【完結】シリウスを探してー君は僕の輝ける星ー

エウラ

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綺麗な野良猫 中(sideセイリオス)

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黙々と目的地まで歩く。

途中、弱い魔物が出たが大したヤツじゃないので、放置した。

適当な場所で水分補給と軽く携帯食を口にした。

携帯食とは栄養価の高い果物や木の実を小麦粉を練った中にブチ込んで棒状に焼き固めたモノだ。

不味くは無いが美味くもない固いそれは、気軽に栄養補給が出来るのと保存が利くくらいで余り食べたいとは思わない。

だが、アルクが食べていたモノは自分で改良したモノのようで、味も色々と付いていたし、何よりサクサク食感で美味かった。

聞けばやはり美味く無いので、試行錯誤して自分好みにアレンジしたのだと。
どのみちマジックバッグがあるので、駆け出しの冒険者用の携帯食は不要だと言っていた。

確かに、良いモノは時間停止付きだしな。

ちなみに俺のも時間停止付きだ。
俺は料理は出来ないので、もっぱら屋台料理を買ってツッコんでいるだけが。

アルクが譲ってくれたので、喜んで貰って食べた。
美味かった!

そんな休憩を挟んで昼頃に到着した先で、アルクが言った。

「どうやって行く?」

・・・うん。
断崖絶壁だもんな。
どうやってって、そりゃあ・・・あ・・・・・・。

「---風魔法、使えるか?」
「今更、ここで聞くの? まあ、使えるけど。・・・・・・ああ、そういう・・・」

念の為に聞くと、めちゃくちゃ呆れた顔をされた。

そりゃ、ここで使えないって分かったらどうすんだって、なるよなあ?
いや、言い訳すると、魔力の気配で風魔法使えるの分かってたんだよ。
だから聞くの忘れてたの!

俺のやろうとしている事言いたい事に気付いたのか、すんなりと風魔法で浮遊した。

さすがだ。

そうして二人、上に上がっていくとグリフォンに気付かれた。

先手必勝とばかりに俺が手を出そうとしたら止められた。
何か良い策でもあるのかと見ていたら・・・。

水魔法で大きな水球を作ったと思ったら、グリフォンの頭をそれで覆って溺れ死にさせた。

「---は?」

俺はポカンと口を開けてその一部始終を見ていただけだった。

アルクはなんてことないようにグリフォンをマジックバッグに収納してから・・・。

「---あ」

と呟いた。

「え? え? なにそれ、何なの?! 俺の出番一つもないんだけど、ええ?!」
「・・・・・・えーと、ごめん?」

聞けば、素材の為に良くやるとのこと。
そういう使い方あるんだな。

ともかく、速攻で依頼を達成したから下に降りて昼ご飯を食べることになった。

マジックバッグから手作り弁当が・・・・・・。
マジ美味い!

思わず、何で冒険者なんてやってるんだと聞けば・・・。

天狼シリウスを探すため。・・・・・・ケジメ・・・かな」

・・・何か事情があるんだと気付いて、それ以上はツッコまなかったが。
・・・うん。
ちょっとだった。

---だって、俺は・・・・・・。


昼休憩して、街へ戻った。

ギルド内はまだ空いていて、俺達は受付窓口に依頼完了の手続きをしにいった。

「お帰りなさい、セイリオスさん。依頼達成の報告ですか?」
「ああ、これ。グリフォンを狩ってきたからよろしく」

その後は大騒ぎで、エミルにグリフォンを出してやったら興奮が凄いのなんの・・・。

査定は後日でいいと告げて、俺達は宿へと戻った。

帰りながら、アルクがパーティー登録を解除してないと言い出したので、このままパーティー登録して旅をしようぜ、と言いながら半ば強引にアルクを宿の自分の部屋に引きずり込んだ。

初共同作業の初討伐祝い、なんて理由を適当に付けて酒瓶を数本マジックバッグから取り出して、アルクに呑ませる。

「イエーイ!」
「イ、イエーイ・・・?」

戸惑いつつも流されて酒を口にするアルク。
一口呑んで、カーッと顔が桜色に染まった。

アルクは自己申告通りに酒に弱いらしくて、そこそこ強い酒だったのも相まって、あっという間に目元を赤らめてぽやぽやとしだした。

俺?
俺には酒なんてただの色付きの水のようなモノ。
全く酔わないよ。
そういうだから。

そんでもって、今の俺は餓えた狼だから。
文字通り、、だから。

・・・おそらく、俺の瞳はになっているだろう。

だって、首を傾げて俺を見つめるアルクの瞳に、アルクより濃い紅に染まった瞳の俺が映り込んでる。

ニタリ、と笑って。

迷わず、その唇に噛み付いた。







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