7回目の婚約破棄を成し遂げたい悪女殿下は、天才公爵令息に溺愛されるとは思わない

結田龍

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次兄・第二皇子の画策

第75話

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「ひと月に渡る任務、ご苦労だった。ザートツェントル副所長」

「戦空艇団総師団長殿。シキ・ザートツェントル、ヴィクトール帝国に帰還いたしました」

「無事で何よりだ。シキ、労いも込めて良いもの取り寄せたのだが」


 皇太子の執務室で、レオンハルトに見せられたのは最高級の紅茶の缶。
 シキが紅茶を好むことを知っていて、時折友人としてティータイムを楽しむ。


「良い茶葉を用意しましたね。レオン、さっそくいただいても?」

「もちろんだ。準備させよう」


 レオンハルトが控えていた側近に渡し、ティータイムの準備が始まる。

 帝国に帰還して間もなく、シキは今回の任務について改めて報告するため皇太子の執務室を訪ねた。
 ここにすぐ来たのは、心配性の兄にいち早く報告するため。
 クリスティーナに対して厳しい態度を見せているが、シキからすれば妹を可愛がっている兄にしか見えない。
 
 二人の母である皇妃ロザーラを亡くしてから、レオンハルトが同母の妹姫を大事にしてきたのを、シキは陰ながらずっと見てきた。
 お茶の準備が整うと、向かい合わせでソファに腰かけた二人は、注がれた香り良い紅茶を口にした。


「さすがですね。香りと苦みのバランスが絶妙です」


 茶葉がいいのはもちろんだが、側近の紅茶の入れ方が上手いのもあるだろう。
 任務の疲れが癒される。
 まさか任務がひと月に渡ることになるとは思わなかったが。


「気に入ってくれて何よりだ。シキ、任務の本来の目的だったナウシエト遺跡はどうだったんだ?」

「文献に書いてあった通り、ロストテクノロジーが存在していましたよ」

「ほう」

「遺跡でロストテクノロジーの解析は済みましたが、その仕組みを再現して実用に耐えられるものにするには、しばらく研究が必要でしょうね」

「新型戦空艇に搭載できそうなのか?」

「可能性は十分にありますよ」

「それは楽しみだな。ところでシキ、任務中の跳ねっ返りの相手は大変だっただろう」


 苦笑交じりに言うレオンハルトに、シキは仕事の表情とは打って変わって甘い表情で言った。


「いいえ。私のお姫様はいつも最高に可愛かったですが」

「お前も年季が入ってるな。アレのどこがいいのだ」

「どこがって、妹思いのレオンなら分かるでしょう? ティナの凛とした佇まいはもちろん、仲間を思い遣る優しさに軍人としての的確な判断。それなのに恋愛に関しては初心で、いつも照れている姿がたまらない」

「お、おう。わかった、わかった」

「それに、好奇心旺盛で行動力があって生き生きとしていて……って、レオン。ティナの時折見せるあの行動は何ですか。いつの間にあんな行動をするようになったのですか?」




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