My² Gene❇︎マイジーン ~URAZMARY~

泥色の卵

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第4章 百獣の王の星 [森星]

第5話 月光・瞬炎

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【登場人物】


 ▼何でも屋

[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
 金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
 サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
 遺伝子能力養成学校高等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。

[バリス・スピア]
 元軍医で、毒の能力を持つ医者。
 薄紫で、天を衝くようなツンツン頭。目つきが死ぬほど悪い。
 どんな病でも直す幻の植物を探すため、医星を出てプラズマと旅をすることになる。

水王スオウ 涙流華ルルカ
 元名家・水王スオウ家の侍で、水の遺伝子能力者。
 プラズマ達に妹を救われた一件で、自分に足りないものを探すため、水王家当主から世界を回ることを命じられる。

[ラルト・ローズ]
 白色の長髪で、いつもタバコをふかしている政府軍中佐。
 口が悪く、目つきももれなく悪い炎の遺伝子能力者。
 政府軍内の裏切りにより、軍を退官してプラズマ達と旅に出ることを決心する。


 ▼森星しんせい
[ドルニク・バリスタ]
 森星の王。金色のたてがみを生やしている上裸の大男。

[ザルダム・バリスタ]
 ドルニク・バリスタの父で、宇宙船の代わりとなる宇宙亀を販売している。
 元政府直轄治安維持機関[十闘士]の一員。

[ジョン・ロレンス]
 森星王しんせいおう選挙で現星王のバリスタと争った政治家。
 今は反星王派に属している。


 ▼その他

 [セリナ]
 プラズマの幼馴染の女の子。
 勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。

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 【お知らせ】
  伏線を伏線と思わせないのむずい。
  そして推敲全然できてない。

 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡



 ~反星王派拠点~


「やぁ、IMICの諸君。私はMastersマスターズMasterマスター MOONLIGHTムーンライトだ」


 数秒の沈黙の後、プラズマが痺れを切らせたように声を発した。
「その肩書き、自分で言ってて恥ずかしくないのか?」

 そんなプラズマを無視するかのように、バリスが続ける。
Masterマスター MOONLIGHTムーンライトってロイ・カレセヒューレだったのか……!」

「ロイ・カレセヒューレ? 有名人なのか?」

「さっきも言ったろ!元大元帥で、多くの分野で成功を収めた実業家だ。Mastersには入らず、会社運営に力を入れたとばかり思っていたが」

「へぇ~、じいさん歳なのにすごい人なんだ」

「おいっ!プラズマ!!」
 バリスが失礼な物言いをするプラズマを諌めた。

「いいんだ。私ももう90だからね」

「90!!? 全然見えない……」
 せいぜい70後半くらいにしか見えないため、ロレンツを含めて皆驚いている。

 するとカレセヒューレの背後から、もう一つの影が顔を覗かせる。
 その影は薄い金髪のソフトモヒカン、筋骨隆々の男だった。そしてその男はプラズマを認めるや、鼻息荒く彼に近づいていった。

「お前! プラズマ!」
 
  プラズマは突然のことで一瞬誰かわかっていない様子だったが、すぐに目を見開き驚きを表した。
「ガ、ガウディオ!」

 嬉しそうに互いの名前を呼び合う二人を見て、バリスは困惑している。
「なんだプラズマ突然……?」

俺の師匠アリスの兄貴だよ!」
 プラズマは“じゃーん”と言わんばかりに、その薄い金色の短髪の男を両手で披露してみせた。

は余計だろうが~、俺はお前をホントの弟だと思ってんのによ!」
 ガウディオと呼ばれる男は、戯れるように太い腕でプラズマの首をホールドした。

「お前、ガウディオ・ジアと知り合いだったのかよ……!」
 口を大きく開けたバリスとラルト。

 そんな二人にいつも通り無知のプラズマが問う。
「ガウディオも有名なのか?」

「ど有名に決まってるだろ! 元四帝よんていだぞ!?」

 ガウディオは腕を組んで誇らしそうに目を閉じ鼻を鳴らした。
 ロレンツも強力な後ろ盾に満足そうだ。
「星王は手強いですがMastersの【月光】、【瞬炎しゅんえん】のお二人がついてくれているので心強いです」

「【月光】と【瞬炎】?」
 プラズマが尋ねると、バリスが答えた。

「暗闇に閉じ込め、視界を奪ったところでレーザーを打ち込む。まるで月の光が差し込むかのように。だから【月光】」

「目にも止まらぬ電撃で気づいたときには炎が上がっている【瞬炎】」

 バリスの説明にラルトが付け加える。
「うちのローズ家以外で【炎】という二つ名を持っている唯一の人物」

「うちは元五大名家。腐っても強大な名家だの一つだ。《炎》が付く二つ名を与えようとしようもんなら圧がかかる。それでも【炎】の二つ名を得てんだ」
 ラルトの補足を聞いていたガウディオは鼻高々にご満悦な表情を浮かべていた。

 ラルトの言う通り、ローズ家は昔から【◯炎】という二つ名を授かるのが慣例だった。これはローズ家だけの慣例ではなく、二つ名を決定する政府もこれに従っていた。

 ラルトは【獄炎】、死んだ父は【豪炎】、彼の従兄は【爆炎】、従妹は【愛炎】…

 というように二つ名には“炎”が含まれていた。

 過去に一度【水炎】という二つ名を授けたが、官報で公表されるやローズ家が猛反発したことがあった。
 結局撤回し、【炎水】と改正となったことがあった。
 それからはローズ家のみに“◯炎”が適用されることとなったのだ。

 そしてこのガウディオ・ジアはそれ以降初めての“◯炎”という二つ名を得た男となった。

 当然ローズ家も反発はしたが、一族が名家から没落していたこと、ヴァンガルド・キルにより一族が多く殺され弱体化していたことなどにより半ば諦めに近い形で認められることとなった。

 そして認められた要因として一番大きかったのが、彼ガウディオ・ジアが元四帝だったことだ。
 今の一神四帝いっしんよんていは詳細が公表されておらず、世間的には実力も明らかとなっていない。
 しかしそれでも圧倒的強者の位置付けをされているのは、ガウディオ・ジアを含む前一神四帝の存在が大きい。

 多くの紛争や事件解決に貢献し、銀河の平穏を守った。
 特に水王大元帥反乱事件を発端とする戦争、“白い戦争”を終結させた大きすぎる功績も持っていた。
 
 さらに前一神四帝は若く、それもまたより一層強者たらしめる要因の一つとなっていた。

「へぇ……たまにアリスのところにくる適当感あふれる兄貴ってだけじゃなかったんだな」

「おい。だけってなんだ。適当感あふれてないわ」
 ガウディオはプラズマの頭をガシガシと揺らす。

「ジア君に比べれば、私など足元にも及ばないよ。なんせジア君はまだ若いのにMastersでも一目置かれているからね」

「ほれ聞いたかプラズマ。カレセヒューレさんもそう言ってんだ」


「で、Mastersの調査はどうなんです?」
 ラルトが本題に話を戻す。

 ガウディオは掌上にホログラムの資料を映し出すと、説明を始めた。
人攫ひとさらいが実際にあるのは間違いないんだが……バリスタ星王主動という確固たる手がかりが掴めていない」
 次々に資料を表示させるがガウディオの表情は依然曇ったままだ。
「人攫いは人身売買や臓器販売に繋がるから早期に解決をしたいんだが……」

 するとバリスがラルトに尋ねた。
「政府軍は星王の人攫いをどう考えてるんだろうな。さすがに噂が耳に入ってないわけないだろ」

「いや、どうだろうな。オール大元帥なら人攫いなんか早期解決事項に入れるはずだが……」

 バリスはロレンツの方に向き直る。
「なにか今の森星王に手を出せない理由があるのか? さっきの支援の関係とか」

「それは分かりません」
 ロレンツは首を振る。

「まぁ、我々は着実に調査を進めて事実を解明するだけだ。この人攫い調査には我々Mastersも力を入れているからね。準備は万全だよ」
 カレセフューレは自信に満ちた様子でそう言い切った。

「そして、まず対処しなければならないのがこれだ」
 カレセフューレはホログラムで地図を表示させる。地図上には赤い×印が点在していた。

「赤い×印は、星王が潰した反星王勢力の拠点だ」
 彼の説明をうけてから再度確認すると、かなりの数の拠点が潰されていることがわかる。

「星王は我々反星王派が勢力を拡大させていることに焦ったのか、各拠点を潰して回っているのです」
 ロレンツの補足にカレセフューレは頷いている。

「そして今日、星王はここを潰しに来る」

 カレセフューレの言葉にプラズマは“すげぇ”と声をあげた。
「そんなこと分かんのか!?」

「星王の近くにも、反星王勢力が紛れているからね」

 ガウディオが地図上の青い◯印を指差した。
「これがここだ」
 そして次に彼は◯印から北西にある森を示した。
「星王の王宮からここに来るには、森を通らなければならない」
 森は拠点から北西に伸び、さらにその北西側には中心街区が位置している。そしてその中心には“王宮”と表示された巨大な建物があった。
 中心街区とプラズマ達のいる拠点を直線で結ぶと、森の上を通ることになる。さらに森の北東側、南西側には村落が点在しているため、不意打ちをするには森を通るのが定石だろう。

 カレセフューレ達もそれを読んでいたのだ。
「奴は必ずこの森を通る。この森で奴を仕留める」

 
「反星王勢力が虐殺されようとしているのですから、星王といえども少々手荒ですが犠牲が出る前に……」
 ロレンツは俯くと拳を強く握った。カレセフューレは彼の言葉に首を縦に振っている。

「君たちにも手伝ってほしいんだが、いいかね?」
 カレセフューレはプラズマに問う。

「人が殺されるっていうなら、助けるしかないだろ」
 プラズマは何でも屋一行に言い聞かせるようにそう答えた。

 バリスは呆れたような頭を掻き、ラルトはただ頷いている。
 涙流華はというと、謁見での星王の態度が気に入らなかったからかヤル気満々だった。

「君たちには森の出口、拠点の近くで待機してもらう」
 カレセフューレは地図を指差した。

「そんな最後の方でいいのか?」

「大丈夫だ。森には既にしている」



~中心街区南東・森~

 待機から約5時間。ホログラムのライブ映像を見るプラズマ達とカレセフューレ達。

 すると森に一つの大きな影が現れた。
「来たっ!」

 てっきり大部隊を引き連れてくると思っていたプラズマは、星王一人に肩透かしを喰らったように驚いている。

「一人!?」

 カレセフューレは驚くプラズマに説明した。
「わざわざ部隊を使わなくとも、星王の能力なら一人で襲撃できる。それに大部隊でなく一人なら目立ちにくい。襲撃にはもってこいだ」

「それに彼の能力は味方が大勢いると使いにくいからね」

 そしてバリスタ星王が森に入って100メートル以上経ったころだった。カレセフューレが無線ホログラムに指示を飛ばす。
「目標、星王ドルニク・バリスタ………撃て!」


 パァン

 命令の直後、乾いた銃声が森に響き渡る。

 ライブ映像ではバリスタ星王の左肩が大きく後ろに吹き飛ばされている。紛れもない命中だった。

「すげぇ!」

「天才狙撃手だからね。パレードの時は約5キロメートル先の山中から狙撃スナイプしていたんだ。」

「5km先!?」
 プラズマは口をあんぐりさせている。
 そしてその横のバリスも驚きからか苦笑した。
「そんな遠くから星王の手を狙うなんてえぐい狙撃能力だな」

「なんと正確な狙撃……5キロメートル離れたところからとは……」
 涙流華も同じく驚いている。

「でもルルカ!5キロってことは……」
 プラズマとルルカは緊張感なくスナイプの腕で盛り上がっていた。

 盛り上がる二人を傍目にカレセフューレはバリスとラルトに対して、バリスタ星王の踏み込んだ森についてこう形容した。
「ここから先はだ」

「巣?」

「そう、政府軍から借りたスナイパー【鉄蜘蛛てつぐも】のね」


 To be continued.....







【EXTRA STORY】


 ~銀河某所~


「えっくちっ!……っくちっ……!」

「……えっ……えっ……」

「えっくちっっ!!」

「あ゛~、くしゃみ3回ってこたぁ、誰かがこのアタシのいい噂をしてやがんなぁ?」

「ただのくしゃみ3回。思い過ごしだ」

「甘いなレオン、アタシは結構人気あるんだよ」

「一億歩譲って男が噂してたとしても、どうせ身内だろ」


「てめぇ……」

「一億歩も……譲んなぁ!!」

 バコォッ

「ぐほっ……みぞお……!」


 To be continued to Next EXTRA STORY.....?
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