【完結】オタク女子はクラス転移で愛を知り哀を察る(しる)

秋空花林

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2話

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 着ぐるみ≠モンスター。
 の誤解がやっと解けて。

 担任の若ちんを筆頭に、王様(本物だった!)に話を聞いたところ。一部の男子が騒いでた通り、どうやら異世界転移というやつだとわかった。

 この世界は魔王の脅威にさらされているらしく「異世界から来た異世界人は高い能力を持っていてとても強いから、それで魔王をサクッと倒して欲しい」というのが彼らの主張だった。
 
 軽っ!

 しかも呼ばれたが最後、魔王を倒すしか帰る方法がないそうだ。

 それを聞いた熱い男、若ちんがブチギレた。

「てめぇ!俺の大事な生徒達を拉致しやがってー!!」
「うぐぐぐ死む~!」

 元々ヤンキー臭のする教師だ。
 それはそれは大変な迫力で王様を絞め上げた。



◇◇◇



 若ちんの迫力に怯えた王様が、大柄な騎士(コスプレイヤーじゃなかった!)の背に隠れながら、ここにいる間の全員の手厚い待遇と、充分に力をつけるまでは絶対無理をさせない事を、その場で約束してくれた。

 さすが若ちん!
 先生、最高です!

 クラスメイト達は、やんややんやとヤンキー先生を褒めちぎって大盛り上がりだ。

 その後、王様陣営から偉そうなローブのお爺さんが出てきて、クラスメイトの中に勇者がいる筈だから、その確認と。全員何かしらの能力が付与されているからそれを確認させてし欲しいとお願いしてきた。

「ちっ!しゃーねえな!全員出席番号順に並べ!」

 若ちんの号令で、クラスメイトが大人しく並び出す。生徒はみんな、若ちん大好きだからね!

 わたし達が言う事を聞いたのを見て、王様陣営がホッとしてるのがわかった。

 台とでっかい水晶玉を準備され、生徒1人ずつにその水晶玉に触れる様に指示された。

「待て。うちの大事な生徒に危険が無いか俺がまず試す」
「いや。でもどう見ても其方は勇者という柄じゃ…」
「あぁ?」
「どうぞ」

 若ちんの一睨みで、ローブのお爺さんは態度を翻した。わかる!若ちんの睨みは凍えるよね!

 若ちんが水晶玉に触ると、キラキラ輝き出す。若ちんと正面のローブお爺さんが、同時に上空を見た。

 そこに何かが見えてるみたい。

 そして、ローブお爺さんがみるみる内に青ざめた。

「で?これは一体何の能力だ?」
「いざという時に大変な強さを発揮する能力です。ですが破壊力が凄まじいので、貴方様は他の皆様をサポートするのがよろしいでしょう」

 クラスの男子が、コマンダー系か?とワイワイ騒いでる。

 その隙にローブお爺さんは、王様に何やら報告をしに行ってる。耳打ちされた王様もみるみる青ざめて、何故か自分の護衛に大柄騎士を更に数名追加した。

 どうやらわたし達の担任&保護者である若ちんは、めでたく(?)1番の危険人物に認定された様だ。

 その後は生徒の番になった。

 最初は伊藤大河いとうたいが

 私の幼馴染だけど、オタク属性の私とは180度正反対のリア充だ。

 学園祭のミスター候補に上がる位のイケメン!性格はちょっと意地悪だけどね!

 大河が水晶玉に触ると、キラキラ輝き出す。大河と正面で水晶玉を管理してるローブお爺さんが、また一緒に上空を見た。

 そしてローブお爺さんは再び叫んだ。

「おお!勇者だ!勇者様だ!」

 王様陣営は、ワッー!と大きな歓声が上がった!

 対してクラスメイトのほとんどの男子が四つん這いになって崩れ落ちた!

「ちくしょー!勇者判明、早すぎるだろぉぉぉ!」
「もう少し夢見ていたかった!!」
「大河!やっぱりお前かよ!そんな気ぃしてたわ!くそっ!」

 クラスの男子は絶望感満載で打ちひしがれている。でもどこか楽しそうだ。

「はいはい。何でもいいからサッサと受けろ」

 若ちんは通常運転で、生徒達にハッパをかけた。そんな先生素敵です!

 その後もどんどんクラスメイトの能力が判明した。

 勉強出来る上田くんは賢者とか、美人で優しい委員長の江川さんは聖女とか。何となくその人に合った能力がついてるみたいだ。

 そして!とうとう、わたしの番!
 わたしって何か魔法使いぽいよね!
 魔法少女あかり!なんてね!

 水晶玉を触って、上空を見上げると。半透明の石板みたいのが浮いてた。これをみんな見てたんだ。

 そこに書かれていたのは。

『妄想召喚士』

「…………?」
「…………?」

 わたしはローブお爺さんと顔を見合わせた。
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