【完結】オタク女子はクラス転移で愛を知り哀を察る(しる)

秋空花林

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3話

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『妄想召喚士』

「…………?」
「…………?」

 わたしはローブお爺さんと顔を見合わせた。意味がわからない、という風に首を傾げたら、向かいのお爺さんも首を傾げた。
 お爺さんも知らないみたい!

「何だ!どうした!何と書いてる!」

 大柄騎士の後ろから王様の声が聞こえた。最早大柄騎士が数人で守ってるから姿は見えないけどね!

「それが初めて見る能力でしてな。妄想召喚士とやらで…」

 ローブお爺さんは、無慈悲にもそのまま下に続く文章を読み上げた!

「妄想こそ我が力!想いのままに恋せよ乙女!お笑いだって冒険だって何でもござれ!魔法少女あかり参上!と書いてます」

 わたしの背後で大爆笑が聞こえた!
 もちろんクラスメイト達だ!

 ひどい!みんなの文章は読んだりしなかったのに!わたしのだけ~!

「ハッハッハッ!さっすが不思議少女!」
「期待を裏切らないぜ!腹いてー!」

 おのれ!わたしに魔法が使えたら燃やしてやりたい!

 試しにクラスのみんなを睨んでみたけど、何の変化もなく。余計にみんなに笑われた!



◇◇◇



 クラス全員のチェックが終わった後は、男女別で4人1組の目安で部屋分けがされた。
 
 わたしは人数調整で3人1組。
 しっかり者の佐藤さんと小動物みたいで可愛い高橋さんと同じ部屋だった。

 佐藤さんは薬師で、色々素材を使って回復系のお薬を作る能力。

 高橋さんは魔道具士で、何か色々作る能力らしい。本人もよくわからないって言ってた。

 その後、クラス全員で夕飯をとったけど。その頃には「魔法少女あかり」というアダ名が浸透していた!

「恥ずかしい~」

 部屋に戻って落ち込んでたら、佐藤さんと高橋さんが笑って慰めてくれた。

「田中さんには、みんな感謝してると思うよ」
「何で??」
「だって、今から学園祭て時にこんな所に連れて来られて。魔王倒せってヒドイじゃない?」
「確かに」

 若ちんや男子がワイワイしてるから、あまり重く感じないけど。確かにひどい話だ。

「でも田中さんの時に、魔法少女あかり参上!で、みんな大爆笑だったでしょ?」

 その時の事を思い出したのか、佐藤さんは、ちょっと顔が笑ってる!

 そう!あの若ちんも、目の前の佐藤さんや高橋さんも相当笑ってた!

「あれでだいぶ緊張が取れたの!だからみんなが今前向きに受け止めれてるのは田中さんのお陰もあると思うよ」
「そう…かな?」
「ふええ、そうです!さっきの田中さんの紹介文は面白くて!私は魔法少女とかいる楽しい世界ならやっていけそうだなって思いました!」

 高橋さんも力説してくる。
 そっか、わたしとしては恥ずかしい内容も他の誰かにとってプラスになるならいいかな?

 ちょっと恥ずかしさがまぎれた!

 その後は、2人と色んな話をして。同じ部屋だし、せっかくだからお互い名前で呼び合おうね、てなった。

 今までクラスに仲の良い友達がいなかったけど。異世界に来て友達が2人も出来たのだった。
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