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二章
16★
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王城内、使われなくなった家具置き場の地下一階で、男の股間に顔を寄せ床に座り込む魔女がいる。
それは男の立ち上がったモノを露出させ、いやらしく唾液を垂らしていた。だが、人差し指と中指で支えるそれは勃ってはいるが、まだ完全に乗り気ではないらしい。若干元気が無いし、男はガタガタと椅子を揺らしている。
「お、お前! こんな時にこんな場所でこんなこと! 本当に馬鹿なのか……!?」
「ふぇ? あぁ、雰囲気が足りないって? 仕方ないな……」
先程までその場を支配していたはずの陰鬱な空気は、すっかり別のものに成り代わっていた。
滑りの良くなったそこを指で弄りながら、魔女はもう片方の手を振る。するとカビ臭かった室内が浄化され、なんと粉々になった家具と鉄扉が逆再生するが如く元に戻り、収まる場所へ収まった。
「豚はもう二度と目が届かない所へ捨ててきて」
影がぐるりと回って消える。
男は目の前で繰り広げられる驚異的な現象に目を剥くが、それ以上に自身に走る甘い刺激に驚いていた。
身体が快感の拾い方を学習してしまっている――!
「やめろ、俺で遊ぶな! 雰囲気とかそういう問題じゃ――」
男は一層強くガタガタと椅子を揺らした。そんな抵抗に魔女は舌打ちする。
「君、さっきから腕が痛い。言っただろう、私は痛いのが嫌いなんだ。解いてやるから喘いでろ」
魔女が指を鳴らすと男の足や腕を縛り付けていた縄が解けた。だがそれを聞いて大人しくしていられる男でも状況でもない。
「そんなの無理に決まってるだろっ」
当然、男は早速魔女のその手と頬を掴んで力を入れた。無駄な抵抗であろうと、股間から少しでも離れてほしかったのだ。
だからそれは必然という名の偶然だった。魔女の耳に指が触れた瞬間、男に仰け反るような電流が走る。
「!?」
そしてその目に――いつも涼しげで余裕ぶっているはずの魔女の――戦慄く口元が飛び込んできた。
「え……?」
何故か胸の内に喜びが生まれ、男は恐る恐る魔女に問いかける。
「お前のここ、今の俺と同じくらい感じてるのか……?」
それは流石に男が刺激に慣れていないだとか、魔女にとって何ともない行為だとか、そう捉えるには難しかった。男の考えを裏付けるように魔女は俯き動きを止め、小刻みに震えたまま――答えない。
「なぁ、……きもちいい?」
男の胸は高鳴っていた。
こんな俺でも、与えられる何かがあるのなら。これも悪くないのかも知れない――。
すりすりと、魔女の耳を左右同時に万遍なく愛撫する。男は自分に伝わる耳からうなじ、そして背筋を飛び越え股間に響く電流に堪らず息を吐き出した。
「は、ぁぁ……、ぅ……痛っ!」
そして突然舌に痛みが走る。男はそれが魔女によるものだと瞬時に理解し、慌ててその口に指を差し入れ覗く。
「お前……、何で舌なんて噛むんだ……」
魔女の開け広げられた口内の舌先に、赤い色素が滲んでいた。男は戸惑う。魔女が考えること、したいことが理解できない。
せめて表情を、と思っても阻害によって認識すら出来ない。声も聞かせてくれない。
良くないのか?
「なぁ……、どうして欲しい……?」
目の前の魔女の舌が動いて、唾液で赤い色素を拭った。チリリとした痛みが共有され、何故かそれが誘っているようで、男は唇を寄せようと――。
「――っ調子に乗るなよ、アルトス」
地を這うような、凄みのある声で魔女は制した。口に手のひらがあてがわれ、男の口内にコロリと何かが放り込まれる。
「うん……?」
男は口内のそれを転がして、その正体が何なのか気が付いた。
――イチゴ味の飴玉。
「安心しろ、ただの飴だ。少しでも感謝の気持ちがあるのなら、馬鹿やってないで射精して私を満足させろ。このヘタクソ」
魔女はそう吐き捨てると唇から舌を覗かせて笑う。
「勝手に使え。私はもう動かない」
「な――」
そして誘うように男のそそり立つモノの先端、窪みに舌先をチロチロと這わせ、ピタリと止めた。舌を伸ばしぽっかりと口を開けたまま待つ魔女に、徐々に男の息が上がってくる。舌を伝う魔女の唾液と男の先走りが混ざり垂れ、椅子の座面に水溜まりが広がっていく。
「感謝って……、……くっ……!」
遂に観念したのか、それとも煽られたのか。男は魔女の頬に添えていた両手を後頭部に差し込んで、躊躇いながら――その頭をゆっくりと己の股間に沈めていく。
「あ、ぅ、ん……、うっ……!」
男に主導権を委ねた、魔女の口淫が始まった。
感覚を共有しているため、息が苦しければすぐわかる。それに安心して男は魔女の柔らかな口内をゆるゆると往復する。魔女は男の良い場所を完全に把握し舌を這わせ、時々吸い付き、淫猥に舌だけで扱きあげた。
「ん、んっ、んっ、ふっ」
頬を染め荒い吐息を吐き出しながら、男は驚愕する。
こいつ――口の中も感じるのか?
自分が魔女の口内を犯しているはずなのに、自分の口内が犯されているような疑似体験。飴玉がそれを助長させていた。口の中の快楽を追いかけるように男は飴を転がす。
こ、こんなのを知ってしまったら、戻れなくなるんじゃ……。
そう危ぶみながらも男は再び魔女の両耳を弄り始めた。耳たぶを親指と中指で優しく擦りながら、人差し指で輪郭をなぞって――。
「あ、ああっ!」
魔女がまた震えた気がした。そして急に刺すような快感が身体に走り、男の腰が跳ねた。そのせいで魔女の口内をより一層深く抉り、喉奥にも耐えきれない電流が走る。
「くぅっ!!!」
男は飴玉を噛み砕いて、夢中で腰を突き上げた。
「あ、んっ、きもち、きもちいいっ! あ、あっ、もう、いきそう、いく、い、あっ!」
裏筋を舐め上げられ、眉根を寄せ我慢する。
「くち、離して、でる、でるからっ! きたないから、ね、早く、はなして、吸わないでっ」
魔女は卑猥な音を立てながら吸い付き、離れようとしない。音と行為でどんどん追い詰め、男はその意図を理解し甘い誘惑に劣情を煽られる。
あっ、あっ、いく、いくイくイクイク!
「だめだって、も、これ以上、耐えられな、おねがい! はなして、ぐぅっ! んんぅぅーっ!!!」
遂に男の理性が、飛んだ。
「でるぅぅぅぅっ!!!」
もう遠慮は無かった。男は自分のためだけに魔女の喉奥に自身を思い切り押し付け、勢いよく吐精する。
「ああああああぁ!! ああ! ああ!!」
男は震える魔女の頭を抱え込んだ。
「でてる! おまえのくちに! おれのせーし、びゅるびゅるでてるぅっ!!」
悦びと愉悦が男の声音に乗る。そして魔女が白濁を嚥下するのに合わせ、男も喉を反らし口に溶けた甘味を飲み込んだ。
きもちいいっ――!!
「んん、あっ……、あっ……、はぁ……、あぁ……これ、あぁっ……」
男の喉仏が何度か上下し、天井に向けたその表情は恍惚に染まる。ようやく口を離した魔女もくたりと男の太ももに頭を預けて、満足げに呟いた。
「口淫童貞卒業おめでとう、アルトス」
息を荒げ、男と同じ空気を吸う。目だけで見上げた、貪欲に快楽を貪る男の姿に、魔女は喜びを隠せなかった――。
それは男の立ち上がったモノを露出させ、いやらしく唾液を垂らしていた。だが、人差し指と中指で支えるそれは勃ってはいるが、まだ完全に乗り気ではないらしい。若干元気が無いし、男はガタガタと椅子を揺らしている。
「お、お前! こんな時にこんな場所でこんなこと! 本当に馬鹿なのか……!?」
「ふぇ? あぁ、雰囲気が足りないって? 仕方ないな……」
先程までその場を支配していたはずの陰鬱な空気は、すっかり別のものに成り代わっていた。
滑りの良くなったそこを指で弄りながら、魔女はもう片方の手を振る。するとカビ臭かった室内が浄化され、なんと粉々になった家具と鉄扉が逆再生するが如く元に戻り、収まる場所へ収まった。
「豚はもう二度と目が届かない所へ捨ててきて」
影がぐるりと回って消える。
男は目の前で繰り広げられる驚異的な現象に目を剥くが、それ以上に自身に走る甘い刺激に驚いていた。
身体が快感の拾い方を学習してしまっている――!
「やめろ、俺で遊ぶな! 雰囲気とかそういう問題じゃ――」
男は一層強くガタガタと椅子を揺らした。そんな抵抗に魔女は舌打ちする。
「君、さっきから腕が痛い。言っただろう、私は痛いのが嫌いなんだ。解いてやるから喘いでろ」
魔女が指を鳴らすと男の足や腕を縛り付けていた縄が解けた。だがそれを聞いて大人しくしていられる男でも状況でもない。
「そんなの無理に決まってるだろっ」
当然、男は早速魔女のその手と頬を掴んで力を入れた。無駄な抵抗であろうと、股間から少しでも離れてほしかったのだ。
だからそれは必然という名の偶然だった。魔女の耳に指が触れた瞬間、男に仰け反るような電流が走る。
「!?」
そしてその目に――いつも涼しげで余裕ぶっているはずの魔女の――戦慄く口元が飛び込んできた。
「え……?」
何故か胸の内に喜びが生まれ、男は恐る恐る魔女に問いかける。
「お前のここ、今の俺と同じくらい感じてるのか……?」
それは流石に男が刺激に慣れていないだとか、魔女にとって何ともない行為だとか、そう捉えるには難しかった。男の考えを裏付けるように魔女は俯き動きを止め、小刻みに震えたまま――答えない。
「なぁ、……きもちいい?」
男の胸は高鳴っていた。
こんな俺でも、与えられる何かがあるのなら。これも悪くないのかも知れない――。
すりすりと、魔女の耳を左右同時に万遍なく愛撫する。男は自分に伝わる耳からうなじ、そして背筋を飛び越え股間に響く電流に堪らず息を吐き出した。
「は、ぁぁ……、ぅ……痛っ!」
そして突然舌に痛みが走る。男はそれが魔女によるものだと瞬時に理解し、慌ててその口に指を差し入れ覗く。
「お前……、何で舌なんて噛むんだ……」
魔女の開け広げられた口内の舌先に、赤い色素が滲んでいた。男は戸惑う。魔女が考えること、したいことが理解できない。
せめて表情を、と思っても阻害によって認識すら出来ない。声も聞かせてくれない。
良くないのか?
「なぁ……、どうして欲しい……?」
目の前の魔女の舌が動いて、唾液で赤い色素を拭った。チリリとした痛みが共有され、何故かそれが誘っているようで、男は唇を寄せようと――。
「――っ調子に乗るなよ、アルトス」
地を這うような、凄みのある声で魔女は制した。口に手のひらがあてがわれ、男の口内にコロリと何かが放り込まれる。
「うん……?」
男は口内のそれを転がして、その正体が何なのか気が付いた。
――イチゴ味の飴玉。
「安心しろ、ただの飴だ。少しでも感謝の気持ちがあるのなら、馬鹿やってないで射精して私を満足させろ。このヘタクソ」
魔女はそう吐き捨てると唇から舌を覗かせて笑う。
「勝手に使え。私はもう動かない」
「な――」
そして誘うように男のそそり立つモノの先端、窪みに舌先をチロチロと這わせ、ピタリと止めた。舌を伸ばしぽっかりと口を開けたまま待つ魔女に、徐々に男の息が上がってくる。舌を伝う魔女の唾液と男の先走りが混ざり垂れ、椅子の座面に水溜まりが広がっていく。
「感謝って……、……くっ……!」
遂に観念したのか、それとも煽られたのか。男は魔女の頬に添えていた両手を後頭部に差し込んで、躊躇いながら――その頭をゆっくりと己の股間に沈めていく。
「あ、ぅ、ん……、うっ……!」
男に主導権を委ねた、魔女の口淫が始まった。
感覚を共有しているため、息が苦しければすぐわかる。それに安心して男は魔女の柔らかな口内をゆるゆると往復する。魔女は男の良い場所を完全に把握し舌を這わせ、時々吸い付き、淫猥に舌だけで扱きあげた。
「ん、んっ、んっ、ふっ」
頬を染め荒い吐息を吐き出しながら、男は驚愕する。
こいつ――口の中も感じるのか?
自分が魔女の口内を犯しているはずなのに、自分の口内が犯されているような疑似体験。飴玉がそれを助長させていた。口の中の快楽を追いかけるように男は飴を転がす。
こ、こんなのを知ってしまったら、戻れなくなるんじゃ……。
そう危ぶみながらも男は再び魔女の両耳を弄り始めた。耳たぶを親指と中指で優しく擦りながら、人差し指で輪郭をなぞって――。
「あ、ああっ!」
魔女がまた震えた気がした。そして急に刺すような快感が身体に走り、男の腰が跳ねた。そのせいで魔女の口内をより一層深く抉り、喉奥にも耐えきれない電流が走る。
「くぅっ!!!」
男は飴玉を噛み砕いて、夢中で腰を突き上げた。
「あ、んっ、きもち、きもちいいっ! あ、あっ、もう、いきそう、いく、い、あっ!」
裏筋を舐め上げられ、眉根を寄せ我慢する。
「くち、離して、でる、でるからっ! きたないから、ね、早く、はなして、吸わないでっ」
魔女は卑猥な音を立てながら吸い付き、離れようとしない。音と行為でどんどん追い詰め、男はその意図を理解し甘い誘惑に劣情を煽られる。
あっ、あっ、いく、いくイくイクイク!
「だめだって、も、これ以上、耐えられな、おねがい! はなして、ぐぅっ! んんぅぅーっ!!!」
遂に男の理性が、飛んだ。
「でるぅぅぅぅっ!!!」
もう遠慮は無かった。男は自分のためだけに魔女の喉奥に自身を思い切り押し付け、勢いよく吐精する。
「ああああああぁ!! ああ! ああ!!」
男は震える魔女の頭を抱え込んだ。
「でてる! おまえのくちに! おれのせーし、びゅるびゅるでてるぅっ!!」
悦びと愉悦が男の声音に乗る。そして魔女が白濁を嚥下するのに合わせ、男も喉を反らし口に溶けた甘味を飲み込んだ。
きもちいいっ――!!
「んん、あっ……、あっ……、はぁ……、あぁ……これ、あぁっ……」
男の喉仏が何度か上下し、天井に向けたその表情は恍惚に染まる。ようやく口を離した魔女もくたりと男の太ももに頭を預けて、満足げに呟いた。
「口淫童貞卒業おめでとう、アルトス」
息を荒げ、男と同じ空気を吸う。目だけで見上げた、貪欲に快楽を貪る男の姿に、魔女は喜びを隠せなかった――。
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