけね。こんな大きな切り株なんだもの、ここで寝ても平気よね」
乾きつつあるハンカチを枕に切り株で少し横になる。
・・・・・
起きたわ。眩しくてあまり眠れなかったし、そもそもそこまで眠る必要を感じてなかったわね。
大体そうね、30分ほど寝たかしら。
「さぁ、拠点に戻るわよ!」
拠点に戻りたいわ、切実に。と思って歩いていたのに、またしても切り株よ。ふふ、縁があるわね。
「あー、どうしましょう、本当に。戻れないわ。道を聞ける人もいないのよ。そもそもこの世界には人は存在しているのかしら」
切り株に座ろうとするが、何かがおかしい。違和感がある。
「んーと、何かしら。このもやっと感は。切り株がなんか違う?いいえ、ここよね、私の足跡もここにあるわ。一体何がちょっと違うのかしら。あ、そうだわ、写真!写真を確認しても違いは感じられ…あっ!えっ!」
思わず声に出してしまった。
「切り株が少し大きくなってる…?伸びたのかしら。だから座るときに違和感があったのね」
切り株の周りをみてみたり根本をみても何も変わらない。切り株がそのまま成長するなんてことあるかしら。摩訶不思議な現象がおこったので現実逃避。
「いえ、現実逃避してる場合じゃないわ。なんで、何が原因なの。今までは平気だったよね、歌は歌ってないはず。私が原因よね、多分。それとも今この時間が伸びる時間だった?とか?今日しか見てないしそれもあり得るわね。数日ほど観察していたいけれど、ここには数日いたくないわね」
喉がかわいたけれど、まだ煮沸をしていないため、躊躇われる。
んんー、どうしましょう、本当。ここが物語の中だったら、救世主があらわれてそこからトントン拍子に進んでいくのよね。こんな時の定番は魔物よね、ヤバいってなったときに何かが助けてくれる、それが王道よ。
命の危機にはなりたくなんてないからこの王道は嫌だけどね。いえ、物語だったらいいのだけれど。
あとはそうね、この切り株が実は生命体でお喋りができるの。エルフが崇める聖木の跡地だったり、そういう話の持っていき方があるわね。
私が作者だったら、そうね、エルフがやってきて村にご招待。なんだかんだあって仲良くなりました、という話を推すわね。血なまぐさいのは苦手よ。
「主人公じゃないから、ヒーローもやってこない。エルフもいない。ここで朽ち果てる…いえ、諦めちゃ駄目よ、るみ。弱気になるのがいけないの」
一旦頭を落ち着かせ、そうそう、こんな時の飴ね、飴を舐めて考えましょう。
「水浴びをしたときから少しおかしかったわね、確かに身体はさっぱりしたけどスキップするほど?水に原因がある?」
ペットボトルに入っている水を揺らしながら考えてみる。
「この水がなにかの原因、意思を持っている可能性がある。となると、水を違う場所に持って行かせないように、っていうのもあるかしら。水さーん、正解ですか?」
揺らして声をかけるが、もちろん水の声が聞こえるはずもない。
「切り株が大きくなった原因は水だとしたら?いえ、そしたら私が大きくなってないといけないわね。飲まないといけないとかあるのかしら。水浴びをして変わったことといえば世界が輝いてみえたことあとは身体が軽いわね」
鏡をだして自分の姿を見てみる。
「うーん、普段通りにみえるけど、いえ?こんなところで生活したら疲れが顔に出るはずなのにいつも通りってところがまずおかしいんじゃないかしら。もう私は若くはないのよ。と、この水が怪しい」
ペットボトルの水を睨みつけてみる。カッコつけて睨んでみたけれど、意味はないわ。ポーズよ、ポーズ。
「ケサランかパサランと会えたらまた汲めばいいわよね、えーい、ままよ!」
苦労して濾したペットボトルの水を切り株にそのままかけてみる。あの有名なワンシーンをやるべきかしら。うーん、パッ!のリズムの屈伸体操ね。
ここには誰もいないし、今は咎める人もいないわ。
やってみましょう。
当たり前に拠点に戻れると思ったので、あまり荷物もないし。困ったわね。
いいえ、るみ、いいことに目を向けるのよ!まず、ウロウロしていたら食べられそうな実をいくつか見つけたこと。あとは、あとは…、ないわね。切り株と実を見つけたことくらいしかないわ。がっくしよ。探査能力ないのよね。
綿毛ちゃんたちは多分今の時間寝てるのよね、睡眠を必要とするのかしら。分からないけれど、朝から見なかったし昨日も見かけたのがお昼頃だったものね。
本当に困っちゃったわね。どこに行っても水音は聞こえるし、川からこの切り株くらいの場所しか移動できてないような気がするわ。
「…おかしいのよね、それが。私はちゃんと目印になるものをみつけつつ来てるはずだし、迷いようがないのよ。なのになんでここをぐるぐると、何かの罠にかかってるのかしら。このまま衰弱するのを待ってパクリ、とか」
自分で言っていて怖くなってきてしまった。
「どうしましょう、本当に…」
また切り株に戻ってきてしまったので腰掛ける。1時間は歩いたかしら、歩き回って疲れたわ。少し休みましょう。
「ほんの少し、ほんの少しだけね。こんな大きな切り株なんだもの、ここで寝ても平気よね」
乾きつつあるハンカチを枕に切り株で少し横になる。
・・・・・
起きたわ。眩しくてあまり眠れなかったし、そもそもそこまで眠る必要を感じてなかったわね。
大体そうね、30分ほど寝たかしら。
「さぁ、拠点に戻るわよ!」
拠点に戻りたいわ、切実に。と思って歩いていたのに、またしても切り株よ。ふふ、縁があるわね。
「あー、どうしましょう、本当に。戻れないわ。道を聞ける人もいないのよ。そもそもこの世界には人は存在しているのかしら」
切り株に座ろうとするが、何かがおかしい。違和感がある。
「んーと、何かしら。このもやっと感は。切り株がなんか違う?いいえ、ここよね、私の足跡もここにあるわ。一体何がちょっと違うのかしら。あ、そうだわ、写真!写真を確認しても違いは感じられ…あっ!えっ!」
思わず声に出してしまった。
「切り株が少し大きくなってる…?伸びたのかしら。だから座るときに違和感があったのね」
切り株の周りをみてみたり根本をみても何も変わらない。切り株がそのまま成長するなんてことあるかしら。摩訶不思議な現象がおこったので現実逃避。
「いえ、現実逃避してる場合じゃないわ。なんで、何が原因なの。今までは平気だったよね、歌は歌ってないはず。私が原因よね、多分。それとも今この時間が伸びる時間だった?とか?今日しか見てないしそれもあり得るわね。数日ほど観察していたいけれど、ここには数日いたくないわね」
喉がかわいたけれど、まだ煮沸をしていないため、躊躇われる。
んんー、どうしましょう、本当。ここが物語の中だったら、救世主があらわれてそこからトントン拍子に進んでいくのよね。こんな時の定番は魔物よね、ヤバいってなったときに何かが助けてくれる、それが王道よ。
命の危機にはなりたくなんてないからこの王道は嫌だけどね。いえ、物語だったらいいのだけれど。
あとはそうね、この切り株が実は生命体でお喋りができるの。エルフが崇める聖木の跡地だったり、そういう話の持っていき方があるわね。
私が作者だったら、そうね、エルフがやってきて村にご招待。なんだかんだあって仲良くなりました、という話を推すわね。血なまぐさいのは苦手よ。
「主人公じゃないから、ヒーローもやってこない。エルフもいない。ここで朽ち果てる…いえ、諦めちゃ駄目よ、るみ。弱気になるのがいけないの」
一旦頭を落ち着かせ、そうそう、こんな時の飴ね、飴を舐めて考えましょう。
「水浴びをしたときから少しおかしかったわね、確かに身体はさっぱりしたけどスキップするほど?水に原因がある?」
ペットボトルに入っている水を揺らしながら考えてみる。
「この水がなにかの原因、意思を持っている可能性がある。となると、水を違う場所に持って行かせないように、っていうのもあるかしら。水さーん、正解ですか?」
揺らして声をかけるが、もちろん水の声が聞こえるはずもない。
「切り株が大きくなった原因は水だとしたら?いえ、そしたら私が大きくなってないといけないわね。飲まないといけないとかあるのかしら。水浴びをして変わったことといえば世界が輝いてみえたことあとは身体が軽いわね」
鏡をだして自分の姿を見てみる。
「うーん、普段通りにみえるけど、いえ?こんなところで生活したら疲れが顔に出るはずなのにいつも通りってところがまずおかしいんじゃないかしら。もう私は若くはないのよ。と、この水が怪しい」
ペットボトルの水を睨みつけてみる。カッコつけて睨んでみたけれど、意味はないわ。ポーズよ、ポーズ。
「ケサランかパサランと会えたらまた汲めばいいわよね、えーい、ままよ!」
苦労して濾したペットボトルの水を切り株にそのままかけてみる。あの有名なワンシーンをやるべきかしら。うーん、パッ!のリズムの屈伸体操ね。
ここには誰もいないし、今は咎める人もいないわ。
やってみましょう。
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