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奇跡だわ、あきらめていた治ること
第73話
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「はあ!? アンタが王太子だって!?」
ロークが頬をかきつつにこりと笑えば、ジャンはあごが外れるくらい口をぱかりと開けた。
そうよね、びっくりするわよね。あの時、偽名を使っていたし。
ウルズの泉へ訪れてから一週間ほど経った。
私とロークはメルヴィン様を伴って、再びシノレス村を訪れていた。
「ジャン、お前ローク様に会っておったのか!?」
驚いた声を出したのは、ジャンの隣にいる村長さん。
ジャンのお父様だと紹介された。
村長さんの屋敷の応接室で、私たちは向かい合っていた。
「そうなんだよ、親父。以前この村に立ち寄られたんだ。その時は身分を隠しておいでで……」
「驚かせてすまない」
「い、いや! 滅相もございません」
「俺としては前回の時のようにフランクに話してもらえる方が助かるんだが」
「え、えっと……」
「ローク様は戦にも出て、兵士と割とフランクに話していたんですよ。不敬にはなりませんから、安心してくださっていいですよ」
「ああ! カスタリアの雷火!」
メルヴィン様の言葉にジャンが反応した。
やっぱりランドリックの国民にはこの二つ名が浸透している。私も同じように言ったもの。
ロークがいかに国民に人気があるか、よくわかる。
「そういうことなら……前回みたいに話すよ。ローク様はまた何でこの村に?」
「この村で頼みたいことがあって来たんだ」
「頼みたいこと?」
「ああ。単刀直入に言わせてもらう。この村を中心とし、周辺の村とで協力して農地改革をしたい」
ロークが王者然とした力強い双眸で、ジャンと村長を見た。
けれど、ジャンは眉をひそめた。
「農地改革!? いや、でも前も言ったが、ここは根腐れをおこしてしまう悪い土だぞ? 収穫が増えるとは思えねえが……」
「それを解決する方法を見つけたんだ」
「え、本当に!? あの時調査に来ていたが、何かわかったってことか!?」
ジャンが目を丸くして、次にロークのそばに控えていた私を見た。
「はい。わかりました。ヒントはあの不思議な農地だったんです」
「この村の?」
「そうです。水質鑑定をしながら、あの農地に染み出る水を辿ったんです。そうしたら、竜神ウルズの泉とつながっていました」
「竜神様の泉ですか!?」
息を飲んだのは村長さんだった。
「親父、竜神様の泉ってまさか……」
「そのまさかだ。いにしえから伝わっている伝説の泉のことだ。場所はわからなかったが、この村の近くにあったのか!」
「そうなんです。そこで竜神ウルズと話し合うことができ、泉の力を使わせてもらえることになりました」
「はあ!? 竜神様と話しただって!?」
ジャンはまたもあごが外れるくらい口をぱかりと開けた。
村長さんも信じられないと目が言っている。
「えっと、なかなか信じられないですよね。これがウルズからもらった竜神石です」
私は腕につけたブレスレットを見せた。
スクルドのアメジストとカナリーダイヤモンドがあり、新たに加わったウルズのアクアマリンが輝いている。
これで信じてもらえるかしら?
ロークが頬をかきつつにこりと笑えば、ジャンはあごが外れるくらい口をぱかりと開けた。
そうよね、びっくりするわよね。あの時、偽名を使っていたし。
ウルズの泉へ訪れてから一週間ほど経った。
私とロークはメルヴィン様を伴って、再びシノレス村を訪れていた。
「ジャン、お前ローク様に会っておったのか!?」
驚いた声を出したのは、ジャンの隣にいる村長さん。
ジャンのお父様だと紹介された。
村長さんの屋敷の応接室で、私たちは向かい合っていた。
「そうなんだよ、親父。以前この村に立ち寄られたんだ。その時は身分を隠しておいでで……」
「驚かせてすまない」
「い、いや! 滅相もございません」
「俺としては前回の時のようにフランクに話してもらえる方が助かるんだが」
「え、えっと……」
「ローク様は戦にも出て、兵士と割とフランクに話していたんですよ。不敬にはなりませんから、安心してくださっていいですよ」
「ああ! カスタリアの雷火!」
メルヴィン様の言葉にジャンが反応した。
やっぱりランドリックの国民にはこの二つ名が浸透している。私も同じように言ったもの。
ロークがいかに国民に人気があるか、よくわかる。
「そういうことなら……前回みたいに話すよ。ローク様はまた何でこの村に?」
「この村で頼みたいことがあって来たんだ」
「頼みたいこと?」
「ああ。単刀直入に言わせてもらう。この村を中心とし、周辺の村とで協力して農地改革をしたい」
ロークが王者然とした力強い双眸で、ジャンと村長を見た。
けれど、ジャンは眉をひそめた。
「農地改革!? いや、でも前も言ったが、ここは根腐れをおこしてしまう悪い土だぞ? 収穫が増えるとは思えねえが……」
「それを解決する方法を見つけたんだ」
「え、本当に!? あの時調査に来ていたが、何かわかったってことか!?」
ジャンが目を丸くして、次にロークのそばに控えていた私を見た。
「はい。わかりました。ヒントはあの不思議な農地だったんです」
「この村の?」
「そうです。水質鑑定をしながら、あの農地に染み出る水を辿ったんです。そうしたら、竜神ウルズの泉とつながっていました」
「竜神様の泉ですか!?」
息を飲んだのは村長さんだった。
「親父、竜神様の泉ってまさか……」
「そのまさかだ。いにしえから伝わっている伝説の泉のことだ。場所はわからなかったが、この村の近くにあったのか!」
「そうなんです。そこで竜神ウルズと話し合うことができ、泉の力を使わせてもらえることになりました」
「はあ!? 竜神様と話しただって!?」
ジャンはまたもあごが外れるくらい口をぱかりと開けた。
村長さんも信じられないと目が言っている。
「えっと、なかなか信じられないですよね。これがウルズからもらった竜神石です」
私は腕につけたブレスレットを見せた。
スクルドのアメジストとカナリーダイヤモンドがあり、新たに加わったウルズのアクアマリンが輝いている。
これで信じてもらえるかしら?
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