127 / 140
断罪だ。この者たちをひっ捕らえよ!
第127話
しおりを挟む
「冤罪だ! シャーロットに限ってそんなはずはなかろう!?」
「残念だが、衛兵から証言が取れている。いい加減娘の浅はかさに気が付いたらどうだ」
「浅はかだと……! 娘への侮辱はたとえ王太子殿下でも許しませんぞ! このオズウェンがあらん限りの力を見せつけましょうか、殿下!」
「そうよ! わたくしたちオズウェン公爵家を敵に回してもいいと思っていて!? なぜわたくしが断罪されなくてはならないのよ!? たかが、王宮にあった泉の水でというだけで!」
「……シャーロット様。たかが、とおっしゃいましたか?」
自分でも思ってもみないくらい低い声が出た。
「はあ?」
「シャーロット様。加護の泉に対して、たかが、とおっしゃいましたか!?」
この方は何もわかっていない!
水術師として、加護の泉への軽視を許せるわけがなかった。
「な、何よ、無礼だわ! わたくしは何も間違っていない。王宮にあるちょっと力のある泉だったということだけでしょう!?」
「いいえ、いいえ。シャーロット様。加護の泉は王宮にとって、いえ、この国にとってとても大事な泉でございます。加護の泉は結果を張り、領域を常に良い状態に保つのに最高レベルの力を持つものです。この国にはそういった泉が点在し、この国を常に守っているのです。だからこそ、王宮にある重要な泉は使ってはならないのです」
「し、知らないわ、そんなの!」
「知らないでは済まされません! それに、この泉はいにしえに存在した聖女が竜神に願い、その力を借りて作られた由緒正しい泉なのです」
毅然と言い放てば、シャーロット様は口をぱくぱくとさせ、言い返す余裕もないようだ。
だけど、代わりにかみついてきたのはヘンリエッタだった。
「シャーロット様に偉そうに言わないで、この恥知らずが! 王宮を追放されたくせに!」
「何だと……? そうか。その娘はシャーロットを誘拐した罪で、王宮を追放した小娘か!」
ヘンリエッタの言葉に勢いづいたのは、宰相閣下だった。
私の顔を見てニヤリと笑った。
「そうか、そうか……殿下、お気をしっかりお持ちください。たぶらかされておりますぞ、この罪人に!」
「宰相、それは違うだろう!」
「この宰相であるオズウェンがお救いしましょう。小娘を、ひっ捕らえよ!」
『捕らえてあげるよ、お望み通りに』
声が聞こえたとたん、腕につけたブレスレットが熱く反応した。
スクルドの竜神石が、まばゆい光を放ち輝きだす。
ひと際強い光を放った後、目の前にスクルドが現れた。
瞬間、スクルドから水のムチのようなものが飛び出し、宰相閣下を捕縛した。
ぎりりと締め付けているそれは、宰相閣下の呼吸を奪っているように見えた。
「だ、誰だ!? ぐっ! く、苦しい……っ」
『こんなヤツが国の中枢に据わっていたのか。笑っちゃうよね。お前の娘が悪しざまに言った加護の泉は、僕たち竜神の泉なんだよね』
スクルドがニヤリと笑い、さらに力を込めたのか、宰相閣下はさらに苦しみだした。
スクルド、やりすぎだわ!
このままでは……っ。
「残念だが、衛兵から証言が取れている。いい加減娘の浅はかさに気が付いたらどうだ」
「浅はかだと……! 娘への侮辱はたとえ王太子殿下でも許しませんぞ! このオズウェンがあらん限りの力を見せつけましょうか、殿下!」
「そうよ! わたくしたちオズウェン公爵家を敵に回してもいいと思っていて!? なぜわたくしが断罪されなくてはならないのよ!? たかが、王宮にあった泉の水でというだけで!」
「……シャーロット様。たかが、とおっしゃいましたか?」
自分でも思ってもみないくらい低い声が出た。
「はあ?」
「シャーロット様。加護の泉に対して、たかが、とおっしゃいましたか!?」
この方は何もわかっていない!
水術師として、加護の泉への軽視を許せるわけがなかった。
「な、何よ、無礼だわ! わたくしは何も間違っていない。王宮にあるちょっと力のある泉だったということだけでしょう!?」
「いいえ、いいえ。シャーロット様。加護の泉は王宮にとって、いえ、この国にとってとても大事な泉でございます。加護の泉は結果を張り、領域を常に良い状態に保つのに最高レベルの力を持つものです。この国にはそういった泉が点在し、この国を常に守っているのです。だからこそ、王宮にある重要な泉は使ってはならないのです」
「し、知らないわ、そんなの!」
「知らないでは済まされません! それに、この泉はいにしえに存在した聖女が竜神に願い、その力を借りて作られた由緒正しい泉なのです」
毅然と言い放てば、シャーロット様は口をぱくぱくとさせ、言い返す余裕もないようだ。
だけど、代わりにかみついてきたのはヘンリエッタだった。
「シャーロット様に偉そうに言わないで、この恥知らずが! 王宮を追放されたくせに!」
「何だと……? そうか。その娘はシャーロットを誘拐した罪で、王宮を追放した小娘か!」
ヘンリエッタの言葉に勢いづいたのは、宰相閣下だった。
私の顔を見てニヤリと笑った。
「そうか、そうか……殿下、お気をしっかりお持ちください。たぶらかされておりますぞ、この罪人に!」
「宰相、それは違うだろう!」
「この宰相であるオズウェンがお救いしましょう。小娘を、ひっ捕らえよ!」
『捕らえてあげるよ、お望み通りに』
声が聞こえたとたん、腕につけたブレスレットが熱く反応した。
スクルドの竜神石が、まばゆい光を放ち輝きだす。
ひと際強い光を放った後、目の前にスクルドが現れた。
瞬間、スクルドから水のムチのようなものが飛び出し、宰相閣下を捕縛した。
ぎりりと締め付けているそれは、宰相閣下の呼吸を奪っているように見えた。
「だ、誰だ!? ぐっ! く、苦しい……っ」
『こんなヤツが国の中枢に据わっていたのか。笑っちゃうよね。お前の娘が悪しざまに言った加護の泉は、僕たち竜神の泉なんだよね』
スクルドがニヤリと笑い、さらに力を込めたのか、宰相閣下はさらに苦しみだした。
スクルド、やりすぎだわ!
このままでは……っ。
0
あなたにおすすめの小説
聖女は王子たちを完全スルーして、呪われ大公に強引求婚します!
葵 すみれ
恋愛
今宵の舞踏会は、聖女シルヴィアが二人の王子のどちらに薔薇を捧げるのかで盛り上がっていた。
薔薇を捧げるのは求婚の証。彼女が選んだ王子が、王位争いの勝者となるだろうと人々は囁き交わす。
しかし、シルヴィアは薔薇を持ったまま、自信満々な第一王子も、気取った第二王子も素通りしてしまう。
彼女が薔薇を捧げたのは、呪われ大公と恐れられ、蔑まれるマテウスだった。
拒絶されるも、シルヴィアはめげない。
壁ドンで追い詰めると、強引に薔薇を握らせて宣言する。
「わたくし、絶対にあなたさまを幸せにしてみせますわ! 絶対に、絶対にです!」
ぐいぐい押していくシルヴィアと、たじたじなマテウス。
二人のラブコメディが始まる。
※他サイトにも投稿しています
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
日向はび
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
追放された落ちこぼれ令嬢ですが、氷血公爵様と辺境でスローライフを始めたら、天性の才能で領地がとんでもないことになっちゃいました!!
六角
恋愛
「君は公爵夫人に相応しくない」――王太子から突然婚約破棄を告げられた令嬢リナ。濡れ衣を着せられ、悪女の烙印を押された彼女が追放された先は、"氷血公爵"と恐れられるアレクシスが治める極寒の辺境領地だった。
家族にも見捨てられ、絶望の淵に立たされたリナだったが、彼女には秘密があった。それは、前世の知識と、誰にも真似できない天性の《領地経営》の才能!
「ここなら、自由に生きられるかもしれない」
活気のない領地に、リナは次々と革命を起こしていく。寂れた市場は活気あふれる商業区へ、痩せた土地は黄金色の麦畑へ。彼女の魔法のような手腕に、最初は冷ややかだった領民たちも、そして氷のように冷たいはずのアレクシスも、次第に心を溶かされていく。
「リナ、君は私の領地だけの女神ではない。……私だけの、女神だ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる