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第1章 医療の星 [医星]

第3話 医薬品強奪集団!?

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【登場人物】

 [サンダー・パーマー=ウラズマリー]
 金髪の活発な青年。電撃の能力を持つ。
 サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
 遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。


 ▼ヴィスタ診療所

 [ヴィスタ]
 医星で医者をしている若い女性。

 [バリス・スピア]
 医星で医者をしている青年。
 目つきがとても悪い。


 ▼その他

 [セリナ]
 プラズマの幼馴染の女の子。
 勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。

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 ~医星・ヴィスタ診療所奥居間~


『次のニュースです』

『昨日深夜、研星会系列の病院が襲撃され、医薬品が強奪された事件を受け、政府軍は捜査を開始したと発表しました』

『今回の強奪が大怪盗によるものではないかとの議論が……』

「医薬品の強奪……?インテリ……なのに物騒だな……」
 そう言いながらプラズマは眠たそうにパンを頬張り、朝食を平らげた。

「最近多いのよ……しかももしかしたら大怪盗の仕業かもとかって……」

「あんな大物がそんなもの盗んで何になるってんだ。医薬品不足に嘆いてる貧民街区の連中がやってんだろ」
 バリスは“あほらし”と言わんばかりに鼻で笑った。

「そんなのわからないでしょ!?」

 そんなバリスとヴィスタの話を聞いていたプラズマはふと疑問がわいた。
「医療の星なのに医薬品が行き渡ってないんだな」

「そりゃそうだ。神立も研星会も医薬品が高いからな。買えない奴なんざ山ほどいるさ。貧民街区の奴らみてぇにな」

「コラ!バリス!彼らだって一生懸命生きてるのよ!?」

「はいはい。」
 バリスは食器を重ねて立ち上がると、流し台の方へと向かう。

 ヴィスタはバリスが奥の部屋に消えるのを見届けると、小さな声で話し始めた。
「貧民街区の彼らがやっているかのはよく分からないけど……強奪してたとしても、それは仕方がない事だと思う……」

 その言葉に対するプラズマの反応はなかった。

「だって……」
 言葉を濁してヴィスタがうつむくと、戻ってきたバリスがその続きの説明を引き継ぐ。
「医薬品を買おうにも稼ぎが少ない…って!おい!」

 戻ってきたバリスの目に入ってきたのは、机に突っ伏して寝ているプラズマだった。

「お前また寝てんのか!!食ってここまですぐ寝れるって、漫画か!!」

「起きろ!!」
 バリスはプラズマのデコを力一杯平手打ちした。

「バリス!やめてあげなさいよ!寝かせておいてあげたらいいでしょ!?一度起こすと寝付けなくなるのよ!?」

「うるせぇ!こんな図々しい患者初めてだ!」
 バリスはなおもプラズマを小突いている。

「あっ…どこまで話してたっけ……?」

「医薬品が不足してるから貧民街区の奴らが強奪してるかもしれねぇって話だ!!」

 語気鋭く説明するバリスの答えにプラズマは目を丸くする。
「医薬品の不足……?ここは医療の星だろ?不足なんて……」

「ある。医療だってビジネスだ。慈善事業じゃねぇ。金の無い貧困層にゃ買えるわけないからな」

「貧困層にはチンピラまがいも多い。奴らがやってても何らおかしくはない」

「ならお前もやってたりしてな!!目つき悪いし!」
 と、プラズマは冗談で言ったつもりだったのだが……


「バリスがするはずない!!」


 突然大声を出したヴィスタにプラズマは驚きを隠せないながらも謝った。
「い、いや……ご、ごめん……」


 静まり返る院内。
 静寂を破ったのは意外にもバリスだった。
「やるわけないだろ。そんなめんどくさそうなこと」

 大人気なく大声を出してしまったことでうつむいていたヴィスタは絞り出すように声を出した。
「もちろんバリスがやってないことなんか分かってるよ……」


 重い雰囲気を打ち破ろうとしたのか、バリスはプラズマに話を振る。
「で、お前。治療が終われば出て行けよ」


 プラズマからすれば、共にチンピラを追い返したのに、まさかこんな展開になるとは思ってもみなかった。
「そんな血も涙もない!!」


「ていうかお前、なんで医療の星に?」

「銀河を……宇宙を旅するために!!」

「宇宙の旅と医星に何の関係があるんだよ」

「適当に乗った輸送船が医星行きだったから……?」
 医星に来た理由などないプラズマは困った表情を浮かべている。

「てかお前、輸送船てやっぱ不法入星してんじゃねえか!おかしいと思ったんだ!」

「でもパスポートは持ってるぜ?」

 プラズマは目の前にホログラムを起動させ、バリス達にパスポートを提示した。
「お前なぁ、入星審査受けなきゃ正規の入星にはならねぇだろ!」

「え?そうなの?」

 馬鹿すぎて話になっていない。
 バリスもヴィスタも目が点になっている。

「で、お前は宇宙を旅して何やってんだ?」

「なんかの遊撃捜査!」
 “何言ってんだこいつ”という表情で、2人はプラズマを若干引いた目で見ていた。


「で……一体何を捜査してんだ、具体的に?」

 “具体的”に。
 その質問にプラズマはフリーズした。
「何を…具体的に……」


「ふらふら宇宙を漂うデブリス宇宙ゴミじゃあるまいし、捜査隊ってんなら何かしら捜査してんだろ」

「そ、そうだ!My Geneマイジーンを見つけて、銀河から争いを失くす!そのための遊撃捜査だ!」

My Geneマイジーン……?」
 バリスとヴィスタは目を点にして見つめ合うと、数秒間固まった。


「プッハハハハハハハ!!!」
 そしてバリスが突然吹き出した。

「こら!バリス!……笑っちゃ…ダメでしょ……?」
 そうたしなめるヴィスタも顔を背けて震えている。

「なんだよ!」
 自分の目標を笑われたプラズマは当然顔をしかめた。

「お前!そんな御伽噺の伝説信じてんのか!?」

「サンタクロースも信じてんじゃねぇだろうな!?」

 “ぐぬぬ”と言わんばかりの表情でプラズマは反論の言葉を捻りだした。
「ならお前はMy Geneマイジーンがないっていうの確認したのかよ!」

「ある訳ないだろ!“ない”んだから!!」


「絶対に見つけてやる!」


「っつっても、My Geneマイジーンを見つけるにしても多くの星を探さなきゃいけねぇだろ。その情報はどうやって調達すんだ」


「……………………」

「何を調査すんのか決まってんのか?」

「……………………」

「何をどう調査するかも決まってないのに、どうやってMy Geneマイジーンを見つけるんだよ」

 プラズマは何かをひらめいたかのように表情を晴らす。
「そうだ!何でも屋として活動しながら情報を集める!人助けもできて一石二鳥だろ!?」

「何でも屋だぁ?」

「あぁ!何でも屋!何でも依頼を受けてやる!!」

 プラズマがそう豪語した直後だった。
 診療所の入り口ドアがゆっくりと開く。

 逆光によって黒く縁取られた一つの人影。
 


「なら……」


「俺の依頼を聞いてくれよ」



「何でも屋」


 To be continued.....






【EXTRA STORY】

 ~ヴィスタ診療所~

「プッハハハハハハハ!!!」

「こら!バリス!………笑っちゃ……ダメでしょ……?」

「なんだよ。」

「お前!そんな御伽噺の伝説信じてんのか!?」

「サンタクロースも信じてんじゃねぇだろうな!?」

「(え?サンタさんっていないの?)」


 To be continued to next EXTRA STORY.....?
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