235 / 303
罪と願いと…
18-10
しおりを挟む
(…力が言っていた別荘にある日誌を見れば何か分かるのかも…)
冬樹は小さく息を吐くと、読み漁ったファイル等を元の場所へと片付け、書斎を後にした。
書斎の奥の隠し部屋は狭く、一人で籠っているだけでもかなりの熱気だった。なので、リビングへと戻って来ると窓が閉まっていても空気が澄んでいる様な気がして、冬樹は大きく深呼吸をして身体に酸素を取り込んだ。
そうして閉め切った薄暗い部屋の中、ソファに深く腰掛ける。
「………」
暫くじっと目を閉じていた。
半分、眠りかけているのかも知れなかった。
十数分程そうしていただろうか。
だが、静かな空間に突然携帯の着信音が鳴り響いた。
「……っ…」
ハッ…として冬樹は目を開くと、僅かに離れた所にあるテーブル上に置いたバッグの側へと携帯を取りに立つ。
その携帯のディスプレイ画面に表示されていたのは…。
「……力…?」
力の電話番号を携帯に登録したのは、本当につい最近のことだ。
少し前までの自分では考えられないことではあるが、『慣れ』というは凄いもので、今ではそんなに力に対しての拒否反応もなくなっていた。
(でも、こんな朝から何の用だ…?)
冬樹は首を傾げながらも、とりあえず通話ボタンを押した。
それから30分後。
冬樹は駅前のロータリーに来ていた。
少しすると、目の前に一台の見覚えのある高級車がゆっくりと停車する。
後部座席のドアが開くと、
「冬樹っおはよう。早く乗れよっ」
力が笑顔で手招きをした。
とりあえず、運転手にも挨拶をして冬樹は車に乗り込んだ。
流石に一緒に並んで車に乗るのは、狭い空間でもあるし若干緊張したが、この際仕方ないと冬樹は腹をくくった。
「雅耶は呼ばなくて良かったのか?」
別に連れてきても良かったんだぞ?…と、力は何気なく言った。
「ああ、雅耶は…。今日は部活の大会なんだ。空手の…」
本当は、雅耶がいないのは少し心細いけれど。
(雅耶は大事な試合なんだし仕方ない。頼ってばかりいたら駄目だよな…)
下手に心配掛けるのも嫌なので、まだ連絡は入れていない。
空手の試合が始まる頃には携帯も手元にないだろうと踏んで、後で時間を見て一応メールで報告だけ入れておこうと思っていた。
「よし。じゃあ向かってくれ」
力が手短にそう言うと、運転手の男は「かしこまりました」…と頷いて、車を発車させた。
冬樹は小さく息を吐くと、読み漁ったファイル等を元の場所へと片付け、書斎を後にした。
書斎の奥の隠し部屋は狭く、一人で籠っているだけでもかなりの熱気だった。なので、リビングへと戻って来ると窓が閉まっていても空気が澄んでいる様な気がして、冬樹は大きく深呼吸をして身体に酸素を取り込んだ。
そうして閉め切った薄暗い部屋の中、ソファに深く腰掛ける。
「………」
暫くじっと目を閉じていた。
半分、眠りかけているのかも知れなかった。
十数分程そうしていただろうか。
だが、静かな空間に突然携帯の着信音が鳴り響いた。
「……っ…」
ハッ…として冬樹は目を開くと、僅かに離れた所にあるテーブル上に置いたバッグの側へと携帯を取りに立つ。
その携帯のディスプレイ画面に表示されていたのは…。
「……力…?」
力の電話番号を携帯に登録したのは、本当につい最近のことだ。
少し前までの自分では考えられないことではあるが、『慣れ』というは凄いもので、今ではそんなに力に対しての拒否反応もなくなっていた。
(でも、こんな朝から何の用だ…?)
冬樹は首を傾げながらも、とりあえず通話ボタンを押した。
それから30分後。
冬樹は駅前のロータリーに来ていた。
少しすると、目の前に一台の見覚えのある高級車がゆっくりと停車する。
後部座席のドアが開くと、
「冬樹っおはよう。早く乗れよっ」
力が笑顔で手招きをした。
とりあえず、運転手にも挨拶をして冬樹は車に乗り込んだ。
流石に一緒に並んで車に乗るのは、狭い空間でもあるし若干緊張したが、この際仕方ないと冬樹は腹をくくった。
「雅耶は呼ばなくて良かったのか?」
別に連れてきても良かったんだぞ?…と、力は何気なく言った。
「ああ、雅耶は…。今日は部活の大会なんだ。空手の…」
本当は、雅耶がいないのは少し心細いけれど。
(雅耶は大事な試合なんだし仕方ない。頼ってばかりいたら駄目だよな…)
下手に心配掛けるのも嫌なので、まだ連絡は入れていない。
空手の試合が始まる頃には携帯も手元にないだろうと踏んで、後で時間を見て一応メールで報告だけ入れておこうと思っていた。
「よし。じゃあ向かってくれ」
力が手短にそう言うと、運転手の男は「かしこまりました」…と頷いて、車を発車させた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる