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悪女殿下の7回目の婚約の行方
第98話
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「私はあの事件であなたの一番近くにいました。トリガーになる確率は十分にありましたし、何よりティナを守れなかったことをずっと後悔していました」
「後悔だなんて……あの時、あの場所であなたが守ってくれなかったら、わたくしは生きていなかったと思うわ。だから、後悔なんてしないで」
ぎゅっと服をつかみ強く訴えると、シキがふわりと微笑んだ。
「そう言ってもらえると嬉しいです。ありがとうございます、ティナ。私だけじゃなく、レオンもあの事件の重荷を背負わせたことに、責任を感じているんですよ」
「お兄様が?」
「ええ。あの場所にいませんでしたからね。兄として守りたかった。そう零していましたよ。だから第二皇子派のこともあったでしょうが、本国にいて記憶が戻ることを心配していたんです」
「もしかして、わたくしを国外と婚約させていたのって……」
「あなたの幸せを願ってことですよ。レオンは妹姫を大事にしていますからね」
「そうだったの……」
まさか兄がそんなことを考えているなんて。
なぜ自分が何度も婚約させられていたのか、やっと理解ができた。
自分が思っていた以上に大事されていることに、兄の気持ちがくすぐたかった。
「私もティナの幸せを願っています。ただ……」
「ただ?」
「本当は、私がティナを幸せにしたいんです」
「シキ……」
シキの真摯な言葉に、クリスティーナの鼓動が跳ねた。
「ティナ。まだ婚約破棄したいですか?」
「どうしてそれを!?」
己の願望がばれていることに、クリスティーナはぐっと押し黙る。
「ティナはこれから魔力コントロールを学ぶ必要があるでしょう? 私なら傍で教えられますが」
「それは、そうね」
「これからも副官として支えますし、研究所に出入りもできますよ? 何より私はティナを軍人として否定しません。ティナが生き生きと幸せそうにしているのを見るのが私の幸せですから。だから、私と婚約してください、ティナ」
熱の籠った瞳で告白され、クリスティーナは目を瞠った。
確かにクリスティーナのアイデンティティーを否定しなかったのはシキだけだ。それはこれまでの婚約者が蔑ろにしてきたもの。
大事にしてくれていたから、彼の傍は居心地が良いと感じていた。
それにシキだけは、最初から触れられていても嫌じゃなかった。
むしろ触れていいのは。
「……こうやって触れるのを許しているのは、シキだけよ。婚約は継続でいいわ」
クリスティーナの返事に、シキの瞳が甘く溶けた。
「ありがとうございます、ティナ。良かった。自分からちゃんと婚約してほしい、って言いたかったんですよね。ティナに先を越されていますから」
「あ、あれは!」
「あ、それもちゃんと思い出しているんですね」
記憶を思い出したティナにすれば、昨日のことのように感じられてしまう恥ずかしい記憶。
にこにこと嬉しそうにこちらを見るシキを見ると、ティナはいたたまれなくなりそっと視線を外した。
「これで堂々とイチャイチャできますね。レオンも安心するでしょう。これからもよろしくお願いしますね、ティナ」
ちゅっ、とかわいらしい音が鳴ったと思った時には、すでに口づけられた後。
ピシリと固まっているクリスティーナの唇に、シキがとんとんと指で触れた。
「今も過去も、ここは私だけのものです。だから誰にも触れさせないで」
シキの言葉に行動に初心なクリスティーナは羞恥心が限界を超えし、顔を見られないように慌ててシキの胸に顔を埋めた。
そんなクリスティーナの行動はシキを喜ばせるだけで、嬉しそうにぎゅっと強く抱きしめられたのは言うまでもない。
「後悔だなんて……あの時、あの場所であなたが守ってくれなかったら、わたくしは生きていなかったと思うわ。だから、後悔なんてしないで」
ぎゅっと服をつかみ強く訴えると、シキがふわりと微笑んだ。
「そう言ってもらえると嬉しいです。ありがとうございます、ティナ。私だけじゃなく、レオンもあの事件の重荷を背負わせたことに、責任を感じているんですよ」
「お兄様が?」
「ええ。あの場所にいませんでしたからね。兄として守りたかった。そう零していましたよ。だから第二皇子派のこともあったでしょうが、本国にいて記憶が戻ることを心配していたんです」
「もしかして、わたくしを国外と婚約させていたのって……」
「あなたの幸せを願ってことですよ。レオンは妹姫を大事にしていますからね」
「そうだったの……」
まさか兄がそんなことを考えているなんて。
なぜ自分が何度も婚約させられていたのか、やっと理解ができた。
自分が思っていた以上に大事されていることに、兄の気持ちがくすぐたかった。
「私もティナの幸せを願っています。ただ……」
「ただ?」
「本当は、私がティナを幸せにしたいんです」
「シキ……」
シキの真摯な言葉に、クリスティーナの鼓動が跳ねた。
「ティナ。まだ婚約破棄したいですか?」
「どうしてそれを!?」
己の願望がばれていることに、クリスティーナはぐっと押し黙る。
「ティナはこれから魔力コントロールを学ぶ必要があるでしょう? 私なら傍で教えられますが」
「それは、そうね」
「これからも副官として支えますし、研究所に出入りもできますよ? 何より私はティナを軍人として否定しません。ティナが生き生きと幸せそうにしているのを見るのが私の幸せですから。だから、私と婚約してください、ティナ」
熱の籠った瞳で告白され、クリスティーナは目を瞠った。
確かにクリスティーナのアイデンティティーを否定しなかったのはシキだけだ。それはこれまでの婚約者が蔑ろにしてきたもの。
大事にしてくれていたから、彼の傍は居心地が良いと感じていた。
それにシキだけは、最初から触れられていても嫌じゃなかった。
むしろ触れていいのは。
「……こうやって触れるのを許しているのは、シキだけよ。婚約は継続でいいわ」
クリスティーナの返事に、シキの瞳が甘く溶けた。
「ありがとうございます、ティナ。良かった。自分からちゃんと婚約してほしい、って言いたかったんですよね。ティナに先を越されていますから」
「あ、あれは!」
「あ、それもちゃんと思い出しているんですね」
記憶を思い出したティナにすれば、昨日のことのように感じられてしまう恥ずかしい記憶。
にこにこと嬉しそうにこちらを見るシキを見ると、ティナはいたたまれなくなりそっと視線を外した。
「これで堂々とイチャイチャできますね。レオンも安心するでしょう。これからもよろしくお願いしますね、ティナ」
ちゅっ、とかわいらしい音が鳴ったと思った時には、すでに口づけられた後。
ピシリと固まっているクリスティーナの唇に、シキがとんとんと指で触れた。
「今も過去も、ここは私だけのものです。だから誰にも触れさせないで」
シキの言葉に行動に初心なクリスティーナは羞恥心が限界を超えし、顔を見られないように慌ててシキの胸に顔を埋めた。
そんなクリスティーナの行動はシキを喜ばせるだけで、嬉しそうにぎゅっと強く抱きしめられたのは言うまでもない。
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