7回目の婚約破棄を成し遂げたい悪女殿下は、天才公爵令息に溺愛されるとは思わない

結田龍

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次兄・第二皇子の画策

第76話

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 まくし立てるようにシキが指摘すると、何のことだ、とレオンハルトが引き気味に言った。


「戦闘中に身を投げ出す行動です。昔は生命力に溢れていたのに、あんな行動を見せられれば生きた心地がしません」

「あれか。記憶喪失になってから見せるようになった行動だ。第三師団の団員にも気をつけるように指示は出している。どうしてそうなってしまったのか、帝国の医師でも不明だと言っているが、恐らく最初の魔力暴走が関連しているだろうな」

「あの時の魔力暴走ですか……」


 シキの脳裏に過去の記憶が浮かび上がる。
 ぽつりと呟くと、声を拾ったレオンハルトが溜息を零した。


「すまない、シキ。またクリスの魔力暴走を止めてもらったな」

「かまいません。私以外に誰が止められますか? むしろ私以外が止めていたら、その者が生きているかどうかわかりませんけど」


 にっこりと微笑めば、レオンハルトが眉根を寄せて渋面を見せた。


「その顔、やめろ。側近が生きた心地がしないだろ。そもそもクリスを止められるのはお前しかいない。それはわかっているだろう? 帝国でも随一の魔力を持っているシキだからこそ、クリスの持つ魔力を抑え込める」

「私がティナの役に立っているのなら本望です。ティナは死にかけていた私に、生きる気力を与えてくれた。病を得たのもこのためかとも思いましたしね。ティナが幸せになるなら何でもしますよ」

「お前は病に伏せていた時の方が、素直で扱い易くてよかった」


 シキは本心を伝えたまでだが、レオンハルトが再び溜息を零した。

 シキは帝国でもトップクラスの魔力保有量を持っているが、それゆえ幼少期は魔力に体を蝕まれ病に伏せていた。
 帝都では悪化するばかりのため、静養のために移り住んだのがザートツェントル公爵家が懇意にしていた、皇妃ロザーラの実家・アルトマイアー公爵家の帝都に近い保養地だった。
 保養地で静養していた時に出会ったのが、レオンハルトとクリスティーナの兄妹。
 この頃より魔導よりも機械に興味が惹かれていたシキだったが、そんなシキと意気投合したのがレオンハルトだ。
 楽しそうな兄たちと一緒にいたがったのがクリスティーナで、彼女自身も機械に興味を示していた。


「シキ、魔力暴走のきっかけは何だ?」

「明確にはわかりません。考えられるのは、ワイバーンに戦空艇が攻撃されたからじゃないかと。ティナは殊更第三師団を大切にしていますからね」

「大切なものを奪われる……そういう心情だったかもしれないな、クリスは」

「そうかもしれません」


 ナウシエト遺跡でのクリスの表情を思い出し、シキは目を伏せた。




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