初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺

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第17章 誘惑と嫉妬編

第116話 初恋の人を想い続けるあなたへ

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 私は小学生の頃から『同い年』の男子には興味が無かった。
 どちらかといえば頼りがいのある『年上』の人にしか興味が無かった。

 でも高校一年の『ホームルーム合宿』の際の飯盒炊飯で火傷をした時、『同い年』の男の子が直ぐに駆け寄ってくれて応急処置をしてくれた。

 私はその『大人』の様な迅速な対応、そして彼の優しい言葉に胸がキュンとしてしまった。

 そう、私は生まれて初めて『同い年』の男の子に恋をした。

 彼は隣のクラス……
 そのクラスには私の親友の大塚さんや北川さんがいる。

 私は意を決して大塚さんに『好きになってしまった人』の事を相談した。

 彼女の反応はどこか複雑だった。
 後で考えてみれば大塚さんも彼のことが好きだったのだろう……

 でも大塚さんは私に協力してくれた。

 先日、誘われていたアルバイトを彼も誘ってみようという事になった。

 引き受けてくれるかどうか、とても不安だったけど、彼は二つ返事でOKしてくれたのだ。私は天にも昇るくらいに嬉しかった。

 これで彼と共通のものができ、休みの日も彼の素敵な笑顔が見れるのだから……


 ただ、大塚さんからはとても気になる事を聞かされていた。
 彼は小さい頃から『幼稚園の先生』が大好きでおそらく今も好きだということ……
 そして現在も定期的に会っているということ……

 逆に私の恋心に火が付いた。
 そんなおばさんに私が負けるはずがない。
 絶対に私のことを振り向かせてみせる。という強い思いを初めて持った。


 実はバイトを始めて間もない頃に私は三田さんに告白されている。

 元々、『年上好き』の私だから本来なら喜んで告白を受け入れていたはずだけど、私は断った。勿論、彼のことが大好きだったから……

 三田さんにも名前は教えていないけど『好きな人』がいるという事は伝えてお断りをしている。

 しかし、しばらくすると三田さんは私の好きな人が彼だということを見抜いてしまう。

 三田さんに邪魔をされるのかと不安だったけど、意外とその逆だった。
 私と彼が結ばれる様に協力してくれるというのだ。

 三田さんは彼のことを弟の様に気に入っているらしく、彼なら私と結ばれても心の底から祝福できると言ってくれた。

 最初は簡単な協力だった。

 極力、バイトの休憩時間を彼と一緒にしてくれたり……勿論、三田さんにそんな事ができる権限は無いはずだから根津さんにうまいこと言ってくれていたのだろうと思う。

 お陰で私は彼と話をする時間が増えた。
 話をすればする程、私は彼に惹かれていった。

 彼もまた、私に対してどことなく『好意』があるのでは? と思える様な態度や言動が見受けられた。でも私はそれを簡単に鵜呑みにしてはいけないと自分の心を押さえていた。

 あるバイトの日、私は彼が昔から『大好きな幼稚園の先生』と出会ってしまった。

 そして彼を挟み三人でベンチに座り話をすることに……

 正直、何故彼が『彼女』のことを大好きなのか少し話しをただけで理解した。
 美人で知的で、品もあり、そしてとても優しい女性……

 私が太刀打ちできる様な所が全く無いと思い知らされた。
 
 ただ私は彼女と話をしているうちにいつの間にか『彼女の様になりたい』という思いが湧いてきてしまった。そして今まで将来の事なんて一度も考えた事の無かった私に、ある『目標』ができる……

 将来、幼稚園の先生になりたい……彼女の様な先生になりたいと……

 その為に私は大嫌いな勉強を頑張る決意をした。
 でも決意だけで成績が上がれば苦労はしない……

 しかし『文化祭』の時に彼女と再会してその事を相談してみると予想していなかった提案をしてくれた。

 彼女の部屋で勉強を教えてもらうことになったのだ。

 毎週、土曜日は彼も加わり三人での『勉強会』……
 彼女の教え方はとても分かりやすく、私は次第に勉強が好きになっていく。

 そして彼や彼女との会話もとても楽しくて仕方が無い。
 私は毎回、いつまでもこのままでいたいと思いながら帰っていた。

 ただ一つ気になっていたのは、時折、私に対する『好意』と彼女に対する『愛情』に挟まれて苦しんでいる様に見えてしまう彼がいたことだ。

 だから私は勝負に出る事にしたの。

 ある日、三田さんが『俺がマーコに告白することにして彼の嫉妬心を掻き立ててみないか?』という提案に乗ったのだ。

 私は彼が好き……彼の笑顔が好き……
 辛そうな顔や悩んでいる顔なんて見たくない……

 私だけを好きになってくれたら、そんなに苦しむことは無いじゃない!?
 そう私は思ったのだ。

 でも私の願っていた結果にはならなかった。
 彼は三田さんが私に告白したり、付き合うことに反対をしなかった……

 そうなることはある程度予想していたけど、予想通りになるのはやはり辛くて悲しい……私は一晩中泣いた……

 でも次の日、彼は私に恐る恐る『昨日、三田さん、マーコに何か言ってきたかい?』と、とても心配そうな表情で聞いてくれた時はとても嬉しかったなぁ……

 少しは私のことも気にかけてくれているのかなぁ……? 少しはヤキモチを妬いてくれたのかなぁ……と、私の心が少しだけ救われた。


 そんな中、私は彼がもっと苦しんでしまうのではないかと思える話を耳にしてしまう。先日の木曜日……私が彼女の部屋で勉強をしていると、彼女のお父さんが呼びに来た。

 そして彼女はリビングに行き、お父さんと神妙な話をしている。
 幸か不幸か彼女の部屋は一階にある為、リビングとは近い。
 私はお手洗いに行こうとしたが、リビングでの親子の会話を盗み聞きしてしまった。

 そう、私は彼女のお見合い話を聞いてしまったのだ。
 案の定、彼もどこからかお見合いの話を聞いたのだろう。

 昨日の彼はいつも以上に落ち着きが無かった。
 私は彼の気持ちが痛い程分かる。

 そしてあんな彼の悩み、苦しむ顔なんて見たくない!!
 大好きな彼には笑顔でいて欲しい……

 だから私は……彼と彼女を二人きりに……いえ、私は彼から逃げる様に彼女の家を飛び出したのだ。そして私は決意した。

 その決意を協力者である三田さんに電話で伝えた。

 そして、昨夜、私は三田さんと会い、私の決意について公園のベンチに座り朝方まで話し合った。

「マーコ……本当にいいのかい? せっかく今まで頑張ってきたのにさ……わざわざ彼に嫌われる様なことをしなくても……」

「それでいいの……これ以上、私は彼の悩んだ顔なんて見たくないし、彼の悩みの原因にもなりたくない!! だから……」

「だから、俺にマーコと付き合っているフリをしろと……? そして今日は二人してバイトも無断欠勤して、あえて俺達が一緒にいるのではと思わせるように見せかけるってかぁ……はぁ……結構キツイよなぁ……俺も根津さん達に迷惑かけちゃうしさ……」

「嫌なら、無理しなくてもいいけど……」

「ハハハ、バカ言うな。俺も男だからね。マーコに協力するって言ったからには最後まで協力はさせてもらうよ。それじゃあ、お互い一度家に帰ってからまた夕方にここで会おう。俺、もう眠くて眠くて……」

「フフフ……それじゃ、もう朝だけど、とりあえずおやすみなさい。それと三田さんは三時に事務所に電話を入れてね? 私は三十分遅れで電話するから!! さすがに連絡をしないと皆さん心配されると思うから!!」

「はーい、了解~……ふぁぁわああああ……」



 夕方になり私と三田さんは若い人で賑わう街にいる。
 私は一つの可能性にかけてみた。

 おそらく彼はバイトが終わっての帰り道、自転車でこの街中の大通りを通るはず。

 そして彼が体調不良でバイトを休んでいるはずの私と三田さんが手を繋ぎながらデートを楽しんでいるところを目撃してしまったら……

「マーコ、大丈夫かい? 俺はマーコと手を繋げて嬉しいけどさ……でもマーコの手は震えているし、目からは涙がめちゃくちゃ流れているし、なんか俺が泣かせているみたいでとっても辛いんだけど……」

「ご、ゴメンね……三田さん……もう少しだから……もう少しの辛抱だから……」


 五十鈴君……もう少しだから……もう少しの辛抱だから……

 もうすぐアナタは何も迷うことなく、何も苦しむことなく、一人の女性を思い続けることができるから……

 ゴメンね、五十鈴君……

 そしてありがとう、隆君……



――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。

今回は『佐々木真由子』視点でおおくりしました。
佐々木の本心を知らない隆……
ただ目の前には手を繋いでいる佐々木と三田さん……
隆は一体、どう思うのか?

そして『つねちゃん』のお見合いの行方は?

どうぞ次回もお楽しみに。
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