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三人目の元婚約者は、隣国の王弟殿下
第52話
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声に出して抗議したくても、ナガトがいる手前できない。
クリスティーナは頬を赤く染め、強がりながらシキの胸にそっと手を置いた。
「こ、婚約者!? 聞いてないぞ!」
「王妃陛下はご存じでしてよ。招待状には祝福の言葉があったわ」
顔面を面白いくらい歪ませたナガトを遮り、失礼いたします、と声をかけてきた貴族の男性がいた。
どうやら国王の側近で、国王と王妃が挨拶をしたいという。
(国王陛下がこの騒ぎに気がついたというところね)
「国王陛下に呼ばれたから、わたくしたちは失礼するわ。ご機嫌よう。お元気で」
「待て……っ」
クリスティーナが嫣然と微笑み背中を見せると、ナガトが追いかけようとしてきたが、控えていた近衛騎士に止められていた。
小さくと溜息をつくと、それに気がついたシキが小声で話しかけてきた。
距離が近いため、甘くて心地よい低音が耳をくすぐる。
「ティナ、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫よ。それより……近いわ」
離れようとシキの肩を押すが、腰をさらに引き寄せられて密着度が増す。
「婚約者同士の距離はこれくらいでしょう」
「ちょっと、こんなに近づかなくても」
「恥ずかしいのですか、ティナ。初心ですね」
「う、初心じゃないわよ。恥ずかしいなんてあるわけないでしょう」
「それでこそ、ティナです。ここからは王妃のテリトリーです。存分に見せつけてあげなくてはなりませんよ」
「イ、イチャイチャを?」
「イチャイチャを」
「……」
恥ずかしくてだんまりを決め込んだクリスティーナだが、相手の思惑が分かっているのだ、後はやりきるだけ。
クリスティーナは呼吸を整えて、シキに挑戦的な目を向けた。
「わかったわ。何を仕掛けてくるかはわからないけれど、返り討ちにしあげなくてわね」
「さすが、私のティナです」
「ふふ、まだあなたのものではないわ。部下としてのあなたは、もうわたくしのものだけど」
蠱惑的な瞳を向ければ、シキの瞳が珍しく揺れて、苦笑した。
「……早く、私のものになって」
囁かれた言葉に熱がこもっているのを感じ、心臓がとくりと鳴った。
そんな自らの内側を悟らせないように微笑みを浮かべ、やがて国王と王妃がいる広間の壇上に上がった。
「ご無沙汰しておりますわ、国王陛下」
「皇女殿下、ご無沙汰しております。ドルレアンへお越しいただきありがとうございます」
にこにこと人のよさそうな笑みを浮かべるのは、ドルレアン国王スオウ・ドルレアンだ。従属国の中でも若い国王の一人で、もうすぐ三十代になる頃だ。
「殿下が急遽ドルレアンに来られたと聞き、こうしてお会いできたこと嬉しく思います。王妃からの招待をうけていただき、ありがとうございます」
国王とは少し離れて立っていたユメノが、こちらに向けてにこりと微笑んだ。
今日のユメノはデコルテを大胆に見せた、オフショルダーの鮮やかなドレスを身にまとっている。小首を傾げれば、癖のない艶やかな長い黒髪がはらりと肩を滑り落ち、そのさまは妖艶ともいえる。
そんなユメノがじっとシキを見つめていた。
クリスティーナは頬を赤く染め、強がりながらシキの胸にそっと手を置いた。
「こ、婚約者!? 聞いてないぞ!」
「王妃陛下はご存じでしてよ。招待状には祝福の言葉があったわ」
顔面を面白いくらい歪ませたナガトを遮り、失礼いたします、と声をかけてきた貴族の男性がいた。
どうやら国王の側近で、国王と王妃が挨拶をしたいという。
(国王陛下がこの騒ぎに気がついたというところね)
「国王陛下に呼ばれたから、わたくしたちは失礼するわ。ご機嫌よう。お元気で」
「待て……っ」
クリスティーナが嫣然と微笑み背中を見せると、ナガトが追いかけようとしてきたが、控えていた近衛騎士に止められていた。
小さくと溜息をつくと、それに気がついたシキが小声で話しかけてきた。
距離が近いため、甘くて心地よい低音が耳をくすぐる。
「ティナ、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫よ。それより……近いわ」
離れようとシキの肩を押すが、腰をさらに引き寄せられて密着度が増す。
「婚約者同士の距離はこれくらいでしょう」
「ちょっと、こんなに近づかなくても」
「恥ずかしいのですか、ティナ。初心ですね」
「う、初心じゃないわよ。恥ずかしいなんてあるわけないでしょう」
「それでこそ、ティナです。ここからは王妃のテリトリーです。存分に見せつけてあげなくてはなりませんよ」
「イ、イチャイチャを?」
「イチャイチャを」
「……」
恥ずかしくてだんまりを決め込んだクリスティーナだが、相手の思惑が分かっているのだ、後はやりきるだけ。
クリスティーナは呼吸を整えて、シキに挑戦的な目を向けた。
「わかったわ。何を仕掛けてくるかはわからないけれど、返り討ちにしあげなくてわね」
「さすが、私のティナです」
「ふふ、まだあなたのものではないわ。部下としてのあなたは、もうわたくしのものだけど」
蠱惑的な瞳を向ければ、シキの瞳が珍しく揺れて、苦笑した。
「……早く、私のものになって」
囁かれた言葉に熱がこもっているのを感じ、心臓がとくりと鳴った。
そんな自らの内側を悟らせないように微笑みを浮かべ、やがて国王と王妃がいる広間の壇上に上がった。
「ご無沙汰しておりますわ、国王陛下」
「皇女殿下、ご無沙汰しております。ドルレアンへお越しいただきありがとうございます」
にこにこと人のよさそうな笑みを浮かべるのは、ドルレアン国王スオウ・ドルレアンだ。従属国の中でも若い国王の一人で、もうすぐ三十代になる頃だ。
「殿下が急遽ドルレアンに来られたと聞き、こうしてお会いできたこと嬉しく思います。王妃からの招待をうけていただき、ありがとうございます」
国王とは少し離れて立っていたユメノが、こちらに向けてにこりと微笑んだ。
今日のユメノはデコルテを大胆に見せた、オフショルダーの鮮やかなドレスを身にまとっている。小首を傾げれば、癖のない艶やかな長い黒髪がはらりと肩を滑り落ち、そのさまは妖艶ともいえる。
そんなユメノがじっとシキを見つめていた。
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