8 / 22
第一章・ハイテク・プリズン『電子レンジ地獄』
第八話・ホワイトニンフとダークニンフ
しおりを挟む
「は!」
富樫が気づくと、彼は再びセファのいる暗闇に横たわっていた。身体を起こすと、セファが鼻先に近づいてきた。
「ステージ2のクリア、おめでとう。報酬はどうだった?」
「報酬? ああ、ドリアとお茶はおいしかったよ」
「そうじゃなくて、あまちゃんとのデートのことよ。楽しかった?」
「え? あ、ああ……。楽しかったよ、ありがとな」
一瞬、どう答えようかと考えた富樫だったが、正直な気持ちを伝えた。これからこのゲームが何ステージあるのかわからないが、その報酬として、またあまちゃんとデート出来るものならしてみたかったからだ。
「よかった。じゃあまたどこかにデートの報酬を入れることにするね」
「お、おう! そう言えばこのゲームって、何ステージまであるんだ?」
「それは……、ホントは秘密なんだけど、教えてあげようかな。このゲームはね、コンビニにとって邪魔になったり、コンビニと敵対するような人を閉じ込めて、無害になるまで人格改造をしてから、元の世界に戻してあげるっていうものなの」
「な……、人格改造、だと? ひでえな……」
「それでね、ステージ1しかクリアしてなくても、もう充分反省していたり、無害になったってあたしが判断すれば、それ以上、このゲームを続ける必要はないのよ」
「そ、そうなのか……。じゃあ、俺はまだ、お前に許されていないってことなのか?」
「うーん……。正直ステージ1で一度死んじゃったときの、トガシの様子を見て、ちょっとやりすぎたかなあって思ったし、さっきのデートで、あまちゃんに謝りたいと思ってるのもわかったから、もう大丈夫かなって思ってるんだけど……」
「けど?」
腕組みをしながら、難しい顔で考えているセファは、富樫の真剣な表情を見て、しょうがなく次の秘密を明かし始めた。
「あなたを元の世界に戻すために、2つ大きな試練を受けてもらわないといけないの。一つは、あたし以外のもう一人のコンビニ妖精の、テストに合格しないといけないの。そのテストの内容は、あなたが現実で犯した罪の、重さによって決められる」
「テスト……、か。俺が嫌いな言葉だ。やっぱり俺には無理かもな」
富樫はごろりと横になって、両手で顔をおおった。
「ちょ……、いつもあきらめるの早すぎ! と言っても……、あなたのテストを行うのは、たぶんあたし達ホワイトニンフと仲の良くない、ダークニンフの娘だから、もしかしたらいじわるされるかも。はぁ……」
初めて聞いたセファの深いため息に驚いた富樫は、ちらっとセファの様子を盗み見た。その視線に気づいたセファは、寝転がる富樫の顔近くに舞い降り、漆黒の床の上に、膝をくずして座り、富樫にほほ笑んだ。
「あたしが気弱になっちゃダメだね。ごめんトガシ。まあ要するに、あたしがいくらあなたを許しても、そのダークニンフの娘を納得させないと、元の世界に戻るチケットがもらえないの。でも安心して、あたしがなんとかするから。時間はたっぷりあるんだから」
「セ、セファ……、お前やさしいな」
「まあね、こう見えてもホワイトニンフだからね」
「あきらめたらそこで終わり、だよな。がんばらなきゃ。がんばって元の世界にもどって、あまちゃんに謝らなきゃ……」
富樫はそう言いながら、肩を抱いて目を閉じ、すうすうと寝息を立て始めた。セファは思う。この空間には、昼も夜もなく、いつも真っ暗闇だ。時間の概念なんてないから、寝たい時に寝ればいい。疲れたら休めばいい。その代わり、起きたらまたがんばるんだよトガシ……。そう、このハイテク・プリズンでの富樫の戦いは、まだ始まったばかりなのだ。
富樫が気づくと、彼は再びセファのいる暗闇に横たわっていた。身体を起こすと、セファが鼻先に近づいてきた。
「ステージ2のクリア、おめでとう。報酬はどうだった?」
「報酬? ああ、ドリアとお茶はおいしかったよ」
「そうじゃなくて、あまちゃんとのデートのことよ。楽しかった?」
「え? あ、ああ……。楽しかったよ、ありがとな」
一瞬、どう答えようかと考えた富樫だったが、正直な気持ちを伝えた。これからこのゲームが何ステージあるのかわからないが、その報酬として、またあまちゃんとデート出来るものならしてみたかったからだ。
「よかった。じゃあまたどこかにデートの報酬を入れることにするね」
「お、おう! そう言えばこのゲームって、何ステージまであるんだ?」
「それは……、ホントは秘密なんだけど、教えてあげようかな。このゲームはね、コンビニにとって邪魔になったり、コンビニと敵対するような人を閉じ込めて、無害になるまで人格改造をしてから、元の世界に戻してあげるっていうものなの」
「な……、人格改造、だと? ひでえな……」
「それでね、ステージ1しかクリアしてなくても、もう充分反省していたり、無害になったってあたしが判断すれば、それ以上、このゲームを続ける必要はないのよ」
「そ、そうなのか……。じゃあ、俺はまだ、お前に許されていないってことなのか?」
「うーん……。正直ステージ1で一度死んじゃったときの、トガシの様子を見て、ちょっとやりすぎたかなあって思ったし、さっきのデートで、あまちゃんに謝りたいと思ってるのもわかったから、もう大丈夫かなって思ってるんだけど……」
「けど?」
腕組みをしながら、難しい顔で考えているセファは、富樫の真剣な表情を見て、しょうがなく次の秘密を明かし始めた。
「あなたを元の世界に戻すために、2つ大きな試練を受けてもらわないといけないの。一つは、あたし以外のもう一人のコンビニ妖精の、テストに合格しないといけないの。そのテストの内容は、あなたが現実で犯した罪の、重さによって決められる」
「テスト……、か。俺が嫌いな言葉だ。やっぱり俺には無理かもな」
富樫はごろりと横になって、両手で顔をおおった。
「ちょ……、いつもあきらめるの早すぎ! と言っても……、あなたのテストを行うのは、たぶんあたし達ホワイトニンフと仲の良くない、ダークニンフの娘だから、もしかしたらいじわるされるかも。はぁ……」
初めて聞いたセファの深いため息に驚いた富樫は、ちらっとセファの様子を盗み見た。その視線に気づいたセファは、寝転がる富樫の顔近くに舞い降り、漆黒の床の上に、膝をくずして座り、富樫にほほ笑んだ。
「あたしが気弱になっちゃダメだね。ごめんトガシ。まあ要するに、あたしがいくらあなたを許しても、そのダークニンフの娘を納得させないと、元の世界に戻るチケットがもらえないの。でも安心して、あたしがなんとかするから。時間はたっぷりあるんだから」
「セ、セファ……、お前やさしいな」
「まあね、こう見えてもホワイトニンフだからね」
「あきらめたらそこで終わり、だよな。がんばらなきゃ。がんばって元の世界にもどって、あまちゃんに謝らなきゃ……」
富樫はそう言いながら、肩を抱いて目を閉じ、すうすうと寝息を立て始めた。セファは思う。この空間には、昼も夜もなく、いつも真っ暗闇だ。時間の概念なんてないから、寝たい時に寝ればいい。疲れたら休めばいい。その代わり、起きたらまたがんばるんだよトガシ……。そう、このハイテク・プリズンでの富樫の戦いは、まだ始まったばかりなのだ。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ガチャで大当たりしたのに、チートなしで異世界転生?
浅野明
ファンタジー
ある日突然天使に拉致された篠宮蓮、38歳。ラノベは好きだが、異世界を夢見るお年頃でもない。だというのに、「勇者召喚」とやらで天使(自称)に拉致られた。周りは中学生ばっかりで、おばちゃん泣いちゃうよ?
しかもチートがもらえるかどうかはガチャの結果次第らしい。しかし、なんとも幸運なことに何万年に一度の大当たり!なのにチートがない?もらえたのは「幸運のアイテム袋」というアイテム一つだけ。
これは、理不尽に異世界転生させられた女性が好き勝手に生きる物語。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる