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冬樹と夏樹
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「冬樹くんっ」
「やだっ!」
(違う!!冬樹じゃない!!夏樹なんだもん!!)
そうだ…、そうなんだ。
ふゆちゃんは…。
ふゆちゃんは、夏樹のせいで。
夏樹の代わりになって、事故にまき込まれたんだ。
だけど、ふゆちゃんが…お父さん達が死んだなんて嘘だ!!
まだ、わからないのに。
(絶対に信じない!!信じないもん!!)
きっと、帰ってくる!!
きっと!!
『死んだなんて嘘だ』
『きっと帰ってくる』
そんなことを思っているうちに、あっという間に年月は過ぎて行った。
オレはずるい。
認めたくなかっただけなんだ。
『夏樹のせいで冬樹が死んだ』という事実を。
手に持っていたフォトフレームの写真の上に一滴の涙がぽたりと落ちた。慌ててシャツの袖でゴシゴシと擦るが、自分の意志とは裏腹に、涙は後を絶たず、ぽろぽろと零れ落ちてくる。
「……っ…」
(油断すると、これだ…)
泣かないって、決めたのに…。
(ふゆちゃん…)
西の空が夕焼けに染まり始める頃、雅耶は自宅の門をくぐった。
「ただいまー」
靴を脱いで家に上がると、母親がリビングから顔を出した。
「あら、おかえり。早かったのねぇ」
「うん、まぁね」
洗面所に行くと、きちんと手を洗ってうがいをする。その間にも、傍までついて来ていたのか後ろから声が掛かる。
「そうそう、雅耶。ちゃんと春休み中にいらない物とか整理しちゃいなさいよっ」
「んー?」
「高校入ったら、また物も増えていくんだからねっ。あんた物持ちがいいんだから…」
いつもの小言が始まって、雅耶は苦笑いを浮かべると、
「はいはい」
とりあえず返事をして、二階の自室へと向かった。
「とは、言っても…」
一応、素直に言われたことを実行しようと、部屋の中をぐるりと見渡した。
「いらないものなんて、殆どないよなー」
うーん…と唸りながら腕組みをする。考えながら何気なく部屋を見回していたその時、ふと…本棚の上に置いてある段ボール箱が目に入った。
(この箱、何入れてたっけ?)
雅耶は背伸びをすると、意外に重いその箱をやっとの事で持ち上げると、床に置いた。
「やだっ!」
(違う!!冬樹じゃない!!夏樹なんだもん!!)
そうだ…、そうなんだ。
ふゆちゃんは…。
ふゆちゃんは、夏樹のせいで。
夏樹の代わりになって、事故にまき込まれたんだ。
だけど、ふゆちゃんが…お父さん達が死んだなんて嘘だ!!
まだ、わからないのに。
(絶対に信じない!!信じないもん!!)
きっと、帰ってくる!!
きっと!!
『死んだなんて嘘だ』
『きっと帰ってくる』
そんなことを思っているうちに、あっという間に年月は過ぎて行った。
オレはずるい。
認めたくなかっただけなんだ。
『夏樹のせいで冬樹が死んだ』という事実を。
手に持っていたフォトフレームの写真の上に一滴の涙がぽたりと落ちた。慌ててシャツの袖でゴシゴシと擦るが、自分の意志とは裏腹に、涙は後を絶たず、ぽろぽろと零れ落ちてくる。
「……っ…」
(油断すると、これだ…)
泣かないって、決めたのに…。
(ふゆちゃん…)
西の空が夕焼けに染まり始める頃、雅耶は自宅の門をくぐった。
「ただいまー」
靴を脱いで家に上がると、母親がリビングから顔を出した。
「あら、おかえり。早かったのねぇ」
「うん、まぁね」
洗面所に行くと、きちんと手を洗ってうがいをする。その間にも、傍までついて来ていたのか後ろから声が掛かる。
「そうそう、雅耶。ちゃんと春休み中にいらない物とか整理しちゃいなさいよっ」
「んー?」
「高校入ったら、また物も増えていくんだからねっ。あんた物持ちがいいんだから…」
いつもの小言が始まって、雅耶は苦笑いを浮かべると、
「はいはい」
とりあえず返事をして、二階の自室へと向かった。
「とは、言っても…」
一応、素直に言われたことを実行しようと、部屋の中をぐるりと見渡した。
「いらないものなんて、殆どないよなー」
うーん…と唸りながら腕組みをする。考えながら何気なく部屋を見回していたその時、ふと…本棚の上に置いてある段ボール箱が目に入った。
(この箱、何入れてたっけ?)
雅耶は背伸びをすると、意外に重いその箱をやっとの事で持ち上げると、床に置いた。
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