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東雲は黄昏と邂逅する
しおりを挟む想いが通じ合った二人は暫く抱きしめ合って居た。
落ち着いたところでひとまずアレクシオがぐちゃぐちゃな顔のレイに風呂を勧めた。
風呂は24時間いつも清潔に入れるように魔導具で作られている。
実はニホンジンは風呂好きという資料があったからだ。
実際レイも無類の風呂好きだった。
放って置くと一時間くらい出てこなくて、最初は中で倒れてるのかと心配して良く風呂場に突撃してはレイに怒鳴られていた。
さすがに今日はささっと出るのだろう。
この後の展開を分かってないのだから。
---私や両親をはじめ、レイの周りに居る者には、彼に性的な事を教えないように徹底させた。
そういう行為に繋がるモノを徹底的に排除したのだ。
だからレイは、自分の精通や時々自慰をして出すくらいの知識しか無い。
前の世界で通っていた学校では男女の交わりくらいは本で教わったようだが、それだけだ。
どのように、とか、ましてや男同士でなんて知識は全く無いだろう。
その証拠に、先ほど『孕むまで』と言ったのにキョトンとしていた。
この世界では同性同士でも子供が出来ることを知らないのだ。
---当然だ。教えていないのだから。
思春期の男を甘く見てはいけない。
そういう知識を得た途端に実践したくなり、実践して嵌まってしまったら目も当てられん。
だからレイは文字通り童貞処女なのだ。
この後どうなるかなんて何にも知らない。
私に食われる事すら想像出来ないだろう。
ただの口づけだけであんなに動揺して・・・・・・。
いかん、まだ耐えろ!
今のうちにレイとの婚姻届を両親に送って出しておいて貰おう。
レイには風呂の前に記名させた。
---オイコラ、騙してるとか言うな。
ちゃんと結婚の言質は取っているぞ。
一人でモヤモヤしていたらレイが風呂から出て来た。
入れ替わりで私もシャワーを浴びてさっさと出る。
所在なげに視線をウロウロさせて立っているレイの手を握って、私達の寝室へ向かった。
「あの、アレクシオ? これから寝るの? まだ昼前だけど・・・?」
「・・・寝るんだけど、レイの『寝る』とは意味が違うかなあ」
「・・・・・・?」
全く分かってない。
純粋無垢な子供を手籠めにするようでちょっと背徳感が・・・・・・。
いかん。
私は断じて変質者では無い!
「アレクシオ?」
「・・・・・・ちょっと待って」
せめて寝室に入って結界魔法を起動してから。
そして辿り着いた寝室で魔法を起動する。
これでレイのあられもない姿も声も漏れることは無い。
やっと、ここまで来た。
「---レイ、先ほど私達の婚姻届を両親に出して貰った。もう私達は晴れて夫夫となったんだ」
「っうん」
「今から新婚夫夫の初夜だ」
「---うん、・・・うん? ・・・・・・初夜?」
レイが固まった。
目線が斜め上に行ったり下に行ったりと忙しない。
混乱してるなあ。
「・・・あの、アレクシオ?」
「何?」
「・・・・・・男同士の結婚が大丈夫なのはさっき知ったんだけど、アレクシオって一人息子で跡取りだよね?」
「そうだよ」
「後継者が必要だよね? でも俺、男だから産めないよね? さっき変な言葉を聞いた気がするんだけど・・・?」
『孕むまで出られないから』
「間違ってないよ。ここでは男でも子を孕める。産めるんだ。だから初夜」
まだ昼前だけどね。
「---俺の子を産んでくれ。レイ」
「---え、あ、でも、俺何にも分からないんだけど? は? 男でどうやって子作り・・・?」
「大丈夫。全て俺に任せて。うんと優しく、気持ち良くしてあげる」
顔を真っ赤にして狼狽えるレイが可愛すぎて暴走しそうだ。
もう、手加減なんかしてあげられないかもしれない。
ごめん、レイ。
先に謝っておく。
※次話はやっっとR18、のはず。
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