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三人目の元婚約者は、隣国の王弟殿下
第45話
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クリスティーナが隣国ドルレアンで目覚めてから、五日が過ぎた。
シキの祖父であるリヒトホーフェン公爵家、正確には公爵家が所有する別荘の一つに滞在している。
ようやく体の痛みもひき、体を動かせるようになったのだが。
「ティナ、あーん」
「……」
「ほら、口を開けて?」
「は、恥ずかしいからやめて!」
クリスティーナはベッドの上でふるふると体を震わせ、キッとシキを睨んだ。
けれども、シキがにっこりと笑いながらリンゴが刺さったフォークを、口元に差し出していた。
シキは看病と称して、何かとクリスティーナの傍にいる。
目覚めた直後は、心配して親身になってくれていたのだが、だんだんとからかってくることが増えてきた。
今もこうやって堂々と。
(もう、からかってばかり! でも、きっと食べないって思っているはずだわ)
クリスティーナは悔しいから、差し出されたリンゴをぱくっと食べた。リンゴの甘酸っぱさが口に広がる。
少し驚いて目を丸くしたシキに、してやったりとほくそ笑んだ。
「失礼いたします。シキさま、旦那様と奥様がこちらにご到着されたのですが……」
部屋に入って来たのは、最初に目覚めた時に出会った侍女セリだ。
この別荘の専属の侍女らしく、目覚めてから献身に世話をしてくれている。
「わざわざ来られたのですね」
「シキさま。旦那様と奥様は殿下にご挨拶したいとおっしゃられているのですが……」
少し困ったようにシキを伺うセリに、彼は一つ息をついて、クリスティーナと向き合った。
「ティナ、私の祖父であるモガミ・リヒトホーフェンと公爵夫人のカエデが、皇女殿下に挨拶をしたいそうだが、どうしますか? 静養を理由に断ってもかまいません」
「いいえ。わたくしもお会いしたいわ。わたくしをこちらに置いてくださっているのだもの。ちゃんとお礼を言いたいわ」
「わかりました。セリ、ティナの準備を」
「かしこまりました」
シキの指示通りに、セリがクリスティーナの準備を手伝ってくれた。
シンプルだが上品なドレスが用意され、セリが着飾ってくれる。
準備ができたクリスティーナは、部屋に戻ってきたシキにエスコートされ、この屋敷の応接室へと入った。
そこには、黒髪の一部が美しく白く染まった、渋さがにじみ出る老年の男性と、柔和な顔つきをした上品な年配の女性がいた。
先にクリスティーナに気がついた男性が口元を笑ませた。
「これはこれは、皇女殿下。ご無沙汰しております。モガミ・リヒトホーフェンでございます。こちらは妻のカエデです。覚えておいでですかな?」
「ええ。リヒトホーフェン卿。それに公爵夫人も。その節はお世話になりました」
クリスティーナが計算されつくした美しい微笑を浮かべると、シキがあっ、という表情をした後、苦笑した。
そんな孫の表情を見たカエデがふふ、と笑うと、柔和な顔をクリスティーナに向けた。
「王弟殿下との婚約を破棄された後に、再びお会いできるとは思わなかったわ」
シキの祖父であるリヒトホーフェン公爵家、正確には公爵家が所有する別荘の一つに滞在している。
ようやく体の痛みもひき、体を動かせるようになったのだが。
「ティナ、あーん」
「……」
「ほら、口を開けて?」
「は、恥ずかしいからやめて!」
クリスティーナはベッドの上でふるふると体を震わせ、キッとシキを睨んだ。
けれども、シキがにっこりと笑いながらリンゴが刺さったフォークを、口元に差し出していた。
シキは看病と称して、何かとクリスティーナの傍にいる。
目覚めた直後は、心配して親身になってくれていたのだが、だんだんとからかってくることが増えてきた。
今もこうやって堂々と。
(もう、からかってばかり! でも、きっと食べないって思っているはずだわ)
クリスティーナは悔しいから、差し出されたリンゴをぱくっと食べた。リンゴの甘酸っぱさが口に広がる。
少し驚いて目を丸くしたシキに、してやったりとほくそ笑んだ。
「失礼いたします。シキさま、旦那様と奥様がこちらにご到着されたのですが……」
部屋に入って来たのは、最初に目覚めた時に出会った侍女セリだ。
この別荘の専属の侍女らしく、目覚めてから献身に世話をしてくれている。
「わざわざ来られたのですね」
「シキさま。旦那様と奥様は殿下にご挨拶したいとおっしゃられているのですが……」
少し困ったようにシキを伺うセリに、彼は一つ息をついて、クリスティーナと向き合った。
「ティナ、私の祖父であるモガミ・リヒトホーフェンと公爵夫人のカエデが、皇女殿下に挨拶をしたいそうだが、どうしますか? 静養を理由に断ってもかまいません」
「いいえ。わたくしもお会いしたいわ。わたくしをこちらに置いてくださっているのだもの。ちゃんとお礼を言いたいわ」
「わかりました。セリ、ティナの準備を」
「かしこまりました」
シキの指示通りに、セリがクリスティーナの準備を手伝ってくれた。
シンプルだが上品なドレスが用意され、セリが着飾ってくれる。
準備ができたクリスティーナは、部屋に戻ってきたシキにエスコートされ、この屋敷の応接室へと入った。
そこには、黒髪の一部が美しく白く染まった、渋さがにじみ出る老年の男性と、柔和な顔つきをした上品な年配の女性がいた。
先にクリスティーナに気がついた男性が口元を笑ませた。
「これはこれは、皇女殿下。ご無沙汰しております。モガミ・リヒトホーフェンでございます。こちらは妻のカエデです。覚えておいでですかな?」
「ええ。リヒトホーフェン卿。それに公爵夫人も。その節はお世話になりました」
クリスティーナが計算されつくした美しい微笑を浮かべると、シキがあっ、という表情をした後、苦笑した。
そんな孫の表情を見たカエデがふふ、と笑うと、柔和な顔をクリスティーナに向けた。
「王弟殿下との婚約を破棄された後に、再びお会いできるとは思わなかったわ」
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