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一章 〜異世界と旅立ち〜
16話 『魔力に固有魔法』
しおりを挟む「それにしても、魔法を使えないってのは珍しいね。現在の魔法普及率って確か95%はいってたと思うんだけど……」
「僕は魔法を最近知ったから……ちょうど教えてくれる人をさがしてたんだ」
「まさか魔法を知らなかったのかい?」
「ハハ、恥ずかしながら」
「じゃあまずは、魔法の適正を調べないとだね。魔力自体は感じるから、属性を調べるよ」
「属性?」
属性があるのか? ってそりゃあるか。
火に水に風、土に光に闇、こんなところかな?
あ、もしかして適正がないと使えないとか……?
なんだか僕の異世界ライフの良し悪しを決める重要なものになりそうだ。僕も覚悟を決めないと!
彼女は更に話を続けた。
「うん、魔法には属性があるんだ。その属性ってのは、
『火、水、風、土 、光、闇、聖、魔』
この8 つ。適正を調べるってのは、得意不得意を調べるってことだよ」
ふぅ~、よかった。適正がなくても使えるようだ。それにしても8つも属性があるのか。光と聖、闇と魔って何が違うんだろ。上位属性かなんかなのかな?
とにかくまずは何でもいいから簡単なやつを覚えよう。
最終的には従魔を召喚できればなぁ。フェンリルとか、ドラゴンとか。魔法の目標はそこらへんだな。
僕はそのままルナミアの話を聞いていた。
どうやらこの世界には、魔法と魔力というものがあるらしい。魔法には、初級魔法、中級魔法、上級魔法、最上級魔法があって、初級魔法であればどんな人でも使えるらしい。ちなみに初級魔法を普通魔法とも言うのだとか。後の二つはその人の適正によるっていう話だった。
そしてもっと気になるのは魔力だ。
魔力は、個人に発現するもので、それに準ずる魔法が固有魔法とか発現魔法とか言われている。そっちの方が一般的かな。ルナミアの言う『夢渡り』もそのひとつだ。そして彼女はそれを魔力ではなく、固有魔法と呼んでいる。分かりにくいけど、『夢渡り』と言う魔力の中の『夢渡り』と言う固有魔法を使っているようだ。
魔力に目覚めた場合は、8割方同じ名前の固有魔法が存在すると言う。ややこしいからもういいや。
もうひとつ、魔力には魔法を使うための力という意味もあったのは僕の知識と大差ない。
彼女いわく、僕には後者の意味の魔力があるらしい。魔法は問題なく使えると言うことだ。
魔法を使いたいと言う夢がまさかこうもあっさり叶うとは思わなかった。僕が急に魔法を使えるようになったら、リッタは絶対驚くだろうな。まだ使ってはないけどね。
リッタと自分を守るための力をつけるのは、魔法を覚えることが一番手っ取り早いはずだ。
これからは夢の中でも特訓しないといけないな。挫けずに頑張ろう!
その後、ルナミアに適正を調べて貰った。
「うーん……なんというか……平々凡々ってかんじだね」らしい。
平々凡々って……と最初は思ったけど、全部これから次第ということだった。僕が上手く学んでいけば、全部の魔法が得意になるし、一つに絞れば、その属性の魔法だけがかなり強くなる。
これってある意味最強じゃない?
だってうまくいけばどの属性の最上級魔法も使えるようになるってことだよね!
これなら大魔術師も夢じゃないかも!
早く強くならなくちゃ!
いつかリッタと旅をするために、もとの世界に帰るために、そして僕の夢のためにも!!
一通り魔法の説明を受けて、とうとう実践という時にルナミアは言った。
「おっと、もう時間切れだ。現実の君がもう目を覚まそうとしてる。残念だけど、魔法は明日だね」
「そっか……でもしょうがないか。今日はほんとにありがとう。また明日もよろしく頼むよ」
「うん。それと、ボクのことはルナって呼んで! それじゃあまた明日! ばいばーい!」
そう言って、彼女、は僕の前から消えてしまった。これじゃあ断れないじゃないか。リッタの時もそうだったけど、女の子を名前で呼ぶとか難易度高すぎだろ!
魔法以外にも頑張んなきゃならないことがいっぱいありそうだな……。
そろそろ目が覚めるのかな。
また昨日のように知らないところにいたりしないといいけど……。
だんだん周りに靄がかかって、そのまま僕の意識はずっと遠くにいってしまった。
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