【完結】誰そ彼(黄昏)に濡れる

エウラ

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黄昏は東雲を囲った(物理で)

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成人の儀と共に我がデュカス公爵家の騎士として正式に任命をする。

はそんなやり取りをする事になっている。


レイの晴れの日。
やっとかという気持ちと、もうかという気持ちがない交ぜになって落ち着かない。

騎士団の盛装を身に纏ったレイはそりゃあもう綺麗で美人で格好良くて。

最初に出逢ったときの幼さは微塵も見受けられ無かった。

今日は外堀をしっかり埋めまくった前公爵夫妻両親のお陰?なのか、成人の儀を受ける神殿にはレイしかいない。

---偶然だと思っておこう、うん。

私と前公爵夫妻、騎士団の団長と副団長のみ参列した神殿で、厳かに執り行われた儀式。
たった1人しか居ないためあっという間に終わってしまう。

「シノノメ・レイ。其方は無事に成人の儀を迎えられました。これから先の人生も幸多からんことを願っています」
「---ありがとうございます」

立ち上がり、私達に深く礼をして謝辞を述べるレイ。

私は我慢出来ずにレイの前に立つと、両手でレイの頬を挟み込んで顔を上げさせた。

知らずキス待ち顔になっているレイを見たら止まらなくなった。
まだまだ私の方が背は上だから、その上目遣いを見ると・・・。

---ちゅ。

微かにリップ音をさせて唇から離れる。
---ここじゃ駄目だ、ここじゃまずい。
理性を総動員して堪える。

呆気にとられたレイの手を絡めて引っ張ると、ヨロヨロしながらも着いてきた。

背後では両親の笑いを堪えた声と、呆れた団長達の『壊さないで下さいよ』の台詞。
そして何となく生温かい神官長の視線を感じた。

本当はこの後、騎士の任命式を行うことになっているのだが、構うものか。

4年待ったんだから、もう良いだろう?


◇◇◇


レイの馬にレイを乗せて自分も跨がり、馬を走らせるとレイが他人行儀に『デュカス公爵様』なんて言ってきたので『アレクシオ』と呼ぶように言いつけた。
本当は『アレク』や『アル』と呼んで欲しいが、それは追々だね。

少し走らせると小ぶりなロッジが見えてきた。
ここまで来てもレイは意味が分からなそうだった。
無言で手を引く私に文句も言わずについてくるレイはおそらくこの国一の剣豪だ。
『剣聖』のギフトであっという間に腕を上げて、見習い騎士の時には右に出る者はいないほど。
そんな強者のレイが情けなく私に手を引かれているこの状況に頬が緩む。

---自惚れても良いのだろうか。
私は、彼に許されている。
信頼されていると。
もしくは・・・・・・。

室内に入ったレイが息を飲んだのが分かった。

「---何で、俺とアレクシオの荷物がここに・・・?」

ポカンとしたレイも可愛い。

「今日から暫くここに住むから。二人きりで」
「・・・・・・」

無言で固まった。
私は続けて説明した。
通いの料理人や使用人の事、そして大事な事。

「レイが孕むまで敷地内からは出られないよ」
「・・・・・・」

考えることを放棄したのか、無の境地に陥ったレイにハッとする。

そうだよ。一番大事で一番肝心な事を忘れていた!
先走り過ぎた!

「順番を間違えた。済まない。私と結婚してくれ。君に初めて逢ったときから一目惚れだったんだ。この日をずっと待っていた。お願いだ。『はい』以外聞けない」

レイの手を握って跪き懇願した。
恥も外聞も矜持も無い。
『はい』以外聞きたくない。

レイは応えてくれた。

「---それ、『はい』以外言えないでしょ。何なの、もう、俺の気持ちはどうなるんだよ。ずっと、最初から諦めてたのにさあ。だから騎士になって、ずっと・・・そばに居ようって・・・・・・思っ・・・・・・って」

ぽろぽろと大粒の涙を溢すレイは綺麗で。

「っ・・・・・・俺の・・・かっ、覚悟を、返せよぉ」

---ああ、自惚れじゃ無かったみたいだ。

袖がぐじゅぐじゅになるほど涙を拭っているレイにキチンと聞き返す。

「---それで、返事は?」

これで振られたらシャレにならない。
拭っていた袖を下ろしたレイは涙に濡れた満面の笑みで。

「っはい! 俺と結婚して下さい!」

幸せそうに言ったのだった。

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