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第1章
恋の芽生え
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初夏を迎え、カーテンの隙間からギラギラとした太陽の光が差し込んでくる。
まだ午前中だというのに蒸し暑い部屋の空気にマヤは嫌でも目が覚めた。
そろそろ起きなきゃ寝坊するな・・・
時計を見ると8時10分を指していたが、特に焦りは感じていなかった。
"一限は9時から、まだ間に合う"
そんな気持ちで起き、身支度を始めた。
朝ご飯は基本的にご飯と味噌汁、それだけあればお腹は膨れる。
大学入学とともに両親からの後押しで一人暮らしを始め、ある程度の自炊はしたいと思いそれなりの料理はやっているつもりだった。
ご飯は炊きたてが食べたいからと炊飯器を買って毎日ご飯を炊いたし、味噌汁も市販の味噌汁は嫌だからと独自で見極めた味噌を買って作った。
朝食を簡単に済ませると時刻は8時40分。
"そろそろ行くか"
大学へは小型ではあるがオートバイで通学しているため、暑いが夏用のバイクジャケットを羽織り、ヘルメットを持ち外に出た。
蒸し暑く、ジャケットを羽織っている上半身は早くも汗ばみ始める。
バイクのエンジンをかけ、走り出した。
もろ夏の風を受けたが、あまり熱くなく、ジャケット越しでも涼しい風が体全体を覆った。
大学の駐車場に着くと、数台のバイクが並んで駐車してある。
その中にマヤも駐車しエンジンを止める。バイクから降りてヘルメットを脱ぐと汗ばんだ頭皮がそよ風で冷やされ心地良かった。
隣を見ると時々停まっている白いタンクの大型バイクに目が行った。
"たまに見るけど、カッコいいなぁ"
大型バイクは女性が運転しても見栄えがするため、マヤの憧れでもあった。
ずっと見ていたかったが、講義の時間が迫っていたため教室へと走った。
--
17時20分。今日の講義が終わり、帰宅しようと校舎から出た瞬間、男性のマヤに挨拶する声が聞こえた。
「山口さんバイバイ!」
振り返るとやや小柄な男の子がマヤに手を振っていた。
マヤは男の子と面識が無く、誰だろう?と思ったが、自分の名前を呼んで手を振っているからとマヤも手を振った。
翌日、いつも通り講義を受ける為に席に座って筆記具の準備をしていると、背後から昨日の男の子から挨拶された。
「おはよう、山口さん」
振り返ると同い年くらいの男の子がマヤの真後ろの席に座ろうとしていた。
よく見ると垂れ目ではあるが顔つきはそう悪くない。
「うん、おはよう」
名前がわからないので軽い挨拶しか出来なかったが、マヤは男の子の事が妙に気になった。
講義が始まり講師から出欠確認の為に1人1人名前が呼ばれる。
マヤは男の子の名前が呼ばれるのを待っていた。
在籍している学部の番号順に名前が呼ばれていき、遂に彼の名前が呼ばれた。
「佐藤 由紀男くん」
名前を呼ばれた彼が"はい"と返事をした。
"佐藤 由紀男くん"
マヤは男の子の名前を心の中に刻み込んだ。
ー--
あの日以来、マヤは由紀男の過去の行動が気になって仕方が無かった。
初めて由紀男から挨拶される前のテニスの講義の時、実は由紀男と思われる男の子が同じ講義を受けていたのだ。
準備運動を兼ねてテニスコート内をチーム全員で走った際、マヤの隣で張り切るように走る由紀男を見ていたのだ。
"もしかして、ずっと前から私の事を意識してくれたの?!"
思い出すだけで顔が真っ赤になった。
マヤは由紀男がずっと自分の事だけを見ていてくれていると思うと嬉しく思い、もっと由紀男に会いたくなった。
由紀男との出会いは、マヤにとって初めてと言える恋の始まりになった。
まだ午前中だというのに蒸し暑い部屋の空気にマヤは嫌でも目が覚めた。
そろそろ起きなきゃ寝坊するな・・・
時計を見ると8時10分を指していたが、特に焦りは感じていなかった。
"一限は9時から、まだ間に合う"
そんな気持ちで起き、身支度を始めた。
朝ご飯は基本的にご飯と味噌汁、それだけあればお腹は膨れる。
大学入学とともに両親からの後押しで一人暮らしを始め、ある程度の自炊はしたいと思いそれなりの料理はやっているつもりだった。
ご飯は炊きたてが食べたいからと炊飯器を買って毎日ご飯を炊いたし、味噌汁も市販の味噌汁は嫌だからと独自で見極めた味噌を買って作った。
朝食を簡単に済ませると時刻は8時40分。
"そろそろ行くか"
大学へは小型ではあるがオートバイで通学しているため、暑いが夏用のバイクジャケットを羽織り、ヘルメットを持ち外に出た。
蒸し暑く、ジャケットを羽織っている上半身は早くも汗ばみ始める。
バイクのエンジンをかけ、走り出した。
もろ夏の風を受けたが、あまり熱くなく、ジャケット越しでも涼しい風が体全体を覆った。
大学の駐車場に着くと、数台のバイクが並んで駐車してある。
その中にマヤも駐車しエンジンを止める。バイクから降りてヘルメットを脱ぐと汗ばんだ頭皮がそよ風で冷やされ心地良かった。
隣を見ると時々停まっている白いタンクの大型バイクに目が行った。
"たまに見るけど、カッコいいなぁ"
大型バイクは女性が運転しても見栄えがするため、マヤの憧れでもあった。
ずっと見ていたかったが、講義の時間が迫っていたため教室へと走った。
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17時20分。今日の講義が終わり、帰宅しようと校舎から出た瞬間、男性のマヤに挨拶する声が聞こえた。
「山口さんバイバイ!」
振り返るとやや小柄な男の子がマヤに手を振っていた。
マヤは男の子と面識が無く、誰だろう?と思ったが、自分の名前を呼んで手を振っているからとマヤも手を振った。
翌日、いつも通り講義を受ける為に席に座って筆記具の準備をしていると、背後から昨日の男の子から挨拶された。
「おはよう、山口さん」
振り返ると同い年くらいの男の子がマヤの真後ろの席に座ろうとしていた。
よく見ると垂れ目ではあるが顔つきはそう悪くない。
「うん、おはよう」
名前がわからないので軽い挨拶しか出来なかったが、マヤは男の子の事が妙に気になった。
講義が始まり講師から出欠確認の為に1人1人名前が呼ばれる。
マヤは男の子の名前が呼ばれるのを待っていた。
在籍している学部の番号順に名前が呼ばれていき、遂に彼の名前が呼ばれた。
「佐藤 由紀男くん」
名前を呼ばれた彼が"はい"と返事をした。
"佐藤 由紀男くん"
マヤは男の子の名前を心の中に刻み込んだ。
ー--
あの日以来、マヤは由紀男の過去の行動が気になって仕方が無かった。
初めて由紀男から挨拶される前のテニスの講義の時、実は由紀男と思われる男の子が同じ講義を受けていたのだ。
準備運動を兼ねてテニスコート内をチーム全員で走った際、マヤの隣で張り切るように走る由紀男を見ていたのだ。
"もしかして、ずっと前から私の事を意識してくれたの?!"
思い出すだけで顔が真っ赤になった。
マヤは由紀男がずっと自分の事だけを見ていてくれていると思うと嬉しく思い、もっと由紀男に会いたくなった。
由紀男との出会いは、マヤにとって初めてと言える恋の始まりになった。
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