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連載
549 錬金術ってすごいんです(ただしノアに限る)1
カイリ達が裏で行動を起こしている頃、調薬室ではざわめきが起こっていた。
俺の想像通りに錬金術が成功して、思わずニヤリと笑う。
リンクスは呆然としながらリオラルに出来上がったアンクレットを渡したあと、ハッと我に返った。
「す、すごいです、ノア殿!」
興奮して、耳と尻尾がピンッと立っている。うん、可愛いな。
それはともかく。
「うん、上手くいってよかった。これで他の人のアクセサリーも好みに合わせて錬成できるから、効率が上がる」
「え、他の人?」
リンクスが首を傾げる。そんな仕草もメーレに似て可愛い。俺はほのぼのとしながら、異空間収納鞄に入れてある魔石と台座用の魔導銀をざらざらと取り出す。
「そう。まだまだあるから、ここにいる人だけでも、今みたいにリンクスと魔力を合わせてイメージすれば、今なら好きに錬成できるよ」
「えーと?」
今イチ言っていることが分かっていないリンクスに、アークが補足してくれる。
「つまり、錬成の練習のために、これを使って錬成しまくれってことだ。で、出来上がった物は、本人に譲るってことだろ、ノア?」
「そう、それ。元々大した魔石でもないし、俺が素材集めでついでにドロップしたもので、元手はタダだし」
死蔵品になるくらいいっぱいあるから、ちょうどいい。
「ええ!? そんな、でも」
「いいの、いいの。何か俺が勝手にリンクスを友人ていうか弟子みたいな感じで、何かしてやりたいなって思って」
何か、すごく話が合うし、錬金術師仲間みたいな?
「ゆ、友人で、弟子……弟子にしてくれるんですか!?」
「あ、俺なんかでいいなら。よければたまにこうして、またいろいろやりたいし。楽しいし」
感激しているリンクスを見てから、俺はアークをチラリと見る。……うん、特に否定はされないから、これで合ってるんだろう。
「じゃあ、友人で、弟子で、錬金術師仲間ということで、よろしくね」
「はいっ、よろしくお願いします!」
お互いの手を出して握手を交わす俺達を、微笑ましそうに見守るリオラル達。
さあ、とりあえず聖浄化魔法を付与した魔石のアクセサリーをちゃっちゃと錬成しようか。
こうして張り切ったリンクスが、頑張りすぎてちょっと魔力不足になった。
そこで、もうじきお昼だし早めにお昼休憩にしようとなった。そのタイミングで、ここまで大人しくしていたヴァンが、むくりと起き上がる。
「ヴァン? 起きてきても、ご飯はお肉抜きだよ?」
俺がそう言うと、溜め息をつくヴァン。
『分かっておるわ。お前らが美味そうに食ってる側で肉抜きなんて、堪えられるか。昼休憩の間、我は適当に王城内を彷徨いてくる。いいよな、リオラル』
ヴァンがリオラルにお伺いを立てる。うん、ちゃんと行き先や行動を申告して偉いぞ。やればできる子だ。
そんなヴァンに、リオラルはにっこり笑って許可を出す。
「ええ、フェンリル様ですから構いません。ただ、あまり人を驚かせたり、物を壊さないようにお願いいたしますね」
「分かっとるわ! 信用ないな!」
だが、そのあとに続いた言葉にヴァンが思わずツッコミを入れた。でも、実際、その通りでしょ。
「信用なんかあるわけないだろう。己の胸に手を当てて──ああ、無理か。じゃあ頭に手を当てて……こっちも今イチだな。どこか適当に当てて思い返せ」
『いや、ノアが適当だな!? むう、まあ、仕方ない。うむ、善処する』
「……大丈夫かよ」
俺にツッコミを入れつつ、しないとは言わないヴァン。アークもちょっと不安を覚えていたが、まあ、いい歳したお爺ちゃん幻獣だし、何とかなるでしょ。
「じゃあ、気をつけてね。適当に戻っておいで」
『おう、行ってくる』
ヴァンはそう言って、念のため、と認識阻害の魔法を自分にかけて調薬室をあとにした。
それを見送って、机の上を一度綺麗に片付けると、俺はマジックバッグから料理を取りだしていく。
「さあ、皆さん、座って食べましょう。もちろん護衛の騎士さん達も。ここは安全だから、無礼講で食べますよー」
「やった!」
「ふふ、ノア殿の手料理は大変美味だと伺っていて、実は楽しみだったんです」
リンクスやリオラルが嬉しそうにしていて、俺もにっこり。アークは仕方ないなという感じで苦笑している。
こうして賑やかなお昼休憩が始まった。
俺の想像通りに錬金術が成功して、思わずニヤリと笑う。
リンクスは呆然としながらリオラルに出来上がったアンクレットを渡したあと、ハッと我に返った。
「す、すごいです、ノア殿!」
興奮して、耳と尻尾がピンッと立っている。うん、可愛いな。
それはともかく。
「うん、上手くいってよかった。これで他の人のアクセサリーも好みに合わせて錬成できるから、効率が上がる」
「え、他の人?」
リンクスが首を傾げる。そんな仕草もメーレに似て可愛い。俺はほのぼのとしながら、異空間収納鞄に入れてある魔石と台座用の魔導銀をざらざらと取り出す。
「そう。まだまだあるから、ここにいる人だけでも、今みたいにリンクスと魔力を合わせてイメージすれば、今なら好きに錬成できるよ」
「えーと?」
今イチ言っていることが分かっていないリンクスに、アークが補足してくれる。
「つまり、錬成の練習のために、これを使って錬成しまくれってことだ。で、出来上がった物は、本人に譲るってことだろ、ノア?」
「そう、それ。元々大した魔石でもないし、俺が素材集めでついでにドロップしたもので、元手はタダだし」
死蔵品になるくらいいっぱいあるから、ちょうどいい。
「ええ!? そんな、でも」
「いいの、いいの。何か俺が勝手にリンクスを友人ていうか弟子みたいな感じで、何かしてやりたいなって思って」
何か、すごく話が合うし、錬金術師仲間みたいな?
「ゆ、友人で、弟子……弟子にしてくれるんですか!?」
「あ、俺なんかでいいなら。よければたまにこうして、またいろいろやりたいし。楽しいし」
感激しているリンクスを見てから、俺はアークをチラリと見る。……うん、特に否定はされないから、これで合ってるんだろう。
「じゃあ、友人で、弟子で、錬金術師仲間ということで、よろしくね」
「はいっ、よろしくお願いします!」
お互いの手を出して握手を交わす俺達を、微笑ましそうに見守るリオラル達。
さあ、とりあえず聖浄化魔法を付与した魔石のアクセサリーをちゃっちゃと錬成しようか。
こうして張り切ったリンクスが、頑張りすぎてちょっと魔力不足になった。
そこで、もうじきお昼だし早めにお昼休憩にしようとなった。そのタイミングで、ここまで大人しくしていたヴァンが、むくりと起き上がる。
「ヴァン? 起きてきても、ご飯はお肉抜きだよ?」
俺がそう言うと、溜め息をつくヴァン。
『分かっておるわ。お前らが美味そうに食ってる側で肉抜きなんて、堪えられるか。昼休憩の間、我は適当に王城内を彷徨いてくる。いいよな、リオラル』
ヴァンがリオラルにお伺いを立てる。うん、ちゃんと行き先や行動を申告して偉いぞ。やればできる子だ。
そんなヴァンに、リオラルはにっこり笑って許可を出す。
「ええ、フェンリル様ですから構いません。ただ、あまり人を驚かせたり、物を壊さないようにお願いいたしますね」
「分かっとるわ! 信用ないな!」
だが、そのあとに続いた言葉にヴァンが思わずツッコミを入れた。でも、実際、その通りでしょ。
「信用なんかあるわけないだろう。己の胸に手を当てて──ああ、無理か。じゃあ頭に手を当てて……こっちも今イチだな。どこか適当に当てて思い返せ」
『いや、ノアが適当だな!? むう、まあ、仕方ない。うむ、善処する』
「……大丈夫かよ」
俺にツッコミを入れつつ、しないとは言わないヴァン。アークもちょっと不安を覚えていたが、まあ、いい歳したお爺ちゃん幻獣だし、何とかなるでしょ。
「じゃあ、気をつけてね。適当に戻っておいで」
『おう、行ってくる』
ヴァンはそう言って、念のため、と認識阻害の魔法を自分にかけて調薬室をあとにした。
それを見送って、机の上を一度綺麗に片付けると、俺はマジックバッグから料理を取りだしていく。
「さあ、皆さん、座って食べましょう。もちろん護衛の騎士さん達も。ここは安全だから、無礼講で食べますよー」
「やった!」
「ふふ、ノア殿の手料理は大変美味だと伺っていて、実は楽しみだったんです」
リンクスやリオラルが嬉しそうにしていて、俺もにっこり。アークは仕方ないなという感じで苦笑している。
こうして賑やかなお昼休憩が始まった。
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