49 / 132
第四章 皇帝の崩御と激動の刻
第四十九話 天の意思
しおりを挟む袁本初らに殺害された宦官の数は、老若問わず実に二千人余りにも上った。
中には、髭を生やしていなかった為、誤って殺された者も多数含まれていたと言う。
正に手当たり次第である。
王宮内は、文字通り血の海と化し、その後始末には数日を費やす有様であった。
その混乱の中、何太后と共に宦官擁護の側に立っていた異父兄の何苗も、呉匡らの指示に従った何進の元配下たちによって殺され、これによって何氏の勢力は著しく衰退する事となる。
城外で思い掛けず、皇帝と陳留王を拾った董仲穎と共に、雒陽へ入城して来た曹孟徳を、朝廷で待っていた本初は信じられないといった表情で見た。
仲穎は上機嫌で皇帝を連れ、何太后の待つ宮室へと向かうと、そこで自分が皇帝の庇護者である事を正式に認めさせ、早速朝廷内に集めた文武百官に対しても公言させた。
やがて、朝廷を後にする孟徳を追い掛け、本初は宮殿の外の長い通路で彼を捕まえた。
「董仲穎を雒陽へ入城させるとは、どういう積もりだ?!」
「天子を、あの男に奪われたのだ。仕方が無かった…」
「何だと!?お前が陛下と陳留王を取り戻すと言って、張譲たちを追い掛けて行ったのでは無かったのか!?俺が宦官共を排除している間に、董仲穎なんぞに天子を奪われるとは…お前は何をやっていたのだ!?」
本初は眉を吊り上げ、こめかみの辺りに青筋を立てて怒りを顕にしている。
それから、小さく舌打ちをすると、
「全く…!」
と、呆れた口調で呟き、侮蔑の眼差しで彼を見下ろした。
本初は、今まで態度にこそ現した事は無かったが、やはり心の片隅では宦官の孫である曹孟徳の事を蔑んでいたのであろう。
それを感じ取った孟徳は、途端に遣る瀬ない気持ちになった。
元々、仲穎らを雒陽へ呼び寄せたのは、本初自身なのである。
それを棚に上げ、孟徳の失態を謗るとは納得が行かない。
完全に頭に血が上ってしまった本初には、冷静な判断が出来なくなっているらしい。
孟徳は思わず、去り際の本初に怒鳴り返した。
「俺は、始めから反対していたのに…董仲穎が来たのは、お前の所為であろう!」
「何だと…!?」
鋭く振り返った本初は、咄嗟に孟徳の胸ぐらを掴み、血走った目で彼を睨み付けた。
唇を強く噛み締めながら、孟徳も本初を睨み返している。
二人は暫し睨み合ったが、彼の目元が赤くなっているのを見ると、本初はやや冷静さを取り戻した。
この様な時に、不毛な論争をしている場合では無い。
そう思い、孟徳の体を押し戻す様にして掴んでいた手を放す。
「すまぬ…俺が言い過ぎた…」
やがて本初は肩を落とし、再び孟徳に背を向けると、黙って通路を歩き去って行った。
雒陽を去った方が良いか…
これから、董仲穎による暴政が始まるであろう事は、火を見るより明らかである。
本初の後ろ姿を見送りながら、心の何処かに虚しさを感じた孟徳は強くそう思った。
董仲穎が雒陽へ引き連れて来た兵士の数は、ざっと三千弱といった所である。
そこで、仲穎は殺害された何進と何苗らの軍勢を引き入れ、軍事力の強化を図った。
その頃、丁建陽の率いる軍も、既に雒陽へ入城していた。
雒陽へ入った建陽は、京師の巡察や警備を司る、「執金吾」という役職を与えられた。
執金吾は花形とも呼べる職であり、多くの兵を所有し、豪華な装備品を纏って雒陽内を練り歩く。
何とかして、あいつの兵士を奪い取る事が出来ないか…
その建陽の軍に対し、仲穎は欲望を剥き出しにした眼差しを向けていた。
だが仲穎は、建陽が武勇に優れ、聡明な将である事を良く知っている。
「執金吾の持つ兵を、我が物にする良い案は無いか…?」
彼は傍らに控える参謀の一人である、長身で痩せた色白の男に、質問を投げ掛けてみた。
「丁建陽殿を、亡き者にしたい…と言う意味でしょうか?」
その男は顔色一つ変える事無く、冷静な口調で淡々と答える。
「何か、策が有るのか?」
勿体振る様な彼の物言いに、仲穎は多少の苛立ちを見せたが、男は相変わらず涼しげな顔をしている。
肝が据わっているのか…一体何を考えているか、読めない奴よ…
彼は若くも見えるが、老けている様にも見える。年齢すらも良く分からない。
しかし、その不思議な雰囲気を持つ年齢不詳な男に、仲穎は非凡さを感じており、彼を参謀として迎え入れたのである。
李儒、字を文優と言うその男は、仲穎が雒陽へ入城すると、その幕僚に加わった。
皇帝を伴って宮殿に姿を見せた仲穎を、皆が奇異な眼差しで見る中、彼だけは眉一つ動かさず、
「天子を保護出来たのは、天命に他なりません…」
と言って、彼に慶賀の言葉を送った。
細い眉に切れ長な目を持っており、眉目は整っているが、一見して印象の薄い顔立ちである。
仲穎は彼のその細い目をじっと見据え、
「早く答えを言え!」
と言わんばかりの表情を見せている。
文優はやがて口角を若干上げると、
「ご期待に沿う様、尽力致しましょう…」
そう言って、仲穎に向かって深く揖礼をした。
李文優は、馮翊郡 郃陽県の出身である。
都からそう遠くない地であり、都会の知識人たちと交流する機会を多く得ていた。
その為、涼州からやって来た仲穎らとは、生活様式も考え方もまるで違っている。
文優は先ず、仲穎に人心を掌握する事の重要性を説き、投獄されていた清流派の知識人たちを解放し、高名な賢者、有識人たちを招いて、彼らに官職を与えるよう献策した。
また、かつて宦官と敵対して殺害された、竇武、陳蕃らの名誉回復の措置を取る事を勧め、民衆からの声望を高めようと図った。
仲穎は彼の意見に、一応の納得は見せたが、正直な所、そのやり方には手緩さを感じていた。
だが、兎も角新たな人事を行い、そんな中で、王允、子師を「司徒」に、高名さを聞いて招聘した、蔡邕、字を伯喈と言う儒者を「祭酒」に任命するなどし、朝廷に新たな風を吹き込ませ、彼らに政務を執らせる事にした。
しかし、司徒の王子師は、始めから仲穎を野蛮な異民族と見做しており、彼や、彼の兵士たちの素行の悪さを度々指摘しては、それを議題に取り上げるなどして、真っ向から対立する構えを見せる。
更に、仲穎を不機嫌にさせるのは、皇帝の存在であった。
始めこそ、仲穎を恐れ萎縮していた皇帝であったが、王子師らの入れ知恵もあったのだろう、次第に彼に対し意見を述べる様になった。
ただのお飾りの癖に、生意気な…!
それが皇帝に対して、仲穎が向ける感情である。
それに引き換え、まだ九歳の陳留王は非常に大人しく無口な子供で、笑った顔すら見た事が無かった。
皇帝には、後ろ盾として生母の何太后の存在があるが、陳留王には、養育していた董太后は既に亡く、邪魔な後ろ盾も無い。
仲穎は薄笑いを浮かべ、自分の顎髭を撫でながら陳留王を眺めると、呼び寄せた李文優に耳打ちをした。
季節は既に冬である。
澄み渡る寒空の下、曹家の屋敷の前では、虎淵が家人たちに指示を出し、家財道具などを車に積み込む作業が行われていた。
その様子を、少し離れた門の側から見詰める者の姿がある。
その人影は虎淵の姿を認めると、足早に彼に近付き、その背後から呼び掛けた。
「虎淵。」
その声に振り返った虎淵は、自分の背後に立つ人物を見上げると、驚きの声を上げた。
「せ、先生…!?」
そこに立っていたのは、奉先である。
虎淵は瞠目し、余りの驚きに、夢か現実か判別が付かないといった表情であったが、やがて瞳を潤ませると、奉先の肩に縋り付く様にして抱き着いた。
「ご無事だったのですね…!良かった…!」
虎淵は大粒の涙を流し、声を震わせる。
「ああ、俺を救ってくれたのはお前だ。あの時は、直ぐにお前だと気付かず、悪かった…!」
奉先も虎淵の肩を強く抱き締めながら、涙を堪え、感情を押し殺す様に彼の耳に囁いた。
「そんな事は良いのです。先生が生きておられただけで…!」
虎淵は顔を上げると、瞼に涙を溜めた瞳で奉先を見上げる。
「少し見ぬ間に、随分と背が伸びたな、虎淵!」
そう言って彼の肩を強く叩き、奉先は目を細め微笑を向けた。
虎淵の身長は、今では奉先に迫る程になっており、顔付きも精悍さを増している。
虎淵は少し照れ臭そうに頭を掻き、
「実は孟徳様にも、それ以上大きくなるなよ!と、怒られるのです…」
そう言って苦笑を浮かべ、頬を赤く染めた。
「孟徳殿も、無茶な要求をするものだ…!」
奉先も苦笑を返しながら言ったが、やがてその顔から笑いを収めた。
それを見て、虎淵は慌てて言葉を繋ぐ。
「孟徳様は…今、お出掛けになっておいでです。夕刻までには戻ると仰っていましたから、屋敷でお待ち下さい!」
「いや、此処へ来たのは、お前に俺が生きている事を伝えたかっただけだ…!」
屋敷へ案内しようと門を潜る虎淵の背に、奉先が呼び掛けた。
振り返った虎淵は、門の外に佇む奉先を、怪訝な眼差しで見詰める。
奉先は、荷物が積み込まれた数台の車を眺めながら、
「孟徳殿は、何処かへ行かれるのか?」
と、 問い掛けた。
「はい、実は…もうすぐ孟徳様は雒陽を発ち、故郷へ戻られます。主様は先に、譙県へお帰りになりました。孟徳様は、身辺整理をなさってから、発たれるお積りなのです。」
「そうか…俺は今、執金吾の丁建陽様に養子として迎えられ、父子の契りを結んだ。父上のお陰で、俺は自分の人生を取り戻す事が出来たのだ。」
「そうなのですか?!それは、きっと孟徳様もお慶びになるでしょう…!」
驚きと戸惑いを目に宿しつつも、笑顔で答える虎淵を、奉先は少し憂いを帯びた眼差しで見詰める。
「だから…俺は暫く父上の下でお力になりたいと思っている。孟徳殿には、宜しくお伝え願いたい。」
そう言うと、奉先は虎淵に拱手し、深く頭を下げてから踵を返した。
「先生…!!」
虎淵は慌てて彼を引き止めようと、門を潜って表へ走り出たが、通りの向かいに繋いでおいた馬に素早く跨がり、砂塵を巻き上げながら、奉先は忽ちその場から走り去ってしまった。
曹家の屋敷へ向かうのを、奉先は何度も躊躇った。
孟徳に会った時、どんな顔をすれば良いのか。自分を裏切った事を、恨んでいるのではないか、
そんな事を考えると、彼に会うのは正直気が重かった。
しかし、屋敷へ行き孟徳が留守であった事で、彼はある種の確信を得た。
風を切って馬で城内を走りながら、奉先は顔を上げ、頭上に広がる青空を見上げる。
『はっきりと言おう…お前と孟徳には、良い兆しが見えぬ…お前たちは、共に居るべきでは無い…!』
以前、"降龍の谷"で、師亜から言われた言葉を思い出していた。
俺が孟徳殿に会えぬのは、会わせまいとする、"天の意思"を感じる…
奉先は目を細め、高い上空を旋回する一羽の鷹の姿を眺めた。
「あの、もしや…呂奉先殿ではありませんか?」
その時、足元から男に声を掛けられ、奉先ははっとして我に返った。
馬上で見下ろすと、そこに小柄な青年が一人立っている。
「俺に、何か…?」
奉先は多少訝りつつも馬を降り、その青年に向き合った。
小柄だがすらりとした体格で、如何にも文官系と言った風貌を持つ若い男である。
「やはりそうでしたか。私は、李元静と申します。」
男は目に微笑を浮かべながら、そう言って奉先に揖礼し頭を下げた。
「呂龍昇殿の下から、丁将軍の養子となった若者がいると聞き、その風貌からもしやと思い、声を掛けさせて頂いたのです。実は、龍昇殿の下には、私の叔父がおりまして…確か『李月』と名乗っていた筈…」
それを聞いた奉先は、やや苦笑を浮かべた。
「李月なら知っている。管狼の相棒だった…」
言われてみると、確かにその青年の顔を髭で覆ってみれば、李月の風貌に近付くだろう。
そう思うと奉先は、内心笑えて来た。
「そうです。嗚呼、懐かしいなあ…叔父や管狼殿はお元気でしょうか?管狼殿には幼い頃、とても可愛がって頂いておりました…!」
元静は目を細め、郷愁を抱いた眼差しを彼に向ける。
行き交う人々で賑わう雒陽の大通りを、奉先は馬を引き、元静に肩を並べて歩いた。
「管狼殿は若い頃に、妻と一人息子を相次いで病で亡くされ、生きる希望を失い掛けていた時、叔父の李月の誘いで呂興将軍の配下となったのです。」
「息子を亡くした、とは聞いていたが…そうだったのか…」
奉先は、時々管狼が見せる哀愁のある横顔を思い浮かべた。
彼を最後に見たのは、鄭邑の城壁の上に一人佇む姿である。
それを思い出すと、無性に彼に会いたい気持ちが沸き上がった。
「それでは奉先殿、私はこの辺りで。」
細い路地に通じる道に差し掛かると、元静はそう言って奉先に拱手する。
「ああ、今日はお会い出来て良かった。」
「私もです。また、是非ご一緒に語り合いましょう!」
元静は微笑し、そう言い残すと路地へ入って行く。
彼の姿が路地の奥へ消えて行くまで、奉先はその後ろ姿を見送った。
やがて、細い路地を抜けると少し開けた空地へ出る。
その空地には、彼がそこへ現れるのを待つ数名の男たちの姿があった。
「呂奉先には、接触出来ましたか?」
中心に立つ長身の痩せた男は、細い目を更に細め、笑っているのか怒っているのか判別の付かない表情で、元静を見下ろしている。
「はい、会えました。彼は特に、何の疑いも抱いていないでしょう。」
元静は答えると、その男に深く頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる