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9話 パーティー(3)
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「仕方ない。奇特な人がいると信じて、別の角度で可能性を探ってみるか」
はいそうですか、と諦めるわけがない。そこで面接を落とされた俺は再度カウンターに向かい、今度は『パーティー結成』の手続きを始める。
俺がリーダーならパーティーの自己紹介欄で本人だと伝えらえて、それでもいいと感じる人がいてくれたなら申請してくれる。他のパーティーを当たっても結果は同じなので、逆に来る人を待つようにするのだ。
「パーティーの結成、でございますね。パーティー名はどうされますか?」
「あそっか、名前は必須ですよね。名前は、ええと…………」
『不幸は来ませんよ』、はとてつもなく胡散臭い。『100階層を目指しています』、は紹介スペースに書く内容。
んー……。んー……………。
全然浮かばないから、次に思い付いた言葉にしよう。次に思い付いたのは……。
「エスポワール。でお願いします」
エスポワールは『希望』という意味で、パーティー名にするにはぴったりの単語だと思った。ちなみになぜこれを思い付いたのかと言うと、通行人の会話が聞こえてきたから。
『ね。今夜は、エスポワールでご飯にしましょ』
『賛成っ。今日の日替わり定食はなんだったっけ~?』
後ろを通っている冒険者が料理店の名前を出したため、店名がパーティー名になりました。
「エスポワール、ですね。では次に、パーティーの紹介文はどうなさいますか?」
「『毎日何度もダンジョンに潜り、現在はDランクへの昇格を目指しています。報酬は平等に山分けで、ノルマなども一切ございません。出入り自由ですので、どうぞお気軽に声をおかけください』。以上でお願いします」
「畏まりました。パーティーの参加条件は、いかがなさいますか?」
「条件は、『罪人以外は、本当に誰でもOK』。ただその下に、『ティル・ハステスと行動しても構わない方』と注釈をお願いします」
必要事項にきちんと目を通さない冒険者が、意外といる。ぬか喜びをしてしまったら辛いので、ここは何気に重要なのだ。
「承知致しました。最後に、確認にいらっしゃる時間をお教えください」
「そうですね……。午前8時~午前9時の間、でお願いします」
混雑などの防止のため、確認(面接)は1パーティー1日1時間となっている。冒険者は多くが昼~夜にかけてダンジョンに潜るため、利用しやすいこの時間帯にしておいた。
「承知致しました。ハステスさん、少々お待ちくださいね」
スタッフさんが2つの書類にギルドの判を捺し、片方を募集用ブックに挟み、もう片方は新着ボード――設立して24時間のみ利用できる、大勢の目につきやすい掲示板に貼って完了。これでエスポワールはギルド公認のパーティーとして承認され、募集を行えるようになった。
「Dランクを目指すのはパーティーが必要ですから、きっとお声がかかると思いますよ。分かってくれる人は分かってくれるはずですし、D昇格に期間はありません。気長に待ちましょう」
「どうも、ありがとうございます。運が良くても一か月はかかるものと思って、力を蓄えながら待ってますよ」
こればっかりは、自分の力じゃどうにもならないもんな。時が来た時すぐ動けるように、ダンジョンが再開したらお金を貯めよう。
「スタッフさん、お世話になりました。それではまたうかがいま――」
「ねえ。アナタが、ティル・ハステスよね?」
帰ろとしていたら、背後から声がかけられた。
声の主は、肩に熊のぬいぐるみを載せたツリ目の女の子。黒を基調とした、ヒラヒラとしたもの――確か西の地方で誕生したゴシックロリータというジャンルの服を着た、銀髪をツインテールにした女の子が立っていた。
「はい、そうですよ。どうか、しましたか?」
一体何を言われるのだろう。不幸がうつりそうだから提示するな、とか言われるのか?
そんなことがよぎり、不安げに返事をする。そうしたら彼女は、こちらを真っすぐ見つめ――
「さっき貼られた紙を見て、声をかけたの。新設パーティー・エスポワールに、私(わたし)を入れてちょうだい」
――予想とは、真逆の台詞を発したのだった。
はいそうですか、と諦めるわけがない。そこで面接を落とされた俺は再度カウンターに向かい、今度は『パーティー結成』の手続きを始める。
俺がリーダーならパーティーの自己紹介欄で本人だと伝えらえて、それでもいいと感じる人がいてくれたなら申請してくれる。他のパーティーを当たっても結果は同じなので、逆に来る人を待つようにするのだ。
「パーティーの結成、でございますね。パーティー名はどうされますか?」
「あそっか、名前は必須ですよね。名前は、ええと…………」
『不幸は来ませんよ』、はとてつもなく胡散臭い。『100階層を目指しています』、は紹介スペースに書く内容。
んー……。んー……………。
全然浮かばないから、次に思い付いた言葉にしよう。次に思い付いたのは……。
「エスポワール。でお願いします」
エスポワールは『希望』という意味で、パーティー名にするにはぴったりの単語だと思った。ちなみになぜこれを思い付いたのかと言うと、通行人の会話が聞こえてきたから。
『ね。今夜は、エスポワールでご飯にしましょ』
『賛成っ。今日の日替わり定食はなんだったっけ~?』
後ろを通っている冒険者が料理店の名前を出したため、店名がパーティー名になりました。
「エスポワール、ですね。では次に、パーティーの紹介文はどうなさいますか?」
「『毎日何度もダンジョンに潜り、現在はDランクへの昇格を目指しています。報酬は平等に山分けで、ノルマなども一切ございません。出入り自由ですので、どうぞお気軽に声をおかけください』。以上でお願いします」
「畏まりました。パーティーの参加条件は、いかがなさいますか?」
「条件は、『罪人以外は、本当に誰でもOK』。ただその下に、『ティル・ハステスと行動しても構わない方』と注釈をお願いします」
必要事項にきちんと目を通さない冒険者が、意外といる。ぬか喜びをしてしまったら辛いので、ここは何気に重要なのだ。
「承知致しました。最後に、確認にいらっしゃる時間をお教えください」
「そうですね……。午前8時~午前9時の間、でお願いします」
混雑などの防止のため、確認(面接)は1パーティー1日1時間となっている。冒険者は多くが昼~夜にかけてダンジョンに潜るため、利用しやすいこの時間帯にしておいた。
「承知致しました。ハステスさん、少々お待ちくださいね」
スタッフさんが2つの書類にギルドの判を捺し、片方を募集用ブックに挟み、もう片方は新着ボード――設立して24時間のみ利用できる、大勢の目につきやすい掲示板に貼って完了。これでエスポワールはギルド公認のパーティーとして承認され、募集を行えるようになった。
「Dランクを目指すのはパーティーが必要ですから、きっとお声がかかると思いますよ。分かってくれる人は分かってくれるはずですし、D昇格に期間はありません。気長に待ちましょう」
「どうも、ありがとうございます。運が良くても一か月はかかるものと思って、力を蓄えながら待ってますよ」
こればっかりは、自分の力じゃどうにもならないもんな。時が来た時すぐ動けるように、ダンジョンが再開したらお金を貯めよう。
「スタッフさん、お世話になりました。それではまたうかがいま――」
「ねえ。アナタが、ティル・ハステスよね?」
帰ろとしていたら、背後から声がかけられた。
声の主は、肩に熊のぬいぐるみを載せたツリ目の女の子。黒を基調とした、ヒラヒラとしたもの――確か西の地方で誕生したゴシックロリータというジャンルの服を着た、銀髪をツインテールにした女の子が立っていた。
「はい、そうですよ。どうか、しましたか?」
一体何を言われるのだろう。不幸がうつりそうだから提示するな、とか言われるのか?
そんなことがよぎり、不安げに返事をする。そうしたら彼女は、こちらを真っすぐ見つめ――
「さっき貼られた紙を見て、声をかけたの。新設パーティー・エスポワールに、私(わたし)を入れてちょうだい」
――予想とは、真逆の台詞を発したのだった。
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