初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺

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第12章 想いを伝える為に編

第73話 初恋の人の運命の日

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 あくる日から俺達は二、三名一組のローテーションで石田のお見舞いに行っている。

 今日は俺の当番で妹の奏と高山の三名でお見舞いに来ている。

 石田は毎回、笑顔で迎えてくれるが日に日に顔色は悪くなっていた。
 それに『抗がん剤治療』をしているため髪の毛も抜け、今はニット帽をかぶっている。

 そんな石田を見るととても辛くなるが笑顔で迎えてくれている石田の為にも俺達は更に笑顔で石田に接していた。

「しかし奏ちゃん、しばらく見ないうちに身長伸びたんじゃない? 五十鈴君とあまり変わらないわよ」

「オイオイ、そんな事は無いぞ!! 俺とはまだ身長差が結構あるぞ!!」

「やっぱりバレーボールのお陰ですよね? 私、今年中にお兄ちゃんを抜かす事を目標に頑張りますね!!」

「おい奏、そんな事を目標にするんじゃないよ!!」

「 「 「ハッハッハッハ!!」 」 」

 俺以外は大笑いをしている。
 そしてそんな中、高山が奏に話かける。

「でも奏ちゃんは中学生になってからとても大人っぽくなったし、それに隆には似ずに美人さんになったよなぁ……」

「えっ? そ、そんなことないですよ高山さん!! 私をからかわないでくださいよ!?」

 奏が顔を真っ赤にしている。

「えーっ!? 俺は別にからかってなんていないんだけどなぁ……本当の事を言ってるだけなんだけど……」

 俺は奏と高山の何とも言えないやり取りに反応してしまい口を挟んだ。

「おいケンチ!! お前とうちの妹とは絶対に結婚させないからなっ!!」

「はーっ!? だっ、誰もそんな事、言ってないじゃん!!」

 高山は顔を少し赤くしながら俺に反論してくる。

 そして奏も顔を赤くしながら頬を膨らませ俺に怒っていた。

「お兄ちゃん、何を変なこと言ってるのよ!? なんで今の会話で結婚になるのよ!? 信じられないわ!!」

「そうよ、五十鈴君。少し先走り過ぎじゃないの? でも私は高山君と奏ちゃんはお似合いだと思うけど……」

「だから石田先輩まで私の事をからかわないでください!!」

 奏は更に赤い顔をし、石田に抱き着きながら言っている。

 その時の奏の頭を撫でながら笑っている石田がとても印象的だった。

 こんなバカな会話をいつまでもしていたい……

 こんな雰囲気をいつまでも守りたい……

 俺は高山に小声で言う。

「ケンチ……もしお前がこれから何があっても一生、奥さんの事を大切にするって誓うなら別に奏と結婚しても俺は許す事にする……」

「はぁあ!? またその話かよ、隆!! っていうか俺が奏ちゃんと結婚なんてあり得ないから!! それに俺は絶対に隆の事を『お兄さん』なんて呼びたくない!!」

「 「ハッハッハッハ」 」

 俺と石田は爆笑していたが奏は苦笑いをしながらも少しがっかりした表情に見えたのは俺だけだろうか……

 そんな楽しい時間はあっという間に過ぎて行く。

「そろそろ帰る時間だな?」

「そうだな。それじゃあ帰るとしようか……奏、帰るぞ……」

「石田先輩、また来ますから!!」

「うん、待ってるね……」

 石田はベッドの上から笑顔で手を振り見送ってくれた。


 

 そして、日は巡り

 遂にその日が来た。

 

 【八月十二日】

 
 運命の日……

 俺は『前の世界』同様に部活の練習を終え、帰宅する。

 『前の世界』では俺の帰宅早々に奏がリビングから慌てて飛び出してきたが、今回はそうならないであろうと思っている。いや、そう思いたい。

 
 『前の世界』での石田は『この世界』よりも病気の進行が遅かったんだと思う。
 だから八月に白血病の専門医がいる東京に行き、検査をしたはずなんだ。
 そしてその帰りに……

 でも今回は、俺にしてみれば複雑だが病気の進行が早く、東京に行く前に地元の病院に入院する事になったのではないかと俺は思っている。

 だから今回、余程の事が無い限り、今更東京に行くとは思えない。
 まして今の石田の状態では東京まで行くのは体力的にもかなり難しいとも思う。

 そんな気持ちで俺は自宅のドアを開け、玄関で靴を脱ごうとした矢先に奏がリビングから飛び出して来た。

「おっ、お兄ちゃん、大変!!」

「ん? どうした?」

 この時の俺は心に余裕があったので奏には普通に問いかけた。
 だが、この後、沢山の人が亡くなる事を知っていた俺は何とも言えない思いでもあったんだが……

「ひっ、飛行機が墜落したみたいなの!! それも何百人も乗っている飛行機が!!」

「えっ? そ、そうなんだ……それは大変な事になったよな……」

 心が苦しい……

 前からこの日に多くの人が亡くなる事を知っていた俺は……
 それなのに何も出来なかった俺は……
 やはり申し訳無いという思いと罪悪感が湧いてきてしまう。

 そんな俺の気持ちが更に増してしまう様な事を奏は口にした。

「そっ、それで……その飛行機の搭乗者の中に『ヒロミ イシダ』っていう名前があったのよ!! もしかして石田先輩だったらどうしようかと思って!! お..、お兄ちゃん、どうしよう!?」

 えっ? う、嘘だろ……?

「奏……バ……バカな事を言うなよ。あの石田が……あんな状態の石田が飛行機に乗っているはずが無いじゃないか。それに同姓同名の可能性だってあるしな……」

 俺は奏にそう言いながらも身体中が震えていた。
 まさか『前の世界』と同じセリフを言う事になるなんて……

「とっ、とりあえず今から兄ちゃん、石田の病院に行って来るから!!」

「えーっ!? わっ、私も行く!!」

「だっ、ダメだ!! 奏は家にいてくれ!! もしかしたら色々な人から連絡があるかもしれないから、奏には情報収集を頼みたいんだ!! お願いできるか!?」

「う、うん、分かった……でも石田先輩が無事な事が分かったら直ぐに電話してね!?」

「おお、分かったよ!!」


 俺は慌てて財布だけを持ち、必死に自転車をこぎ駅に向かう。

 今までなら自宅から石田が入院している病院までの道のりはさほど遠いとは思わなかったが、今日だけはとても長い道のりに感じてしまう。

 電車も『特急』が無く『各駅停車』なので今まで感じた事の無い苛立ちがあった。

 そしてようやく俺は病院に到着し、駆け足で石田の病室に向かう。

 石田、お願いだ!!
 お願いだから病室にいてくれっ!!

 お願いだから死なないでくれっ!!

 ガラガラッ!!

「石田―っ!!」


 そこにはベッドから起き上がり座っている石田がいた。

 俺は石田の姿を見た途端に身体の力が抜け、膝間ついてしまう。

「よっ、良かった……無事にいてくれて良かった……」

 そんな俺の姿を見た石田が笑顔で衝撃的な言葉を発した。

「五十鈴君……いえ、五十鈴隆さん……私、まだ生きてるよ。今日が自分の『命日』にならなくて済んだよ。なんとか自分の『未来』を変える事が出来たよ……」



――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。

急いで病院に向かった隆
しかし病室には石田がいた。

そして石田の口から衝撃的な言葉が!?

次回もどうぞお楽しみに!!
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