悪魔と契約した僕は伝説の『ブルオーガ』を右手に宿し、やがて世界最強。

葉月

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第6話 性奴隷

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 螺旋状に続く坂を上ると街を一望できるほど眺めのいい場所に、それは建っている。

 冒険者ギルド――それは魔物の討伐や素材採取に始まり、ダンジョン探索などの依頼を斡旋してくれる場所。

 この世界で最も権力を持つ組織の一つと言っても過言ではない。

 現に世界中に存在するダンジョンの大半はギルドが組織だって管理している、謂わばギルドの所有物である。
 要はダンジョンに入りたければ冒険者登録をしなければいけないということだ。

 だから僕はギルドここにやって来た。

 未だ中途半端に終わったことを根に持っているのか、不機嫌を隠そうともしないリリスと共にギルドの扉をくぐると、すぐに賑わう冒険者たちの姿が飛び込んで来た。

 ギルド内を見渡すと、複数の受付とクエストボード。
 奥は酒場になっているらしく、円卓を囲った屈強な男たちが昼間から一杯引っ掛けていた。

 忙しなくエールなどを販売している売り子たちの姿も確認できる。
 皆10代後半の綺麗なお姉さんたちで、オレンジ色のミニスカートに白のブラウスを着用していることから、売り子の制服なのだろう。

 別段用事もなさそうな冒険者の男たちがこぞってギルドに集まっているのは……彼女たち目当てなのは明白だ。

 なぜなら売り子のスカートの丈は本当に短くて、少し屈んだりするだけでパンチラしていた。
 白いブラウスも生地が薄いのか、お姉さんたちのブラが透けて丸見えだ。

 身を寄せ合うように杯を交わす男たちはイヤらしい顔でそれを眺めているのだが、恥じらうように後ろ手で裾を押さえるお姉さんたちの仕草がそうさせているのだろう。

 そんな男性冒険者たちを見やり、女性冒険者たちは呆れ果てたような冷たい視線を向けている。

 ギルドここは僕の予想に反し、どうやら変態の巣窟のようだ。
 むっつりスケベな男たちの視線を一身に受けて恥じらうお姉さんたちは……とてもエロティックで実に素晴らしい。

 だけど、お姉さんたちに気を取られる僕ではない。
 ウエイトレスのお姉さんたちは確かに綺麗なのだが、僕の傍らには〝超絶美人〟な悪魔お姉さん、リリスが常にいるんだ。

 ほら、男性冒険者のみならず、ギルド中の視線が僕たちに注がれている。

「おい、見ろよ!」
「ああ、どえらいべっぴんだ!」
「あそこまでの美人は見たことない。それに一緒にいる幼女も堪らんな」
「やだ、めっちゃ可愛い」
「姉妹かしら?」
「将来は絶対美人になるわね!」

 僕は男の中の男だというのに、腹ただしい勘違いの声音が聞こえてくる。
 が、今はそんなことを気にしている場合じゃない。
 なんたってジャミコが近づいて来ているかもしれないんだ。

 僕はリリスの腕を掴み、ササッと受付のお姉さんの顔を確認してからカウンターへと向かった。

 なにを確認したのかって?
 そんなものは決まっている。
 顔だ! 一番綺麗なお姉さんが座る受付を選んだまでのこと。

「あの、冒険者登録をしたいんですが……」
「かっ……かわいいいッ!! 可愛すぎます!!」
「えっ……!?」
「なんじゃこの女は?」

 僕の顔を見て2秒ほど固まってしまった受付のお姉さんが、次の瞬間瞳を輝かせてカウンターに身を乗り出してきた。
 突然の大胆かつ積極的なお姉さんの言動に、僕もリリスも思はず一歩身を引いてしまった。

 その間も大きなおっぱいはぷにゅっとカウンターに乗っかっている。

 まるでスライムだ。
 まさか……ブラをつけていないのか?
 いくらなんでもハレンチ過ぎる。

 伸びた黒髪を胸元で三つ編みに結い、髪と同じ色の瞳を大きく見開いてこちらに向けている。
 ギルド職員の制服はタイトスカートなスーツスタイルなのだが、お姉さんは暑いのかジャケットを脱いでいた。

 しかも胸元を大胆に開けた白シャツからはリリスに負けず劣らずの谷間を見せつけてくる。

 完全に僕を誘っているとしか思えない。
 まるで痴女のようなお姉さんだ。
 間違いなく変態の一人だと思う。

「あ、あの……」
「年齢と名前に現在のお住まいはどちらですかちなみに年上はオッケーでしょうか?」
「…………」
「ちなみにちなみに、私のことはシェリルお姉ちゃんとお呼びください! ピチピチの20ですよ」

 戸惑いながらも、もう一度話しかけようとしたのだが……。
 お姉さんのあまりの早口と鼻息荒く興奮する姿に、僕は呆気に取られてしまった。

 聞いてもいないのに年齢と名前まで教えてくれる。
 僕はすぐに確信する。この反応間違いなく変態ショタコンだ。

「第一候補じゃな」
「へっ……!?」

 すると、間を空けずにニヤッと口角を上げたリリスがとんでもないことを口走っている。
 まさか戦えないギルド職員さんをハーレムに入れるなんて……興奮するだろッ!

 だが、それは後回しだ。
 僕は気を取り直して話しを進めた。

「それでその……ダンジョンに潜るために冒険者登録をしたいんですけど」
「あっ! はい、お2人共ですか?」
「はい」
「かしこまりました。ではすぐにご登録の手続きをさせていただきますね」

 言いながら僕に向かってウインクをした。

 ウインクをしただけなら全然いいのだが、冒険者登録をするために必要な書類に名前や年齢などを書いていると……シェリルはそれを覗き込んで自身の手帳に書き込んでいたんだ。

「…………」
「あっ! お気になさらないで下さいね。プライベートなことですので」

 僕が不思議そうにシェリルを見ると、一切悪びれる様子なくそういい放つ。

 まぁ……相手が優しい僕だからいいものの、本来なら大問題なのではないだろうか。

 プライバシーも何もあったものじゃない。

 それからシェリルは何事もなかったように書き写した手帳をそっとしまい、ギルドやダンジョンのことについて教えてくれた。

「……以上になります。登録費用はお一人銅貨5枚となっております。……たしかに、それではこちらが冒険者の証、Fランクの〝タグ〟になります」

 支払いを済ませると、シェリルはカウンターの下から見るからに安そうなゴム製のタグを取り出し、手渡してくれた。

 ついでに自身の住所が書かれている紙切れも渡された。
 おそらくさっき手帳に書いてたのだろう。

 僕が貰った紙切れをポッケにしまうと、シェリルは満足そうに頷いた。

「えーと……これからダンジョンに潜りたいんですが、最初に依頼を受けないといけないんでしょうか? ダンジョンに入るためのランク制限とかってあるんですか?」
「いいえ、冒険者ランクを手っ取り早く上げたいのでしたら依頼をこなされた方が早いですが、単純にダンジョン攻略だけを目的としている方なら問題ないかと」

 なるほど!
 ダンジョンに入るのにランクは関係ないみたいだな。

 それに僕たちには今のところ冒険者ランクは必要ないから、依頼を受ける必要もない。

「それでその……お2人のご関係は……?」
「へっ……?」
「セフレじゃ」
「セフレェェエエエエエエエエッ!?」

 シェリルは僕とリリスの関係が気になったのか、僕の方をチラチラと見ながらリリスに鋭い視線を向けながら尋ねたのだが……。
 ご覧の通り、リリスが言葉を選ばずにストレートな表現をしてしまったせいで、シェリルの驚愕に染まった声がギルド中に響き渡ってしまった。

 そのせいで一瞬ギルド内が静まり返ってしまう。
 それと同時にすべての視線が僕とリリスに向けられている。

「いっ、今のは冗談ですよッ! リリスのブラックジョークですよ! 僕たちは……その、契約上のパートナーなんです!」

 このままでは変態さんだと思われてしまう、だから僕は慌てて取り繕い違うと否定したのに……。

「そうじゃな、そうじゃった。妾はお前さまに至高の快楽を与えるまで、お前さまから解放されないという契約を交わしてしもうたのだったな」

 何言ってんだよこいつッ!
 シェリルもギルドに居るみんなもドン引きしてるじゃないか!!

 って……シェリルはなぜか凄くわくわくした目で僕を見ている。

「おいおい、それって性奴隷ってことなんじゃないのか?」
「幼女だと思ったのに……とんだ鬼畜なガキだぜ」
「羨まし過ぎるだろ!」
「本当に羨ましすぎるわよ!」
「ああ~あんたショタコンだもんね」
「私も一度でいいからショタに遊ばれたいッ!!」

 ぁぁあああああああああああッ!

 資金が貯まるまでの間はこのギルドに通わなきゃイケないと言うのに、完全に変態と思われてしまった。

 でも……待てよ、結果的にこれで良かったのかもしれないな。

 このギルドに出入りする冒険者たちの間できっと僕は有名になってしまうだろ。
 性奴隷契約をする変態冒険者として……。

 一見、凄く不名誉なことのように思うかもしれないが、エロエロパーティーを結成するためには都合がいいんじゃないか?

 なぜなら僕のことをそういう人物だと認識した上で、仲間になりたいと言う者が現れたら……つまりそういうことだろう。

 ピンチをチャンスに、逆境を順境に変えることのできる僕は実に男らしいと思う。

 だから僕はギルド内の連中に見せびらかすようにリリスのおっぱいに顔を埋めてスリスリしてやる。

「あっ、あぁんっ……」

 リリスのイヤらしい声にみんなゴクリと喉をならしている。
 羨ましいだろ?

「羨ましいです」
「へっ……?」

 僕の背後から溜め息混じりの声が聞こえて振り返ると、シェリルが半口を開けて見ている。

 ま……とにかく今はダンジョンで資金を得ることが先だな。


 と、いうことで、僕はリリスを連れてギルドを後にする。
 ギルドを出る間際、シェリルの悲しそうな声が僕の背中越しに響いていた。
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