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「……っ」
私は思わず下を向いた。誰かから力になりたいなんて気にかけてもらったのいつぶりだろう。お母さんからはずっと「自分はこれだけ苦労してるから、あんたは私を助けるのよ」って言われてばっかりだし、誰かが私を気にかけてくれることなんてなかったのに。
目頭が熱くなってくる。
嫌だな。何でこんな急に現れた同級生前にこんな情けない姿してるんだろ。
「……星野若葉?」
貴司くんが不思議そうに顔を覗き込んだ。
「だから、今飯塚だってば。……何でフルネーム呼びなのよぉ」
そういえば昔から貴司君は私のことをフルネームで呼んでた。
何でだろう。
そんなどうでもいい疑問を考えているのに、ぼたぼたと水滴が頬を流れた。
「悪い、だって名前で呼ぶとか……照れ……ってお前泣いてんの!?」
貴司くんが顔を押さえていた私の手をぐいっと引っ張った。目と目が合う。
「ちょっと、調子が狂っただけだから……」
そう言って身体の向きを変えようとするも、手を持たれてるので身動きができない。
そのままバランスを崩して彼の方へ倒れ込んだ。
「っ危ねーなぁ」
貴司くんはそのまま私を抱きとめると、ぎゅっと背中に回して手に力を込めた。
「……何で泣いてんの?」
「別に、ちょっと気が緩んだっていうか……」
押し付けられるシャツ越しの胸は、がっしりしていた。
昔だったら絶対ぽよんって跳ねる感じだったのに。
よしよしと子どもをあやす様に頭を撫でられるので、涙腺がますます緩んだ。
何この安心感。
ついさっき10年ぶりくらいに会った相手なのに馬鹿みたいじゃない。
「ごめん、放っておいてくれていいから……」
そう言いながら離れようとする私を貴司くんが真剣な眼差しで見つめる。
「いや、そんなん放っておけるわけないじゃん……」
貴司くんは私の頭を撫でながら顔を近づけた。いつの間にか唇と唇がくっついた。
「……っ」
びっくりして貴司くんの肩をどんっと押すと、貴司くんも驚いた顔で私を見つめていた。
何で貴司くんも驚いてるのよ。
今、キスしましたよね。
「俺」
貴司くんが私を見つめる。
「今でもお前のこと好きみたいだ」
「え」っという私の言葉は再び重ねられた唇で塞がれた。
「ぁ……っ」
息を漏らした隙間から、生暖かい感触がして、貴司くんの舌が私のに絡みついた。
……不快な気はしない。
気づくと、私は力を抜いてそれを受け入れていた。
ちゅっ、ちゅっと唇を合わせる音が和室に響く。
……これは、このまま続けるとまずいかな……、と冷静な部分では思いつつも、私は抗うことなくそれを受け入れていた。
その時、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
がばっと貴司くんと私は身体を話した。
「……誰?」
貴司くんが気まずそうに聞く。
「……誰だろう」
「飯塚さん!? いるんでしょ!?」
扉の向こうから不機嫌そうな女の人の声が聞こえた。
「大家さん……!?」
私は立ち上がると慌てて扉を開けた。目の前にいるのは、眉間に皺を寄せた近くに住むアパートの大家のおばさんだった。
「ちょっと、建物の前の車、あなたのお友達の車!?」
はっとした。貴司くんが乗ってきた車は確かアパートの目の前に止めてあったはずだ。
うちのアパートに駐車場はない。
「ゴミ捨て場のところ塞いでるって苦情があったから来てみれば……!」
大家さんは私の後ろの貴司くんの姿を見てさらに眉を吊り上げた。
「お友達呼んでもいいですけどね! 車は駄目よ! どっかそのへんの駐車場に止めてきてもらいなさい!」
「すいません」
私は深く頭を下げた。
「全く、怪我だからって家賃滞納してるの、待ってあげてるのに、困りますからね!」
大家さんはぷりぷりしながら、立ち去って行った。
「貴司くん……車……」
はぁ、とため息をついて振り返ると、貴司くんは気まずそうにいったん私を見てから、視線を逸らして「ああ」と呟いた。
「ごめん、それより、さっき」
「うん、気にしてない、何かの間違いだよね」
「間違いじゃない! 俺、今もお前が好きみたいだ」
……、そんなことある?
だってテレビに出てキャーって言われてるような人だよ。
いくら昔同級生だったからって。
私は押し黙って、俯いた。
しばらくそうしていると、お腹が鳴った。
「――腹減った? 食べてないの、夕食」
納豆買って帰って食べようと思ったけど、まだ食べていない。
私はこくっと頷いた。
「何か食べに行こっか」
貴司くんはにっと笑うと、車のキーを指で回した。
私は思わず下を向いた。誰かから力になりたいなんて気にかけてもらったのいつぶりだろう。お母さんからはずっと「自分はこれだけ苦労してるから、あんたは私を助けるのよ」って言われてばっかりだし、誰かが私を気にかけてくれることなんてなかったのに。
目頭が熱くなってくる。
嫌だな。何でこんな急に現れた同級生前にこんな情けない姿してるんだろ。
「……星野若葉?」
貴司くんが不思議そうに顔を覗き込んだ。
「だから、今飯塚だってば。……何でフルネーム呼びなのよぉ」
そういえば昔から貴司君は私のことをフルネームで呼んでた。
何でだろう。
そんなどうでもいい疑問を考えているのに、ぼたぼたと水滴が頬を流れた。
「悪い、だって名前で呼ぶとか……照れ……ってお前泣いてんの!?」
貴司くんが顔を押さえていた私の手をぐいっと引っ張った。目と目が合う。
「ちょっと、調子が狂っただけだから……」
そう言って身体の向きを変えようとするも、手を持たれてるので身動きができない。
そのままバランスを崩して彼の方へ倒れ込んだ。
「っ危ねーなぁ」
貴司くんはそのまま私を抱きとめると、ぎゅっと背中に回して手に力を込めた。
「……何で泣いてんの?」
「別に、ちょっと気が緩んだっていうか……」
押し付けられるシャツ越しの胸は、がっしりしていた。
昔だったら絶対ぽよんって跳ねる感じだったのに。
よしよしと子どもをあやす様に頭を撫でられるので、涙腺がますます緩んだ。
何この安心感。
ついさっき10年ぶりくらいに会った相手なのに馬鹿みたいじゃない。
「ごめん、放っておいてくれていいから……」
そう言いながら離れようとする私を貴司くんが真剣な眼差しで見つめる。
「いや、そんなん放っておけるわけないじゃん……」
貴司くんは私の頭を撫でながら顔を近づけた。いつの間にか唇と唇がくっついた。
「……っ」
びっくりして貴司くんの肩をどんっと押すと、貴司くんも驚いた顔で私を見つめていた。
何で貴司くんも驚いてるのよ。
今、キスしましたよね。
「俺」
貴司くんが私を見つめる。
「今でもお前のこと好きみたいだ」
「え」っという私の言葉は再び重ねられた唇で塞がれた。
「ぁ……っ」
息を漏らした隙間から、生暖かい感触がして、貴司くんの舌が私のに絡みついた。
……不快な気はしない。
気づくと、私は力を抜いてそれを受け入れていた。
ちゅっ、ちゅっと唇を合わせる音が和室に響く。
……これは、このまま続けるとまずいかな……、と冷静な部分では思いつつも、私は抗うことなくそれを受け入れていた。
その時、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
がばっと貴司くんと私は身体を話した。
「……誰?」
貴司くんが気まずそうに聞く。
「……誰だろう」
「飯塚さん!? いるんでしょ!?」
扉の向こうから不機嫌そうな女の人の声が聞こえた。
「大家さん……!?」
私は立ち上がると慌てて扉を開けた。目の前にいるのは、眉間に皺を寄せた近くに住むアパートの大家のおばさんだった。
「ちょっと、建物の前の車、あなたのお友達の車!?」
はっとした。貴司くんが乗ってきた車は確かアパートの目の前に止めてあったはずだ。
うちのアパートに駐車場はない。
「ゴミ捨て場のところ塞いでるって苦情があったから来てみれば……!」
大家さんは私の後ろの貴司くんの姿を見てさらに眉を吊り上げた。
「お友達呼んでもいいですけどね! 車は駄目よ! どっかそのへんの駐車場に止めてきてもらいなさい!」
「すいません」
私は深く頭を下げた。
「全く、怪我だからって家賃滞納してるの、待ってあげてるのに、困りますからね!」
大家さんはぷりぷりしながら、立ち去って行った。
「貴司くん……車……」
はぁ、とため息をついて振り返ると、貴司くんは気まずそうにいったん私を見てから、視線を逸らして「ああ」と呟いた。
「ごめん、それより、さっき」
「うん、気にしてない、何かの間違いだよね」
「間違いじゃない! 俺、今もお前が好きみたいだ」
……、そんなことある?
だってテレビに出てキャーって言われてるような人だよ。
いくら昔同級生だったからって。
私は押し黙って、俯いた。
しばらくそうしていると、お腹が鳴った。
「――腹減った? 食べてないの、夕食」
納豆買って帰って食べようと思ったけど、まだ食べていない。
私はこくっと頷いた。
「何か食べに行こっか」
貴司くんはにっと笑うと、車のキーを指で回した。
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