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健太は今年のお正月の光景を思い浮かべた。家族皆でお節を囲んで楽しい時間を過ごした。
──そこにメロンを添えると、どんなに幸せなんだろう?
初めてメロンを口にした時から、メロンに恋焦がれ、毎日、お正月が来るのを待ち侘びるようになった。そして、とうとう今日は大晦日だ。明日は待ちに待ったお正月なのだ。
健太の夢は叶うはずだ。
「おっ、坊や、来たね」
ようやく、店主は健太に気づいてくれた。
店主の不意打ちに驚くと、もじもじし始めた。だが、店主はそれっきり、他の客への応対に忙しく、自分の相手はしてくれない。
仕方なくその光景を眺め続ける羽目になった。しばらくすると、痺れも切れてくる。
「おじさん。おじさーん」
店主は忙しなく店内を行ったり来たりするばかりで、健太の声も届かない様子だ。「メロンは、どこ?」そう言おうとしたが、どうしても声が出なくなった。そこで、健太は幾度も深呼吸を繰り返した。思い切り息を吸い込んで胸を突き出し天を仰ぐと、腹の底から一気に声を吐き出した。
──そこにメロンを添えると、どんなに幸せなんだろう?
初めてメロンを口にした時から、メロンに恋焦がれ、毎日、お正月が来るのを待ち侘びるようになった。そして、とうとう今日は大晦日だ。明日は待ちに待ったお正月なのだ。
健太の夢は叶うはずだ。
「おっ、坊や、来たね」
ようやく、店主は健太に気づいてくれた。
店主の不意打ちに驚くと、もじもじし始めた。だが、店主はそれっきり、他の客への応対に忙しく、自分の相手はしてくれない。
仕方なくその光景を眺め続ける羽目になった。しばらくすると、痺れも切れてくる。
「おじさん。おじさーん」
店主は忙しなく店内を行ったり来たりするばかりで、健太の声も届かない様子だ。「メロンは、どこ?」そう言おうとしたが、どうしても声が出なくなった。そこで、健太は幾度も深呼吸を繰り返した。思い切り息を吸い込んで胸を突き出し天を仰ぐと、腹の底から一気に声を吐き出した。
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