逢魔ヶ村の複合施設 現代では喫茶店時には異世界を駆け巡り、異世界現代観光もする!

夜刀神一輝

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招き猫、開店でございます。

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 ここは喫茶店 招き猫 見た目は普通の喫茶店。 
 
 ただここの喫茶店のドアにはスイッチがついていて、異世界と行き来ができるようになっているのです。 
 
 現代の常連客さんはもちろん普通のお客様も来店するのですが、その中には異世界人はもちろんエルフに獣人、ドワーフはもちろん魔物みたいな見た目のお客様から名のあるドラゴンの王様、果は魔界の魔王様までが当たり前の様に来店します。 
 
 初回のお客様は異様な格好に驚かれるお客様もおりますが、常連客のみんなは慣れたもので、今そっちの世界の情勢とかどうなの?なんて会話も飛び出る程、当たり前の様に喫茶店での一時を楽しんで、そして帰られていきます。 
 
 申し遅れました。 
 
 僕はそんな招き猫のマスター、八瀬憧治(やせ どうじ)といいます。 
 
 父が人間で母が鬼なんていわれていますが、本当かどうかはわかりません。 
 
 そして看板娘の猫柳ミミ、子供の頃から通ってくれていて、この店が大好きなのでお手伝いをしてもらっている中学生の女の子。 
 
 モーニングはもちろん、ランチもあれば、ごくたまにディナーをうちで食べたいと言われる異世界のお客様もいます。 
 
 そして招き猫の一番の特徴は現代の食材と異世界の食材を同時に仕入れる事、畑でとれたての野菜を頂く事もあれば、異世界で狩った魔物の肉や野菜や果物などもいただく事も多く、お客様には頭があがりません、ありがたい限りです。 
 
 僕の料理の腕はと言われると、そこまで大層な腕ではございません。 
 
 メニューがわからない時なんかは、ネットのレシピをあてにする程度の腕前でございます。 
 
 それでも常連さんのお客さんが、ここの料理などを気に入ってくれるのは、偏に異世界の食材の美味しさや異世界にはないこちら側の世界の材料なが美味しくすぐれているからなのでしょう。 
 
 そんな普通の喫茶店、招き猫の不思議なお客様達の一幕を皆様に少しだけ語りましょう。 
 
 喫茶店 招き猫 開店でございます。 
 
 「おはようございます!マスター!モーニング一つね!」 
 
 「いらっしゃい、コーヒーは?」 
 
 「同時で!」 
 
 朝はモーニングの時間、日によってモーニングのメニューは変わる、おまかせメニューだったりもする。 
 
 でも基本はパンにサラダに果物と卵、そしてコーヒーだったりするのだが、今日はごってり卵サンドにサラダ、ゆで卵とコーヒー、これが本日のモーニング。 
 
 分厚いふわふわのパンに、じゅんわりと多めにバターを塗る、そこに卵と自家製マヨをあえた具を、これでもかと乗せて挟めば、招き猫特製の卵サンドの完成。 
 
 サラダはレタスを敷き、大根、ニンジン、キュウリの細切りの軽快で食べやすいサラダを、塩とオリーブオイルで、果物は異世界産の太陽の実、むくと光り輝いてほんのり温もりを感じる糖度も程よい、さっぱりとした実に夜空糖と言う、異世界の砂糖の一種をキャラメリゼしてかけて出来上がり。 
 
 濃い青色が果物の上に広がり、星空の様な蜃気楼を見せる。 
 
 「お待ちどうさま」 
 
 「マスター、ドアがたがたいってる。またどっかのダンジョンと繋がったとちがうんか?」 
 
 「う~ん、どうなんだろうね?まぁ悪意や殺意ある者は入ってこれないから、犯罪者とかも危ない人はまず近づけないはずだから大丈夫だとはおもうけど」 
 
 そんな事を言ってドアを見ていると、ドアは勢いよく開かれ、人影が転がってくる。 
 
 「ほんれ、みろ、多分ダンジョンのどっかのセーフゾーンとでも繋がったんだべ」 
 
 転がり入ってきた人物を見ると、獣耳の顔立ちは人間、ハーフの獣人さんかな?ハァハァと息を切らして、女性だな、必死だったみたいだ。 
 
 「何!?ここ!?魔物は!?」 
 
 「ここに入ってこれたと言う事は、逃げ切れたって事でいいかと思いますよ。いらっしゃいませ、喫茶店招き猫へようこそ、マスターの八瀬憧治です」 
 
 「きっさてん?逃げ切れた?はぁっはぁ何ここ?幻覚?」 
 
 「う~ん、まぁここはいってしまえば、異世界喫茶店、異世界の飲食店ですね。飯所と言えばわかります?そこに運よく入ってきたんですよ。あの・・・・申し訳ないのですが、奥にお湯に入れる場所があるので、ひとまず、汚れを落として来た方がいいかと」 
 
 たまにダンジョン奥深くと繋がる事もあるので、街の人に頼んで、お風呂をつけてもらったのだが、このお風呂がまずでかい、調子に乗って作ったものだから男湯と女湯にわかれている上に、サウナや打たせ湯なんかもついている。 
 
 ここは一応街の施設と言う事で、招き猫には関係ない、運営も街の人達でやってる。 
 
 建物的には繋がっているので、異世界からの汚れたお客様でもすぐに案内できるのがいい所と、招き猫従業員はただで入れるとこがいい。 
 
 銭湯側の従業員に押し付けて、数十分、綺麗な格好になって戻ってきた。 
 
 「なにがなんだかわからないけど、助かったよ。お湯も気持ちよかった」 
 
 「今丁度朝なので、モーニング出せますけど食べますか?」 
 
 「飯か!?いいのか!?」 
 
 「食べながらで構わないので、詳しい事情をきかせてください」 
 
 冒険者さんの名前はミア、狼の獣人のハーフで近接、斥候を役割にPTに入っているBランク冒険者、ダンジョン中層のイレギュラーモンスターにあたり、PTはちりじりに、モンスタートレインを引き起こしながらも扉を見つけて、そこに転がり込んでみたらここだったと。 
 
 「ってな感じでさ!?死ぬかと思ったよ!ううううんむ!ほれ!ほのはまご」 
 
 「飲み込んでから喋ってください」 
 
 「うんむんぐ!・・・ぷはぁあああ!これこの卵サンド滅茶苦茶美味いな!初めて食った!まずパンがやわらけぇ!びっくりするほどやわらけぇ!そんでもってなんか塗ってある!濃厚でじゅんわりと口に広がるこれ!んでもって卵と白身と黄身とタレ!めちゃうまだよ!マスター!野菜もこうして食べると美味いもんだ!」 
 
 口いっぱいに頬張って、子供の様に目を輝かせてはもぐもぐと食べるミア。 
 
 「この店!地上にも店はあるのかい?」 
 
 「ええ、一度ご縁のあった方は街でも店を発見できますし、他のダンジョンや他国、果は未踏破の島で見つけたから、一休みしにきたなんて方もいるくらいですよ」 
 
 「へぇ~不思議なもんだなぁ、って私帰るときやっぱりダンジョンの奥から帰らなきゃいけないのかな!?他の奴らはみんな同じ方向に逃げたから切り抜けられるにしても、あたし一人だと中層はかなり危ないんだ」 
 
 「大丈夫ですよ。地上の店舗のドアまでお送りしますから、街のど真ん中に帰れますよ」 
 
 「まじかよ!?よかったああああああああ!!招き猫様様だよ!!そうだ!お代と言っちゃなんだけど、これもらってくれ!」 
 
 そういってミアが出したのは、拳だいの黄金の塊だった。 
 
 「中層にもぐっていて、この程度のお礼しかできないのは申し訳ないんだが」 
 
 「十分ですよ。むしろ御釣りがでるくらい」 
 
 「おつり!?もらえないよ!こんな程度のはした金、中層だったらもっと高価なもんごろごろもってなきゃおかしい所なんだけどさ、逃げるときに軽くしようと捨てて走ったから・・・・・へへっ・・・・」 
 
 どこか恥ずかしそうに笑うミア。 
 
 「ありがとうございます。こちらの世界ではこれだけでも貰いすぎなんですよ。ささやかながら、ケーキと紅茶のサービスです」 
 
 「ケーキ!?こんなきれいな見た目の菓子なんか、あんのか!?貴族の食う店でも見た事ないくらい綺麗だ・・・・・」 
 
 夜空糖とチョコレートをまぜて、表面に星屑の粉をまぶして上の面に天の川を表現したチョコレートケーキだ。 
 
 美しいダークブルーに輝く星の川、インスタ映え間違いなしのケーキ。 
 
 「うわぁ~しっとりした生地に滑らかなクリームみたいなカカオの味、カカオって苦くて薬の材料だとおもってたのに!すっごい美味い!滑らかに舌の上に味が変わっていく!一度二度、三度!そんでもってさらさらと消えていく・・・・・」 
 
 ケーキを食べるとミアは疲れが出たのか、眠そうな顔をしていた。 
 
 「安心したら眠くなってきた。宿に戻って寝る事にするよ。マスター!またくるね!」 
 
 「ありがとうございました」 
 
 ここにはああいった、ダンジョンで切羽詰まったお客さんが来ることが結構あるので、簡易的に泊まれる部屋もあるのだが、現実世界の宿にお金を払っているならそっちに帰った方がいいだろう。 
 
 「相変わらずあきないねぇ、異世界のお客様ってのは」 
 
 「そうですね、色んな人がいるものです」 
 
 時刻は10時半、まだまだ招き猫の一日は始まったばかりだが、本日はひとます、ここいらでお開きにさせていただきます。
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