【完結】たっくんとコウちゃん【小・中学生編】

秋空花林

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3 放課後

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 オレの部活の話をしよう。

 オレは勉強より運動が好きだ。だから仲の良い友達とサッカー部に入った。コウちゃんも誘ったけど、激しい運動はまだキツイからって断られた。

 サッカーは楽しい!
 ゴールを決めたら気持ち良いし!
 勝ったら最高だ!

 練習はしんどいけど!

「じゃあ、また明日な!」
「じゃあな」

 途中まで帰り道が一緒だった友達と別れる。この後の帰り道は1人だ。

 部活を始めるまではいつもコウちゃんと一緒に帰ってたから、何か変な感じだ。

 部活を始めてから、何だかコウちゃんと一緒にいる時間が減った。コウちゃんは帰宅部でいつも先に帰るから。

 本当はコウちゃんとも、こんな風にスポーツで一緒に楽しみたいけどな。

 空を見上げる。もう陽が暮れ出した。お腹もペコペコだ。夕飯までまだ時間があるのに。我慢出来るかな。

 その時、家の方向から見覚えのある人影が見えた。

「たっくん、お帰り!」

 コウちゃんだった。

 家の門から、こっちに向かって手を振ってる。この時間はもう寒くなるのに、昼間の薄着のままだった。

「コウちゃん!」

 慌ててコウちゃんの元へ走る。ずっと外にいたのか、コウちゃんの頬は赤かった。

「何で?風邪引いたら…」
「これ」

 オレの言葉を遮ってコウちゃんが差し出したのは。

「え?それ、おにぎり?」

 ラップにくるまれた、のりたまのおにぎりだった。



◆◆◆



 ぼくの放課後の話をしよう。

 それまでは、学校の帰り道も、帰ってからも、ずっとたっくんが一緒だった。

 たっくんがサッカー部に入るまでは。

 たっくんから一緒にやらないか?て誘われたけど。パパとママに聞いたらダメだって言われた。せめてもう少し身体が丈夫になってからじゃ無いと、激しい運動はダメだって。

 だから、たっくんにごめんねって断った。

 そしてぼくは放課後1人になった。

 他にも友達はいるけど。みんな部活や塾や習い事をしているから、何だかぼくだけ取り残されたみたいだ。

 寂しい…。

 放課後、家に帰ってもパパもママも仕事でいないし。どっちも遅くなる日はママが準備してくれた夕食をレンジで温めて食べている。

 ぼくも、たっくん達みたいに部活とか出来たらいいのに…。

 寂しくて、ちょっと涙が出てきた。それを手でグイと拭いた時に、食卓にあったソレが目についた。

 のりたまのふりかけだった。

 たっくんの大好きなふりかけ。そして、あ、と思いつく。

 たっくんは、部活の後、いっつもお腹がペコペコだって。夕飯まて死にそうだって!

「ご飯、まだあったよね」

 いそいそと、ぼくはのりたまのおにぎりを作り出した。
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